2015年3月10日 (火) 掲載

◎「ワイングラスでおいしい日本酒」で「函館奉行」金賞

 函館産の酒造好適米を使い、昨年から販売している地酒「函館奉行」が、酒造関係者によるコンテスト「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2015」(実行委主催)で、初めて金賞を受賞した。地元関係者は「今後の生産拡大の励みになる」と喜んでいる。

 同コンテストは、海外で一般的なワイングラスで酒を飲むスタイルにちなみ、日本酒の需要を掘り起こそうと2011年から開始。今回は過去最高の234蔵元から、564点の応募があった。

 「函館奉行」は、醸造元の小西酒造(兵庫県伊丹市)が1・8㍑瓶を初出品。同実行委によると、審査は銘柄を伏せ、ワイングラスに注いだ状態で酒の色や透明度、香り、味などを7段階で評価。同コンテストのメーン部門で、最高金賞に次ぐ金賞に輝いた。

 地酒づくりは市内亀尾地区の休耕田を使って酒造好適米「吟風」を生産しており、昨年は4・8㌧を収穫。小西酒造の独自酵母と、函館高専の研究グループが開発した菜の花酵母を使った2種類を開発しており、今年も1月20日から販売している。

 生産を企画した道食品開発流通地興の谷沢広代表理事は「生産2年目で賞をいただき感謝、感激している」と話した。今年は北海道新幹線開業を見据え、水田を倍にして作付けを計画しており「市民や観光客に飲んでいただける環境が1歩前に進んだ。今後は海外コンテストへの出品も検討する」としている。 (千葉卓陽)



◎早川小学校で閉校式

 【上ノ国】本年度末で閉校する早川小学校(晴山泰文、児童4人)で8日、閉校式が行われた。住民や遠方の同窓生ら約200人が出席し、131年間まちを見守った母校に感謝を伝えた。

 同小は1883(明治16)年に民間住宅を仮校舎に早川尋常小として開校。児童数は59年の273人をピークに、年々減少。中外鉱山の閉山など地域産業の衰退で少子化が進んだが、卒業生は昨年度までに2146人を輩出し、各地で活躍している。

 式典では工藤昇町長が「早川小の伝統と精神は受け継がれ、石崎地域の住民と生活がこれからの歴史をつくる。子どもたちの洋々たる未来を願いたい」と式辞。加賀俊昭教育委員長は「古里教育の実践は脳裏に強烈に刻まれ、歴史として未来永劫語り継がれていくものと確信している」と述べた。

 晴山校長は「小規模の学校でしかできない経験を保護者と地域のみなさまと共有できたことは子どもたちと教職員の一生の思い出と財産になった」と感謝した。

 5年の土谷怜央君と小林虹聖君、4年の石澤大翔君と小田瑠人君がステージでお別れの言葉を述べた。

 思い出を語る会も開かれ、料理を味わいながら思い出話に花を咲かせた。早川小は新年度に滝沢小と統合する。(田中陽介)



◎北大とシンガポール国立大、6月に学生が相互交流

 北大大学院水産科学研究院(安井肇院長)は、国際交流協定を結ぶシンガポール国立大学(NUS)理学部と、6月に初めての協働教育プログラムを実施する。両大学の学生が函館とNUSキャンパスで水産関連産業の輸出産業化に向けた課題克服などをテーマに合同講義を受講し、両国間の違いや新たな研究シーズを探る。同研究院国際教育室長の都木靖彰教授は「食品科学や医療分野の先端研究を進めているNUSと連携することで、研究レベルの向上にも期待したい」と話している。

 同研究院をはじめ、函館地域の産学官民が連携して取り組んできた函館マリンバイオクラスター事業などでは、水産業の高付加価値化や持続可能な産業化を目指す研究が進められてきた。次の研究ステージに「輸出産業化」を据えることことで、鮮度保持の技術開発や海外ニーズの把握、グローバル人材の育成など新たな課題への取り組みが不可欠となる。

 NUSは食品科学や医療分野への応用の研究が盛んで、同研究院は2012年度から連携を強め、昨年3月に交流協定を締結。同4月には現地との交流の足がかりとするため、シンガポールオフィス準備室を開設した。将来的にはNUSに北大職員を常駐させ、学生の留学だけではなく、研究者の長期派遣にもつなげたい考え。

 6月のプログラムは北大生8人、NUSの学生17人の計25人規模の参加を想定し、両キャンパスでそれぞれ1週間ずつ集中講義を実施。函館では水産関連産業の衛生管理技術や輸送、加工技術などを学ぶ予定で、NUSのインターネット講義システムも活用する。

 都木教授は「シンガポールはアジアにおけるビジネスの交差点であり、周辺国への波及や貿易発展の可能性がある。北大の学生にとっても海外経験を積む機会であり、双方の学生が互いの国を比較し、違いを学ぶ場になる」と話している。(今井正一)


◎函館市と市労連、「1職1級制」導入で合意

 函館市が函館市役所職員組合連合会(市労連、長谷川義樹執行委員長)が昨年提案した新年度の人事・給与制度の見直しに関し、市労連は9日、協議を続けていた1職1級制の導入などで合意した。

 1職1級制は主任と主査で職責が異なる場合でも給与差がないケースを是正する内容。市は当初、現在の9段階を6段階に再編する案を示していたが、主任主事と主査(係長級)の間に「主任」を入れ、7段階とすることで一致したほか、技能労務職員に対する、一般職と別の給与表の作成も合意した。

 両者は今年2月には人事院勧告に準じた平均2%引き下げなどで合意していた。市総務部によると、新年度は2%引き下げと1職1級制などを合わせ、平均4・2%の引き下げとなる。

 長谷川委員長は「技能労務職でありながらも事務的な仕事をしている場合もある。一定期間の経過措置を設けることになるので、その間に新たな任用の在り方について、引き続き議論していく」と話している。(千葉卓陽)