2015年3月12日 (木) 掲載

◎震災4年 鎮魂の祈り、道南でも追悼イベント

 東日本大震災から丸4年を迎えた11日、函館・道南でも追悼イベントが行われ、鎮魂の祈りに包まれた。震災を記憶にとどめ、今一人一人ができることをあらためて考えた。

●まちセンで献花式

 道南の被災者支援団体「函館・むすびば」「はこぼー」「みちのく会・函館支部」など7団体でつくる函館災害支援団体協議会と函館市地域交流まちづくりセンターは、午前10時から同センターで献花式を行った。昨年に続いて2回目。多くの市民が訪れ、1階ロビーに設けた献花台に白と紫のデンファレを手向け、静かに手を合わせた。

 市内本通でパン店を経営する女性(67)は「被災地の皆さんが災害を乗り越え、幸せになればいいと思う」と話した。  むすびばの事務局員古岡友弥さん(38)は「自主避難者たちが、孤立感にさいなまれる状況を生み出さないために活動を続けたい」と決意を込めた。

 あいさつに立った、みちのく会・函館支部長の鈴木明広さん(55)は「自主避難者の生活環境は厳しく、これ以上何をすればいいのか分からないという声がほとんどだ。市民の皆さんが決してこの日を忘れることなく、子孫がわれわれと同じ目に遭うことがないよう函館を守ってほしい」と述べた。  地震発生時刻の午後2時46分に全員で1分間の黙とうをささげ、犠牲者の冥福を祈った。(山崎大和)

●朝市で黙とう

 津波の被害を受けた函館朝市でも震災が発生した時刻に約50人が犠牲者を追悼し、復興を祈った。

 午後2時半ごろから、朝市で働く人らが朝市の中心部に集まり、4年前を思い出しながら、被災地への思いを語り合った。全員で東北の方角を向き、同2時46分にサイレンが鳴り響くと、静かに目を閉じて黙とうをささげた。

 函館朝市協同組合連合会の井上敏廣理事長(66)は「朝市も大きな被害を受けたが、外国人観光客の増加で立て直すことができた」とこの4年間を振り、「いまだ仮設住宅に住む人がいるなど被災地の復興が進んでいないことを感じる。行方不明のままの人も多く、心が痛む」と語った。

 朝市では震災後、防災や客の避難についての対応の議論を繰り返し、意識を高めているという。(松宮一郎)



◎函館調理師養成専門学校、9月末で閉校

 函館調理師養成専門学校(富岡町2)を運営する函館佐藤学園の佐藤武憲理事長は11日、同校を9月末で閉校することを明らかにした。少子化や学校間競争などの影響で学生が減少したことが要因。調理師養成施設としては道内で最も古く、1962年の開校から53年の歴史に幕を閉じることになる。

 同校は1年制の昼間部と1年半制の夜間部を設置し、これまでに3000人以上の卒業生を輩出。2004年7月には、介護食士の養成講座を道内で初めて開いた。

 開校まもなく全国から学生が集まり、1970年代のピーク時は350人ほどが在籍。近年は少子化に加え、専門学校の多様化で高校生の進学先が分散したことなどから、学生数は年々減少。市内の高校で調理師資格が取得できるコースが新設されたことも影響し、本年度は9人まで落ち込んでいた。講師の高齢化も進み、後継者不足も深刻化したことなどから閉校する方向で検討を重ね、15年度は新入生の募集を停止していた。

 この日は卒業式が行われ、昼間部3人と夜間部1人が学びやを巣立った。残る夜間部の5人は、卒業となる9月まで学習を続ける。佐藤理事長は「時代の先駆けとなって運営し、これまで十分社会的責任を果たしてきた。卒業生にはそれぞれの行き先で頑張ってほしい」と話した。(山田大輔)



◎道新幹線開業まで1年、イベント続々

 2016年3月の北海道新幹線開業まであと1年に迫り、13日から函館市や北斗市で機運を盛り上げるイベントが相次いで開かれる。トークショーや味覚市、特産品販売、ゆるキャラとの交流などが予定されている。

 道は20〜29日を開業1年前ウイーク」と位置付け、13、14の両日、プレイベントを開催。13日午後6時から渡島合同庁舎(美原4)で、北海道新幹線応援隊キャプテンを務める歌手の暁月めぐみさんのコンサートを開き、道の新幹線PRキャラクター「どこでもユキちゃん」のイメージソングを初披露する。

 北陸新幹線開業日と同日の14日は、午後1時から、五稜郭タワーで青森県とともに「津軽海峡交流圏公開生バトルin函館」を開く。北陸新幹線を祝福するとともに、北陸に負けじと企画。道南地域と青森県の発言者が「ゆるキャラ」や「ご当地グルメ」などテーマごとに自慢を対決する。

 22日は、北斗市内に建設中の新函館北斗駅(市渡)のプラットホームで、午前10時50分からバンドのミニライブを開催(参加申し込み終了)。五稜郭タワーアトリウムでは午前10時から1年前イベントを開催し、高橋はるみ知事が来函するほか、北海道日本ハムファイターズのスポーツ・コミュニティー・オフィサー稲葉篤紀さんのトークショーなどが予定されている。

 24日は午後4時から、北斗市総合文化センター(中野通2)でカウントダウンイベント「北斗にジャストミート!〜新幹線開業で生まれる新たなコミュニケーション〜」(北斗市主催)が開かれる。メーンは午後6時から、フリーアナウンサー福澤朗さんのトークショーで、市のご当地アイドルグループ「北斗夢学院桜組」の新幹線クイズ大会、公式キャラクター「ずーしーほっきー」などのペーパークラフト教室もある。

 28、29の両日はJR函館駅で、函館市の開業記念イベント実行委がカウントダウンイベントを開催。南東北や北関東、道南の味覚を集めた「新幹線食堂」を開設するほか、市民1000人の名前が刻まれたブロックジオラマの完成披露、郷土芸能のステージなどがある。(鈴木 潤)