2015年2月7日 (土) 掲載

◎函館野外劇 昼2回公演に 舞台設置せず入場無料

 NPO法人市民創作「函館野外劇」の会(中村由紀夫理事長)は6日、函館市中央図書館で役員総会を開き、今夏の公演は舞台を建設せず、五稜郭公園内の一の橋付近と五稜郭タワー内のアトリウムで入場無料とすることを決めた。内容も過去の人気場面を集めた30分のダイジェスト版に短縮し、昼間に2回の公演とする方針。同会事務局は「これまで市民の皆様に支えてもらった感謝の意を込めた公演にし、来年へつなげられるよう努力する」と話した。

 野外劇は函館の夏を代表する一大イベント。1988年の初演以来、五稜郭公園の東南側に堀などの地形を生かしたステージを作ってきたが、昨年は3月に石垣が崩落した影響で場所を郭内に移し、規模を縮小して実施した。

 ことしの日程は7月18日から8月16日までの土・日曜日に全11回(7月20日の祝日も公演)。舞台を設営しないため、観客席はお年寄りなど席を必要とする人を対象として、必要最小限を準備する。公演時間はこれまでの約半分になるが、劇の質を落とさないよう演出上の工夫をし、昼間の公演にすることで多くの子どもや観光客に見てもらうなど、新たな客層の開拓を目指す考え。入場料は徴収しないが、「投げ銭」を受け付ける。昨年に引き続き殺陣(たて)のワークショップや出前講座を実施する。中村理事長は「函館にとってかけがえのないイベントであるということを繰り返し伝えていきたい」と述べた。

 ただ、函館市教委は新年度に予定している石垣の修復が終わっても、堀周辺の崩落の危険性を考慮し、会場としての使用を認めない考え。来年以降、堀を利用した公演を望む同会は見通しが立たない状態になっている。役員からは「堀を使ってこその野外劇だ」「会として堀を使った公演ができるよう訴えかけていくべきだ」との意見が上がった。同会事務局は「崩落した部分の修復だけでなく、五稜郭全体の再整備の問題として訴えていきたい」とした。 (蝦名達也)



◎ニセコ回りで特急運行 JR北海道 道南以北へ2次交通充実

 JR北海道は5日から、ニセコ回りで札幌と函館を結ぶ特急「ヌプリ」と「ワッカ」の運行を始めた。2年ぶりの復活で、11日まで1週間だけ毎日1往復する。2016年3月の北海道新幹線開業を見据えた2次交通の充実と新たな観光ルートづくりが狙いだ。

 札幌発の「ヌプリ」はアイヌ語で「山」、函館発の折り返し「ワッカ」は「水」を意味する。車窓からの羊蹄山や尻別川などの風景を楽しんでもらおうと名付けた。昨冬は特急「北斗」などで出火事故やトラブルが相次ぎ、列車繰りがつかず、運行を取り止めた。

 一昨年は札幌—長万部間で運行だったが、新幹線開業をにらんで函館まで延ばした。専門スタッフが乗車し、車窓の眺めを案内したり、駅弁の注文を取り次いだりするおもてなしが特徴。

 また、長万部、ニセコ、余市の停車駅では地域の協力でご当地キャラクターの出迎えもある。長万部観光協会は「停車時間は短かったが、お客さんに喜んでもらえた」とする。

 運行初日の5日は約5割ほどの乗車率。外国人に人気のニセコにも回るとあって、函館からも外国人旅行者の利用が目立った。同社は「道南以北のエリアでも地域と一体となって魅力的な観光地づくりを進め、観光ルートづくりを行いたい」としている。  (松宮一郎)



◎義理、本命、自分へご褒美…バレンタイン商戦活気

 バレンタインデー(14日)まで1週間となり、函館市内の百貨店や専門店などで商戦が本格化している。土曜のため会社で渡す義理チョコの購入は減りそうだが、本命や自分への〝ご褒美〟として品定めする女性客が目立つ。チョコの手作りキットのほか、お酒など王道からちょっぴりそれた商品も人気を呼んでいる。

 丸井今井函館店(本町32)では、例年地階のみに設置していたバレンタイン売り場を、1階にも拡大して販売に力を入れる。フランス出身でショコラティエの巨匠ミッシェル・ショーダン氏の「パヴェ ノワーレ」は函館初進出。スペイン王室ご用達「カカオサンパカ」の「テイスティングセット」は中南米・アフリカ12カ国のカカオの味を楽しめる。

 海外12ブランドのほか、水野直己氏の「ワールドチョコレートマスターズ2007受賞作品」など日本人ショコラティエの商品も充実。価格は1000〜3000円が中心で、同店は「国内外を問わず多彩な商品をそろえており、この時期ならではのチョコをぜひ楽しんで」としている。

 テーオーデパート(梁川町10)内のオレンジハウスは、1月中旬からバレンタインコーナーを展開。生チョコやカップケーキなどの手作りキット、洋菓子の装飾に使う「アザラン」などの製菓材料が豊富にそろう。特に、クマ型のプチチョコタルトが作れるキット(648円)がよく売れており、「昨年に続いて若い人に人気がある。今週末がピークになりそうだ」。

 お酒をプレゼントする女性も多い。ワインショップ・ワダ(本町7、和田一明代表)の一押しは、スペイン産赤ワイン「エル・ビノ・デル・ブエン・アモール」(750㍉㍑入り、2500円)。ラベルに赤いハートが描かれており、送り手の意思が受け手に明確に伝わる。重いワイン(フルボディ)だが、まろやかで飲みやすいという。

 和田代表は「若い人が購入するケースが多い。チョコの替わりでも、チョコに添えてもいいのでは」と薦める。

 函館の地ビール会社「はこだてビール」(大手町5)は、期間限定の「バレンタインビール」(330㍉㍑入り、税別600円)を販売中。麦芽とホップ、函館山の良質な地下水のみで醸造した麦芽100%ビール。高温で焙煎(ばいせん)した麦芽「ローストモルト」をブレンドして香ばしさやコクのある深い味に仕上げた。


◎緑や紫…カラフル 寒締めベビーリーフ収穫

 【北斗】道総研道南農試(北斗市本町)のハウスで、試験栽培しているベビーリーフの収穫が終盤を迎えた。寒気に触れて甘くなる「寒締(かんじ)め」という栽培方法で、緑や紫、茶などカラフルな色合いが目を引く。

 ハウス2棟(計200平方㍍)で、小松菜やミズナ、リーフレタス、ホウレンソウなど22品目を無加温栽培。日中は外気を入れて室内を5度に保って寒気にさらす。寒さに耐えたベビーリーフは色が濃くなったり、葉が縮んだりして糖度は8〜13度あるという。

 10㌢前後に育った若芽を、昨年12月下旬から今月中旬まで収穫、高品質を維持するための栽培条件を調査している。高濱雅幹研究主任(38)は「暖冬傾向のため昨年ほどではないが、糖度やビタミンは上がっている。冬季も道産野菜を安定供給したい」と話す。(山崎大和)