2015年2月23日 (月) 掲載

◎ミスはこだてに山原さんと岩舘さん

 2015年度の函館の親善大使を決める「第36回ミスはこだてコンテスト」(函館国際観光コンベンション協会主催)が22日、函館市内のホテルで開かれた。審査の結果、会社員の山原有未さん(26)と家事手伝いの岩舘りなさん(21)が第36代ミスの栄冠に輝いた。二人は4月から1年間、道内外の物産展などでPR活動を行う。

 ことしは同コンテストに14人が応募。1次審査を経て5人が最終審査に進み、同協会の渡邉兼一会長ら審査員を前に30秒間の自己PRなどを行った。発表の場で名前が読み上げられると緊張した表情から一転、二人から笑みがこぼれ、岩舘さんは感極まって涙ぐむ場面もあった。  続けて表彰式が行われ、第35代ミスの八戸芹香さん(22)と渡辺里沙さん(22)から、たすきとティアラが受け継がれた。3月で役目を終える八戸さんは「たくさんの経験から、自分がなりたい人物象が描けるようになった」、渡辺さんは「1年間で得たことを社会人生活で生かしていきたい」とそれぞれ語った。

 新ミスに選ばれた二人は、共に函館の魅力を広めようと自ら応募。山原さんは「函館の顔となれるよう努力し、若者の力でまちを活性化していきたい」、岩舘さんは「生まれ育ったふるさとの良さを笑顔で伝えていきたい」と抱負を語った。(山田大輔)



◎函高専生 雑草スベリヒユ機能性を研究 化粧品開発を提案

 函館高専(岩熊敏夫校長)の専攻科1年生3人が、雑草として嫌われ者の多年生植物「スベリヒユ」(以下ヒユ)の機能性成分の研究を進めている。当初は健康に良いとされる「オメガ3脂肪酸」を多量に含むと考え食用としての商品化を模索。しかし、ホウレンソウの方がたっぷり含むとの理由から、視点を変え化粧品への応用を提案している。

 ヒユは全国に自生し、山形県では「ひょう」と呼ばれ、山菜の一種として食べられる。それ以外は畑作の害草として知られ、雑草扱いされる。古くから漢方などに利用されており、有効利用できないかの研究開発に昨年9月着手した。

 「創造実験(PBL)」という授業で、医薬品原料製造の宏輝(東京)の依頼を受け、金澤智美さん(21)、小林広弥さん(21)、中村香織さん(21)がチームを組んだ。ヒユの機能性に関する研究は珍しいという。

 実験では、溶媒として水、メタノール、ヘキサンを使い、ヒユとホウレンソウの有効成分を抽出。抽出物の中にどんな脂肪酸が入っているかを調べたところ、ヒユはホウレンソウに比べて少ないもののパルミチン酸、リノール酸、オメガ3脂肪酸の一つであるリノレン酸をバランス良く含むことが分かった。一方、ホウレンソウはリノレン酸が特に多かった。

 このほか、試験で抗菌効果も確認。抗酸化能(酸化を抑える能力)は、野菜の中でも高位に位置付けられるホウレンソウより高いことも明らかになった。

 3人は「ヒユを使ったハンドクリームやせっけん、化粧水などスキンケア商品の開発を提案したい」という。担当する物質環境工学科の伊藤穂高准教授は「未利用資源を活用した商品開発につなげたい」と話す。(山崎大和)



◎上ノ国診療所長 親子2代で受賞 経田医師に医療功労賞

 【上ノ国】町立上ノ国診療所(上ノ国274)の所長で医師の経田剛さん(64)が、地域医療の向上に貢献した人材をたたえる「第43回医療功労賞」(読売新聞社主催)の北海道表彰(2人受賞)に選ばれた。父親の吉郎さん(故人)に続く親子2代にわたる受賞の快挙に経田さんは「これからも患者側に立った診療を第一に淡々とこなしていきたい」と話している。

 剛さんは1998年に2代目所長に就任。近隣の医療関係者とともに夜間など24時間における医療体制の構築に尽力し「患者はもちろん、当番医をとることで医療スタッフの負担軽減も図ることができた」とする。

 診療所では唯一の医師で、スタッフ15人と連携を密に総合的な診療にあたる。地域住民の信頼も厚く、一日多い時では150人ほどの診察をこなすことも。

 初代所長だった吉郎さんは、戦後の地域医療を支えるなどしたことが評価されて第7回医療功労賞を受けた。交通手段が充実していない中でも地域を奔走し「父の頑張る姿を見てきたからこそ、住民に寄り添う診療の重要さを感じる」と経田さん。

 さらに、地域医療の崩壊が叫ばれ、注目されている現状に「これから地域医療を目指す先生、医学生には診療以外での仕事も多々あるということを認識してもらえれば幸い。医師不足など医療崩壊をどう立て直すかは分からないが、これ以上の崩壊を防止するため、へき地医療圏の診療所、それを支える病院に保険点数のアップをするのも一つの手段と考える。公設民営化も手段では」と提言する。(田中陽介)


◎生活保護受給者にボランティア提供

 函館市は新年度から、長年仕事に就いていない生活保護受給者にボランティア活動の場を提供し、社会参加を促す「中間的就労事業」(以下、中間的事業)を開始する。町内の清掃活動や冬期の除雪活動を通して外出する機会を増やし、就労活動を始めるまでの準備期間として利用する。

 市では2011年度から、生活保護受給者のカウンセリングや体験就労など支援を行う「就労等意欲喚起プログラム事業」(以下、就労的事業)を施行している。昨年度は150人の応募枠に132人が参加し、半年間まちづくりセンターや亀田福祉センターの事務ボランティアを経験。そのうち9人が就職を決めた。  就労等事業は比較的就労意欲がある人が利用するのに対し、中間的事業は長い間仕事をせず、引きこもりがちな人や現在求職活動中で就労前の空いた時間がある人が対象。また、企業での体験就労よりも気軽に参加できるごみ拾いボランティアなどを行うため、家から出るきっかけづくりや気分転換を目的とする。

 中間的事業は、市のケースワーカーが生活保護普受給者にボランティア活動への参加を提案し、1年間で約240人の参加を見込んでいる。市生活支援第2課によると、市内の生活保護受給者は昨年12月末で約1万2900人いるといい、「現在ケースワーカー1人で約90世帯を担当しており配置に限界があったが、中間的事業によって負担を軽減させ効率的に支援することができる」と説明する。

 現行の就労等支援も継続して実施し、選定対象者は100人とする考え。同課は「社会参加へのきっかけづくりとして役立てたい」としている。 (蝦名達也)