2015年3月15日 (日) 掲載

◎道南と青森 一つになろう 道新幹線開業1年前イベント

 北海道新幹線開業1年前の記念イベント「津軽海峡交流圏公開生バトルIN函館」(青森県、渡島総合振興局、桧山振興局主催)が14日、五稜郭タワーアトリウムで開かれた。道南と青森県の代表者がテーマごとに魅力を競いながら、開業への機運を盛り上げた。

 道南と青森を一つの圏域とする「津軽海峡交流圏」の形成を目指し、14日の北陸新幹線開業に合わせて開催。会場を訪れた約80人には「いいね」と書かれたカードが配られ、観客がバトルの勝者を判定する形で行われた。

 「街の不思議」「ご当地グルメ」など6つのテーマでお国自慢を競い合った中、方言対決では津軽海峡マグロ女子会の島康子さんが下北弁を駆使したユニークな語り口で、会場を笑いで包みこんだ。ご当地体操対決では、H5系のかぶり物と白タイツ姿の「函館はやぶさPR隊」が〝8両編成〟で登場し、イカ踊りを披露した。

 終盤には本家の「七戸はやぶさPR隊」も登場し、函館との共演が実現。最後は函館のアマチュアバンド「木下さんと愛と悲しみの黒汁楽団」の楽曲「新幹線に乗っちゃって」を出場者全員で踊り、1年後に向けて気勢を上げた。

 市内深堀町の佐藤キノさん(75)は「大笑いできて最高のイベント。青森とは以前から隣町として親近感があるので、開業したらぜひ新幹線に乗りたい」と話していた。  (千葉卓陽)



◎新外環状道路 函館—赤川IC開通

 函館新外環状道路の空港道路区間(10㌔)のうち、函館インターチェンジ(IC、函館市桔梗町)—赤川IC(同赤川町)間2・4㌔が14日午後3時、開通した。オープンに先駆けて、開通式や本線上で通り初め式が行われ、事業者の函館開発建設部や近隣市町の関係者が開通を祝った。赤川ICまでの部分開通で道南圏の広域高速交通ネットワーク構築に一歩前進した。

 開通式は函館桔梗中学校で行われ、渡島管内の首長や地域住民ら約200人が出席。同校吹奏楽部の記念演奏の後、式典実行委員長の工藤寿樹函館市長が「この道路が道南地域に重要な役割を果たし、大きな波及効果をもたらすと期待している」とあいさつ。逢坂誠二、前田一男、鈴木貴子の衆院議員3人と横山信一参院議員がそれぞれお祝いの言葉を贈り、同部の渋谷元部長は「地域の期待をひしひしと感じる。残る区間の1日も早い供用に向けて頑張る」と述べた。

 その後、函館IC付近の本線上で通り初め式を行い、工藤市長や国会議員ら14人でテープカットをした後、関係車両47台が赤川ICに向かって走行した。

 新外環状道路は、函館空港へのアクセス向上や産業道路(道道函館上磯線)の慢性的な交通渋滞の緩和を目的に2007年度事業着手。09年度に着工した。暫定2車線で、設計速度は時速80㌔。総事業費は639億円。

 函館IC—赤川ICの開通で、並行する美原、石川地区の産業道路や周辺道路の交通量分散が期待され、函館ICから函館空港までの所要時間は夏季で3分、冬季で6分の短縮が見込まれている。

 赤川IC以降の日吉IC、同空港ICまでの完成時期は16年度以降となっている。 (鈴木 潤)



◎「次は我々の番だ」 北陸新幹線開業に熱視線 意気込む道南関係者 

 北陸新幹線の長野—金沢間(228㌔)が14日に開業した。北海道新幹線の開業を翌年に控える道南の関係者も北陸での開業に熱い視線を向けながら、「次は我々の番」と意気込みを強め、1年後に向けた準備や活動を加速させる構えだ。

 函館の経済界、観光業界のトップはともに、1年後の開業まで国内観光客の目が北陸に集中すると予測。函館国際観光コンベンション協会の渡邉兼一会長は「函館でも北陸の手法を参考に、今後も誘客促進とホスピタリティの拡充に努めていきたい」と語る。

 函館商工会議所の松本栄一会頭も「この1年は我慢の時だが、来年はいよいよ函館の年。北陸に負けない仕掛けを用意して盛り上げていく必要がある」と意気込み、「時間短縮効果があるのは函館や道南の企業。東北や北関東、首都圏に打って出る企業が増えてほしい」と期待を寄せる。

 函館市関係者は「おもてなしの心」を北陸から学び取る考え。市企画部新幹線開業イベントプロジェクトチームの小林良一、小笠原聡両参事はこの日、石川県の金沢駅、富山県の新高岡駅と富山駅の様子を視察。小笠原参事は「金沢駅は午前5時前から人にあふれ、活気に満ちていた。加賀友禅やお茶会など金沢らしい演出とおもてなしを感じた」と語り、「函館らしいおもてなしの在り方を市民と探っていきたい」。

 新函館北斗駅ができる北斗市もまた、北陸を試金石としながら対策につなげていく構えで、高谷寿峰市長は「観光振興やおもてなしなどいろいろと参考にしたい。北陸とお互いに協力できることがあればぜひやりたい」。市企画財政課の若槻茂主幹は富山駅での1番列車の見送りや出迎えセレモニー、三セク鉄道開業などを視察し、「現地を見て感じたこと、学んだことを市全体で共有し、開業対策に生かしていきたい」と意欲を見せた。(千葉卓陽、松宮一郎、今井正一、鈴木 潤)


◎赤松街道に“春” こも外し体験に50人

 【七飯】赤松街道の愛称で親しまれている国道5号で14日、春の訪れを告げる「こも外し体験会」が開かれた。地元や近隣市町からボランティア約50人が参加し、冬の間アカマツに巻かれていた「こも」を外す作業に精を出した。

 赤松街道を愛する会(寺沢久光会長)の主催。同会は2005年の設立以来、昔ながらの害虫駆除法として、冬ごもりを行う虫の習性を利用し、木の幹にわらなどを巻いておびき寄せる方法を活用。赤松街道に関心を持ってもらうため、こも外しやこも巻きの体験会や観察会などを実施している。

 はじめに寺沢会長が「赤松街道を愛する会は11年目を迎えました。次は20周年に向けて活動を続けていきましょう」とあいさつ。宮田東副町長が激励の言葉を述べた。

 参加者はグループに分かれて、昨年10月にこもを巻きつけたアカマツのうち、町鳴川周辺の約70本から丁寧に外していった。外したこもからはクモやカメムシなどが見つかり、虫眼鏡を使ってこもとアカマツを念入りに観察しながら、虫の種類や数を集計した。

 函館市から夫婦で参加した長尾光国さん(62)は「初めてこも外しを体験した。小さな虫を探すのは難しかったが、とても楽しかった。今後も機会があれば、アカマツの保護に協力したい」と話していた。  (野口賢清)