2015年2月5日 (木) 掲載

◎「春」顔出すフキノトウ

 4日は二十四節気の一つで、寒さが明けて春が始まる日とされる「立春」。気象庁の速報値によると、この日の道南の最高気温は函館の1・7度など、2月中〜下旬の地点が多かった。平年より気温の高い日が続く函館市青柳町では、春の到来を告げるフキノトウが姿を現していた。

 函館山ふれあいセンターによると、この付近の積雪は例年に比べると半分以下で、今週に入り日当たりの良い場所でつぼみに気がついたという。例年より2週間以上早く「地面が出ているとはいえ、まだ気温の低い日はあるとと思うので、植物にとって悪い影響も考えられる」と話した。(山崎純一)



◎新事業 アイデア次々と…プラン作成スクール 30人が成果発表

 函館地域産業振興財団(松本栄一理事長)と函館市は4日、市内のホテルで起業や創業を目指す人らを対象にした「ビジネスプラン作成スクール」の発表会を開いた。かまぼこの新商品展開やガゴメを活用した新ビジネスなど、受講生が昨年夏から半年間をかけて練ってきた事業プランを次々と披露した。

 同スクールは、同財団が2002年から5年間継続し約160人の卒業生を輩出したが、新規事業創出の必要性が高まっていることから、昨年8月に8年ぶりに再開した。

 受講生として集まったのは、起業を目指す人や創業したばかりの経営者ら約30人。参加者は5つのグループに分かれ、それぞれを会社に見立て、本格的なビジネスプランにするための検討を重ねてきた。

 アイデアはどれも独自性のあるものばかりで、市場分析や販売計画、収支まで緻密な計算も盛り込んだ。3Dプリンタを使って思い出や写真を立体化する事業を考案したグループは「増加する観光客に向け、旅の思い出として函館の地形を模型にしたものを販売したい」と紹介した。

 ほかにガゴメやかまぼこの新商品などの事業がプランが次々と飛び出した。グループの代表を務めた、市内で模型メーカーを経営する増井慎吾さん(49)は「長期的な展望を考えることや財務、資金繰りの面などで学ぶことが多かった」と手応えをつかんだ様子だった。

 また、昨年6月にガゴメコンブを使った調味料などを扱う販売会社を立ち上げた能戸圭恵さん(40)は「会社を経営する上では不安は多いが、スクールで自信がついた」と話した。同財団は新年度もスクールを開講する予定。「スクールの後には創業バックアップ助成金などの支援体制もある。起業にチャレンジする人が増えれば」としている。(松宮一郎)



◎新規住宅着工19%減…昨年の函館市

 国土交通省がこのほど発表した2014年の新規住宅着工戸数によると、函館市は前年比19・5%減の1425戸と、3年ぶりに減少した。道南圏の主要3市町(函館、北斗、七飯)でも同19・4%減の1776戸と減っており、昨年4月の消費税率引き上げの影響で市場が大きく低迷、持ち家も大きく落ち込んだ。

 同省のまとめによると、函館市は個人などの持ち家が前年比27・4%減の649戸。アパート・マンションなど貸家は同7・9%減の710戸。持ち家に比べて落ち込み幅が小さいことから、相続税対策としての着工もあったとの指摘も出ている。

 月別では7月が257戸と最も多く、12月が154戸、9月が124戸と続くが、80〜90戸台にとどまる月も多かった。

 市内の新規住宅着工は、11年1396戸、12年1551戸、13年1770戸と増加が続いていた。13年は9月末までに契約を結べば、入居が昨年4月以降でも税率5%が適用されたほか、10月以降に契約を結んだ場合でも昨年3月末までに引き渡しを受ければ5%が適用された。日銀函館支店は「13年のうちに駆け込み需要が生まれ、昨年はその反動で減少した」とみている。

 北斗市の新規住宅着工は同12・4%減の225戸、七飯町も同28・8%減の126戸。2市1町の持ち家は同27・5%減の733戸にとどまった。

 同省によると、昨年1年間の全国での新規住宅着工は7万6416戸で、前年比9%の減少。道内全体では同8・5%減の3万2373戸だった。

 同省は本年度補正予算案で、住宅エコポイントの復活版といえる省エネ住宅ポイント制度の実施を盛り込んだ。省エネ性能の高い住宅の新築やリフォームに最大45万円分のポイントを与え、地域の特産品やプリペイドカード、商品券と交換できるようにする。16年3月末までに着工することが条件で、効果が注目される。(千葉卓陽)


◎弘前市の「白神酒造」全焼…函館でもツアーなどで人気

 1月30日早朝、青森県弘前市の「白神酒造」(西澤誠社長)から出火し、酒蔵や事務所など約2000平方㍍を全焼した。昨年9月には函館から同社の酒蔵を訪れるツアーが行われたほか、市内ホテルがタイアップ商品を開発するなど函館でも人気が出始めていただけに、関係者からは落胆と復興を願う声が相次いだ。

 日本酒学の資格を持ち、「弘前酒蔵ツアー」を企画した函館市本町のすし店「鮨処ひろ季」のおかみ、緋田和美さんは「関係者から一報を聞いた時はショックのあまり言葉が出なかった」と話す。知らせを聞いたツアーの参加者からも、心配する声が多数寄せられたという。緋田さんは「酵母が残っているならば味を再現できるはずなので、同業者などと力を合わせて再建してほしい」と願った。

 函館市大手町のホテルリゾート「HAKODATE男爵倶楽部」は、同年9月に白神酒造とコラボ商品を開発した。斉藤将嗣支配人は「ニュース映像を見てがくぜんとした」と驚きを隠せない様子。現在は50本ほど在庫があり「今は混乱していると思うので、落ち着くのを待って対応策を考えたい」としている。

 白神酒造は明治時代に「西澤酒造店」として創業。1988年に現在の社名に変更し、主力商品の「白神」などを販売している。(山田大輔)