2015年2月3日 (火) 掲載

◎函館商業高の和田さん、日商簿記1級2回連続合格

 函館商業高校(川眞田政夫校長)会計ビジネス科3年の和田清佳さん(18)が、昨年11月に行われた日本商工会議所(日商)が主催する第138回簿記検定1級に合格し、第137回(昨年6月)に続いての2回連続合格を果たした。同校初の快挙で、日商によると、2回連続の1級合格は全国的にも珍しいという。

 日商簿記1級は年2回試験が行われ、実務経験のない高校生には難関とされる。商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算の4科目100点満点で、各科目10点以上かつ合計70点以上が必要。全国の合格率は今回が8・8%、前回が9・7%と狭き門だった。

 2度目の受検は、所属する簿記部の顧問・石塚和久教諭の提案がきっかけ。和田さんは「最初の合格が運やまぐれではないことの証明と、次の検定を見据えて自分のレベルを維持するために受検した。」と振り返る。

 和田さんが簿記の勉強を始めたのは高校入学後。「当時は雲をつかむような話だった」という1級は、おととし11月に初めて受けたが不合格だった。くじけそうな心を支えたのは仲間の存在。友人と1日12時間近く勉強した日もあった。簿記部の部員として全道、全国大会で出会ったライバルの存在も大きく、「目標に向かって努力し合う仲間がいたから頑張れた」と話す。

 同校は昨年3月、簿記会計教育の充実を図ろうと道内で唯一、群馬県の高崎商科大と協定を締結。和田さんは、高大連携の取り組み「Haul—A(ホール・エー)プロジェクト」を通し、同大が提供する講座の映像を視聴しながら学習を進めてきた。

 4月からは同大に進学し、税理士試験や最終目標である公認会計士試験の突破を目指す。「同じ志を持った仲間と切磋琢磨(せっさたくま)することが楽しみ。感謝の気持ちを忘れずに勉強に励みたい」と笑みを浮かべ、新たな挑戦の舞台に期待を膨らませる。(稲船優香)



◎外国人客 消費旺盛 免税拡大で売り上げ増 前年比4倍超の店も

 昨年10月に外国人観光客向けの消費税の免税対象が拡大して4カ月、函館市内の百貨店や土産店では、中国や台湾からの客が商品をまとめ買いする姿が目立っている。免税措置を行っている店では、昨年10〜12月の売り上げが前年同期の4倍を超えるなど、外国人の消費が旺盛だ。ドラッグストアーにバスで乗り付け、買い物する団体客の姿もあり、今後も需要が期待される。

 棒二森屋(若松町)では、昨年10〜12月の免税品売り上げが前年同期比4・6倍と大幅に増加した。化粧品や菓子のほか、店内の生活雑貨店「無印良品」に詰め掛け、ダウンジャケットなど衣料品を購入する客が多いという。

 函館空港内の免税店も人気だ。中国人は化粧品やウイスキー、台湾からの旅行客は日本酒やたばこを大量購入。函館空港ビルデングによると、昨年10〜12月の売り上げは前年同時期の2倍を超えたという。

 金森赤レンガ倉庫群近くの土産店「こぶしや函館店」(豊川町)では、外国人客が気に入った菓子などを次々と手に取り、買い物かごは商品であふれていた。同店の店員は「ガイドブックなどに載っているのか、初めから買う商品を決めてまとめ買いする客が多い」と話す。

 団体ツアーの最終日に、宿泊先のホテルから空港に向かう途中、ドラッグストアに立ち寄るプランを組んでいる旅行会社もある。ツルハドラッグ松風店では、毎日10〜20人の外国人旅行客が訪れ、ビタミン剤や化粧品、菓子など1〜2万円ほど買い物するという。同店では通常とは別のカウンターを設け、免税手続きを行っている。(山田大輔)



◎客船寄港 全国8位 昨年の函館港延べ37隻

 国土交通省は昨年1年間のクルーズ船の寄港回数(速報値)をまとめた。国内船社、外国船社を合わせて、延べ36隻が寄港した函館港は全国8位にランクインし、2013年の延べ14隻、18位から大幅に躍進した。外国船社のみの順位も延べ27隻、9位で、プリンセス・クルーズ社の「サン・プリンセス」による小樽発着の定点クルーズなどが大きく影響した。

 同省のまとめでは、国内全体の寄港回数は国内船社549回、外国船社654回の計1203回で過去最高を記録。中国からのチャータークルーズの寄港が増えたとし、クルーズ船で入国した外国人客数は13年比2・4倍の約41・6万人となった。港湾別では横浜146回、博多115回、神戸99回で、以下、那覇、長崎、石垣と続き、小樽が41回で7位に入った。

 函館港では昨年6月末から12週連続で入港した「サン—」が寄港回数増加に大きく影響。36隻の乗客・乗員数は約6・5万人で、このうち、約1・9万人が外国人客だった。北海道クルーズ振興協議会(事務局・北海道運輸局)は、同船の定点クルーズが道内全体にもたらした直接的経済効果額は少なくとも12億円とし、小樽、函館のほか、同船寄港の室蘭、釧路などで高い経済効果があったと推察される。

 15年は「サン—」の国内クルーズがなく、函館でも寄港数が減少する見通しだが、国内屈指の観光地としての評価に加え、太平洋、日本海双方向から寄港可能な津軽海峡に面した立地など、地方港湾では優位となるポイントは多い。市港湾空港部港湾空港振興課は「今年は寄港数は減るが、初寄港船が4隻あり、海外の船会社にも認知されつつある」としている。(今井正一)


◎歴風会文化賞が決定

 函館の歴史的風土を守る会(歴風会、佐々木馨会長)は2日、歴史的な建造物の貴重性や持ち主の保存に対する努力や景観へ寄与した個人・団体を表彰する本年度の「歴風文化賞」を発表した。保存建築物は豊川町稲荷神社社務所(函館市元町7)と笠井美枝邸(同花園町37)、再生保存建築物に原眞人邸(同船見町3)が選ばれた。個人賞には箱館歴史散歩の会を主宰する中尾仁彦さん(72)、団対象がはこだて外人居留地研究会(岸甫一会長)、原風景に「横津連峰」を選んだ。表彰式は20日午後6時半から、五島軒本店(末広町)で開かれる。

 豊川稲荷神社社務所は1934年の大火直後に建てられた木造2階建ての建物で、モルタル仕上げの外壁や側面の丸窓などが特徴的。室内の間取りや装飾などが創設時の姿で保存されており、「昭和初期の建築物の歴史を知る上で貴重」と評価した。

 笠井邸は1945年に建てられた大規模な農家住宅で、室内の建具や囲炉裏などがきれいな姿で保存されている点が評価された。構造材も釘をほとんど使用せず組まれ、耐久性の高さを表している。

 原邸は明治時代中ごろに建てられたといい、当時は1階が洋室の応接間、2階を和室の書斎として使用していた。木々が生い茂る風情のある庭があり、明治時代の建築の歴史を今日まで伝えている。

 個人賞の中尾さんは、西部地区を中心に訪ね歩き、名所や文化・風土を見聞きして多くの人々に魅力を伝えてきた。ことし1月には活動が130回を迎え、「郷土函館に根ざした活動」が評価された。

 団体賞のはこだて外国人居留地研究会は、リーフレットの発行や講演会を開くなどし、国際交流の歴史研究を行っている。ことし春には外国人旅行客を対象にした小冊子を発行する予定で、地域の再生を目標に活動を続けている。

 横津連峰は横津岳、烏帽子岳、袴腰岳が連なっており、四季折々に変化する美しい彩りを評価。同会は「遠く縄文時代以前から現在まで変わらぬ形で我々を見守っている」として原風景に認定した。

 歴風賞は1984年から始まり、本年度で32回目。函館や近郊の歴史ある建物を後世に伝えようと、昨年までに約180件を表彰している。

 表彰式後には、市街並み基金などへのチャリティパーティーも開かれ、ビンゴ大会やプレゼントクイズなどを行う。会費は5000円(チャリティー分を含む)。問い合わせは同会の対馬誠さん(電話090・6214・8191)へ。(蝦名達也)