2015年2月21日 (土) 掲載

◎道新幹線 H5系5月にも新青森へ

 鉄道・運輸機構は20日、2016年3月の開業に向けて行っている北海道新幹線の試験運転に関し、4月21日から新青森駅までの全区間を対象にすると発表した。これまでは新函館北斗駅—奥津軽いまべつ駅(青森県今別町)間の往復だったが、新青森駅までの新設区間全線(約149㌔)を走行することになった。5月下旬にもH5系が新青森駅に入る見通しだ。

 同機構とJR北海道は昨年12月1日から試験運転を開始。3月1日までは対象区間を新函館北斗駅から奥津軽いまべつ駅の約120㌔とし、同機構は土木構造物や軌道、架線、信号設備の機能を確認している。

 一方、JR北海道は、寒冷地で新幹線車両が機能するかを確認する「冬期性能検証」を実施している。テストは開業直前までふた冬かけて慎重に行う予定。現在は、低温や降雪時の制動距離が計画通りかをチェックする「ブレーキ性能確認」をはじめ、車両への着雪状況、在来線との共用区間(約82㌔)の設備が機能するかを確認している。

 4月21日からは全線でこれまでのテスト同様、速度を30㌔の低速から260㌔まで上げて走行。1日1往復程度で、夜間に行う計画。H5系のほかに、新幹線電気・軌道検測車「イースト・アイ」も走るという。

 JR北海道は「これまで雪は少ないが、テスト開始直後の12月、2月中旬も降雪があったので、雪への対策を確認できている。ひと冬目の試験走行は順調」としている。(松宮一郎)



◎外国人客増加 観光施設は千客万来

 函館市内主要観光施設で、今冬の利用客数が好調に推移している。台湾や中国などからの外国人観光客が大幅に増加したことが要因。函館山ロープウェイは1月として過去最多を記録したほか、五稜郭タワーも前年を上回る状況が続いている。2月も18日から中華圏の旧正月「春節」の休暇が始まっており、多くの外国人でにぎわっている。関係者はホクホク顔だ。

 函館山ロープウェイの1月の利用客数は前年比33・8%増の11万2314人で、1月としては過去最多となった。定期便が運航されている台湾はもちろん、目立って増加したのが中国からの旅行者。同社によると、1月の中国の団体客は、昨年の2106人に対し、今年は約5倍に増えて1万402人となった。

 同社営業企画室は「中国からは東京から直接入ったり、東京から札幌を経由したり、旭川からだったりと、さまざまなルートで函館に入っている。個人客も多く見受けられる」とする。

 2月は悪天候で夜間運行ができない日も3日間あったが、19日時点で前年比3・6%増の7万7158人で、好調を持続する。「中国杭州からのチャーター便が運航されているので、2月も利用客は伸びるだろう」(同社)と期待する。

 一方、五稜郭タワーは、1月が前年比6・9%増の2万4042人。「天津からのチャーター便運航で中国人観光客が増加した。九州からの格安ツアーなどが入っており、国内客も動いている」と手応えをつかんでいる。

 春節期間の予約も順調に入っており、2月も前年を上回りそう。「札幌雪まつり、地元の冬花火、春節といい流れできている。中国杭州からチャーター便が来ていることも大きい」とする。

 朝市協同組合連合会の井上敏廣理事長は「外国人観光客のおかげで飲食関係は売り上げが上向き。丼や刺身、焼き魚などたくさん注文し、1人4000円分くらい食べていく客もいる」と驚き交じりで話している。(松宮一郎、山田大輔)



◎タイに函館の魅力発信を…国営テレビ局が市を訪問

 タイ国営テレビ局(タイ首相府広報局)のアピナン・ジャンタランシ局長ら同局関係者が20日、函館市役所を訪問した。観光PRのため、ビジット・ジャパン地方連携事業の一環として市と道運輸局などが招待した。工藤寿樹市長は「タイで函館や北海道の魅力を発信してもらい、多くの人に来ていただけることを期待している」と歓迎した。

 昨年11月に市の観光客誘致訪問団がタイを訪れ、同局関係者の招待を決めた。アピナン局長ら幹部のほか、取材担当者も同行した。

 工藤市長は函館|札幌間を「外国人観光客に人気の高い北海道のゴールデンルート」と紹介し、「函館の魅力を思う存分感じてほしい」とアピール。アピナン局長は北海道を訪れるのは初めてといい、「日本の良いイメージを持って帰り、函館の素晴らしさをタイに伝えたい」と応えた。

 表敬後は市長インタビューを収録し、熱帯植物園のサル山を取材。21日は函館朝市や五稜郭タワーなど、市内の観光スポットを訪れる。22日以降も大沼や洞爺湖、登別、札幌などを回り、24日に帰国する。取材内容は3月に30分番組として同国で放映される予定という。(今井正一)


◎ふっくりんこが初の「特A」

 日本穀物検定協会(東京)によるコメの食味ランキングで、道南ブランド米「ふっくりんこ」が初の「特A」評価を受けたことに地元の生産者やJAが喜びに沸いている。自ら決めた厳しいルールを守ることでブランドを築き、名実ともに道内トップクラスのおいしいコメになった。今回の結果を受け、品質維持へたゆまず努力する決意だ。

 ふっくりんこは2003年に道南でデビュー、07年に生産エリア拡大を機に全国販売が始まった。独自基準は食味に関係するタンパク含有率6・8%以下を基本とし、品質に応じた精算体制(成果主義)を取り入れている。

 北斗市米穀振興会会長の小山内吉美さん(63)=同市開発=は「この瞬間を待っていた。2014年産の米価下落で困っている道南の生産者を明るくしてくれる話題だ」と話す。

 14年産のふっくりんこはJA新はこだて(畠山良一組合長)管内だけで746戸、2277㌶となり、管内の水稲作付面積の6割を占める。新はこだて、函館市亀田、今金町の3JAでつくる生産者組織「函館育ちふっくりんこ蔵部(くらぶ)」の出荷量は約1万1000㌧。日本航空(JAL)のファーストクラスにも採用されるなど、プロ御用達のコメとして評価が高い。  今後、ホクレンが作製した特Aシールを米袋に貼って店頭での販売を強化する。JA新はこだて米穀課の三浦治課長は「家庭内消費を高めていきたい。北海道新幹線開業に合わせたPR対策も考えていく」と意気込んでいる。(山崎大和)