2015年2月20日 (金) 掲載

◎ひまわりのかっちゃん」文庫本に 著者の西川さん28日に記念トーク

 函館在往の作家、西川司さん(56)が2007年に自身の小学校時代を振り返り、児童文学として出版した「ひまわりのかっちゃん」が今月13日、文庫本「向日葵のかっちゃん」として講談社文庫から発売された。小学4年生まで特殊学級で育った「かっちゃん」が同5年生の時に出会った先生のおかげで勉強、運動とも優秀な成績となった物語。西川さんは「子育てに不安を持つ人、かつて子供だった大人に読んでもらえれば」と呼び掛ける。

 西川さんは1958年8月、旧尾札部村(現函館市)生まれ。倶知安高校卒業、東京の大学を中退し、アメリカでの放浪生活やイラクへの出稼ぎも経験。20〜40歳代は放送作家として活躍。2000年に「三日月の輝く夜は」(講談社青い鳥文庫)で小説家デビュー。イラン・イラク戦争(80年)に巻き込まれた実体験を基にしたミステリー小説「異邦の仔(こ)」(講談社)を昨年11月に出版した。

 西川さんは、小学校2〜4年生を特殊学級で過ごした。5年生の時に転校した旧北桧山町の学校には特殊学級はなく、ここで出会った先生から勉強の楽しさを教えられて成長した。卒業式でかっちゃんが答辞を発表するシーンは多くの感動を呼び、累計5万部を売り上げた。

 昨年10月、講談社の担当者が感動し、文庫化が決定。13日の発売日は、大手ネットショッピングで即完売、函館の書店でも売り切れが続出。さらなる応援をしようと、市内の司会、セミナー企画会社オフィス・K代表の藤本恭子さんが「向日葵のかっちゃん普及委員会」を立ち上げ、28日午後2時から、函館蔦屋書店2階ステージ(石川町85)で出版記念のトークとサイン会を行う。

 読書中から涙がこぼれたという藤本さんは「こんなことが本当にあるのだ、という気持ちになった。誰でも小学生だったころ、先生から受けた影響で自分が変わるきっかけはあったと思うし、自分と重ね合わせながら読むことができる」と薦める。

 西川さんは「(大人が)自分を振り返り、子どもたちに接するときに大切なことを感じてくれれば」と話す。A6判、272㌻。660円(税別)。トークショーの司会は藤本さん。当日、同店で購入した人にサインを行う。(山崎純一)



◎鮨ひろ季 甘さが特徴 ウニの瓶詰め 北のハイグレード食品に認定

 優れた道産加工食品を選定する道の制度「北のハイグレード食品+(プラス)」に、函館市本町の鮨ひろ季(緋田広樹代表)がつくったウニの瓶詰め「雲丹(うに)ほんのひと塩」が選ばれた。塩分を抑え、凝縮したウニの甘さを味わえる一品だ。緋田さんは「試行錯誤を繰り返した分、認定はとてもうれしい」と喜んでいる。

 2010年度に始まった同制度は、食の専門家による審査があり、本年度は16点が選ばれた。商品は道が開く商談会で紹介して販路拡大を支援するほか、道のアンテナショップ「北海道どさんこプラザ」でも販売する。

 同店では「雲丹—」を10年ほど前からお酒のつまみとして客に提供したり、瓶詰めで販売したりして人気だった。渡島総合振興局の担当者の薦めもあり、今回応募することにし、その際にネーミングやパッケージも新たにした。

 緋田さんは「ウニの塩辛というとしょっぱすぎるものがほとんど。店で出すとお客さんは甘さに驚く」と話す。瓶詰めは70㌘入りで、ウニを7個ほど使う。1個3500円。販売はウニ漁が解禁される7月ごろからを予定している。

 道南からはほかに「王様しいたけのだし」(七飯町・福田農園)、「北海道噴火湾産無着色たらこ(鹿部町・丸鮮道場水産)、「カリンパ」(せたな町・村上牧場ミルク工房レプレラ)が選ばれた。(松宮一郎)



◎「大間特有の問題点」主張へ 審議に向け、市長と弁護団が意見交換

 【東京】函館市が国と電源開発(東京)を相手に提訴している大間原発(青森県大間町)の建設差し止め訴訟に関する、工藤寿樹市長と弁護団との意見交換が19日、東京都内で行われた。3月19日の第4回口頭弁論以降、実体審理に入る見通しとなったことを受け、避難計画を市に義務付けながら同意権がない点や使用済みMOX燃料の処理、テロ対策など、大間特有の問題点を強く主張していく方針を確認した。

 裁判は市の原告適格(=訴える資格)に関し、国と電源開発が「資格がない」として門前払いを主張しているが、東京地裁は昨年12月の前回弁論で、原告適格の判断を留保するとともに、市側に対して主な論点項目の提出を求めた。意見交換は今後の方向性や論点を確認することを目的に開かれ、市長と川越英雄総務部長のほか、弁護団5人が出席した。

 会談では、大間特有の問題点として▽国際海峡の津軽海峡から3カイリ(約5㌔)しか離れておらずテロ対策が不十分▽使用済み核燃料から出るプルトニウムとウランを混合したMOX燃料を燃やした際に、さらに出る使用済み核燃料の処理計画がない▽市が策定を義務付けられている避難計画に関し、電源開発がどの程度の事故を想定しているかの提示がない—点が示された。

 原告弁護団の河合弘之弁護士は事故の想定に関し「軽微なものか福島第一原発事故級かで、避難計画の立て方が違ってくる」と指摘。市長は「情報を出すのは国や事業者の役割。どんな事故が起きるかを市が勝手に想定して避難計画をつくるわけにはいかない」とし、電源開発が事故のシミュレーションを示さない場合には提示を求め、さらに裁判を起こす意向を示した。

 市長は会談後「地震、津波など他の原発との共通問題もあるが、大間特有の部分と、市による訴えだということを強調していく。弁護団との意見や方向性が一致した」と振り返った。河合弁護士は次回弁論で論点を10項目上げるとし、うち5項目は大間独自の問題を主張すると説明。避難計画については「最大の重点で、裁判所の理解も得やすいのでは」と述べた。

 次回の弁論は3月19日午後3時から東京地裁で開かれる。(千葉卓陽)


◎大門にスノボ滑走台登場

 人通りが少なくなる冬場のにぎわいづくりにつなげようと、大門グリーンプラザ内にスノーボード用の滑走台「大門スノーパーク」が登場した。近隣の若手経営者らが企画。積雪が少なくコース維持に苦心しているが、函館では珍しい〝ストリートスノーボード〟を楽しめる場所とあって、愛好者らが連日、腕を磨いている。

 グリーンプラザは冬場のイベントとして、10年ほど前に函館都心商店街振興組合などが動物をかたどったイルミネーションを設置したことがあるが、近年は事実上、近隣の雪捨て場となっていた。冬期間の活性化策として、グリーンプラザ沿いの自転車販売店「CHILLNOWA(チルノワ)」とスポーツ用品店「NARROW(ナロウ)」、市内日乃出町の建設会社「ロハス&デザイン」が中心となり、スノーパークを企画した。

 コースには高さ3・6㍍、長さ10㍍の滑走台を設置し、その先にウエーブを設けた。当初計画では子ども向けにそり滑りの雪山を作る予定だったが、雪不足のために断念した。コース開設を知った排雪業者の協力もあり、利用者や近隣商店主らが協力しながらコースの維持に努めている。

 開設後、愛好者らに少しずつ評判が広がり、利用者が増え始めている。チルノワの横田直明さんは「小さいコースだからこその難しさもあって攻略する楽しみもある。遊び方や表現方法は自由。スノーボードで地域を活気づけたい」と話している。

 2月末までの午後3〜10時、利用料金は1日500円、高校生以下無料。チルノワまたはナロウの店舗で受け付けている。(今井正一)