2015年3月16日 (月) 掲載

◎道南農試、夏どり長ネギの品種特性明らかに

 道総研道南農試(北斗市)と花・野菜技術センター(滝川市)が、夏(8、9月)どりに特化した露地長ネギの品種特性を明らかにした。①太い②外観が良い③長持ちする④粘液が少ない—の重要4項目で評価したところ、8月どりは「夏山一本太」「夏扇パワー」「冬山一本太」、9月どりは「夏山一本太」「夏扇4号」「夏扇パワー」の計6つを有望品種とした。

 露地物は通常、8月から10月にかけて出荷量が増え10月にピークが来る。しかし、出荷量が増える秋冬に向けて単価が下がる傾向にある。そこで流通量が少なく単価が高い8〜9月に前進出荷すれば、高収益を確保できると考え、2013、14年度の2カ年で8月どり11品種、9月どり14品種の特性を調査した。

 道南農試や花・野菜技術センターなど計6カ所で試験。その結果、標準品種「北の匠」に比べ、8月どりは4項目のうち収量、外観、長持ちの3項目で高評価だったのが夏山一本太、夏扇パワー、冬山一本太。9月どりでも粘液量を除く3項目で夏山一本太、夏扇4号、夏扇パワーの評価が高かった。

 道南農試の植野玲一郎研究主任(43)は「道南で多く作付けされている北の匠は良い品種だが、生産者の間では『もっと良い品種があれば採用したい』というニーズが高い。収益性の高い時期に出荷するため、今回の成果を品種選定の参考にしてほしい」と話す。

 12年のデータでは、長ネギの市町村別作付面積は北斗市が98㌶で全道1位、七飯町が95㌶で同2位となり、野菜農家の経営を支えている。(山崎大和)



◎厚沢部コロッケコン、長原さん2年連続最優秀

 【厚沢部】厚沢部発祥のジャガイモ・メークインを使った「第2回コロッケコンテスト」の最終審査が15日、道の駅で行われ、地元の看板業長原雅子さん(48)の作品が最優秀賞に輝いた。長原さんは昨年に続く2連覇。濃厚なイモの味わいや“メークインのお花畑”に例えた野菜の彩りなどが評価された。今年も上位作品は、道の駅でのメニュー化が予定されている。

 町が100%出資する素敵な過疎づくり株式会社(社長・渋田正己町長)などでつくる実行委の主催。徳島県など全国各地の16人から19作品のレシピが寄せられ、書類により7点を厳選。審査通過者には実行委がメークインを送り、揚げる直前まで仕上げたものを冷凍便で送り返してもらい、最終審査会場で調理し試食した。

 京王プラザホテル名誉総料理長の丸山時能氏が審査員長を務め、応募者名をふせて見た目や味わい、工夫点などを審査した。

 長原さんの作品は、ニンジンやピーマン、玉ねぎなどシンプルな具材が特長。隠し味にからしとマヨネーズを使うなどし「大好きなジャガイモのおいしさを、いかに引き出せるかと考えた」と長原さん。学生時代に札幌のライブハウスで食べたポテトサラダに魅了され、以来「あのお店の味に近づこうといまでも研究中。昨年優勝したので今年は見送ってはとの家族の声もあったが、少しでも地元勢の応募があったほうが盛り上がると無欲で応募した」と目を細める。

 優秀賞は、黒豆やラム肉、マイタケとシメジなどをクリームシチュー風に仕立てた3作品(いずれも道外からの応募)が選ばれた。

 昨年のコンテスト上位作品は道の駅で商品化され、連休時には売り切れになるほど看板メニューに成長。高田一弥実行委員は「来年は北海道新幹線が開業する。その中で厚沢部の特長あるものとしてコロッケなどを生かして地域を盛り上げることができれば」としている。(田中陽介)



◎来月、世界料理学会

 国内外の著名な料理人が集う「第5回世界料理学会inHAKODATE」が4月20、21の両日、市芸術ホールと函館国際ホテルを会場に開かれる。料理人が自らの料理哲学や調理法、背景にある風土を映像や写真を交えながら語り合うイベントで、今回のテーマは「発酵」。北海道産と青森県産食材のメニューが味わえる交流パーティーや青函食材見本市なども開かれる。

 市内の飲食店関係者らで組織する実行委(深谷宏治代表)の主催。2009年から約1年半ごとに開催している。今回は「エル・ブジ」(スペイン)元シェフのオリオール・カストロさんをはじめ、アジアのベストレストラン50に選ばれた「Le Mout」(台湾)のランシュー・チェンさん、「日本料理 龍吟」(東京)の山本征治さんら世界的に名高いシェフが集結する。

 21日に同ホテルで開く「青函食材見本市」(渡島振興局などが主催)では、魚介や海藻類などが出品され、夜は交流パーティーを開催。参加料理人が道産、青森県産食材を使ったピンチョス(つまみ)を提供する。

 深谷代表は「世界トップクラスの料理人が料理への思いを語り、テーマの発酵は味噌やしょうゆなど日本料理のベースとなる。イベントを通して、青函圏に世界中から人を呼び込みたい」と話している。

 学会の参加料は2日間共通チケット2500円(当日3000円)。交流パーティーは6000円(同6500円)。チケットは「レストランバスク」(松陰町)など函館や七飯の5店で扱う。問い合わせは、実行委事務局(電話0138・56・1570)へ。(平尾美陽子)


◎「ボラット」10周年でイベント

 地域のボランティア情報などを伝えるフリーペーパー「ボラット」の創刊10周年を記念したイベント「ボラット大感謝祭 丸10年間ありがとう」(北海道国際交流センター(HIF)主催)が15日、金森ホールで開かれた。

 ボラットは2004年3月、ボランティア情報の発信や団体と市民のネットワークつくりなどを目的に創刊した。年4回発行し、市内の公共施設などに各5000部を配布している。

 イベントのオープニングでは、ボラットのこれまでの歩みなどをスライドショーで紹介。次に「ダイバシティ(多様性)×ボランティア これからのライフスタイルを提案する」と題したシンポジウムが開かれた。講師は、ソーシャルファームジャパン理事長炭谷茂さん、共働学舎新得農場代表宮嶋望さん、ワーカーズコープ・センター事業団北海道事業本部事務局長佐々木あゆみさん、国際協力NGOセンター藤森みな美さんが務めた。

 ソーシャルファームは、障がいのある人や労働市場で不利な立場にある人々に、仕事や支援付き雇用の機会を提供するビジネスモデルで、欧州各地で果敢に取り組まれている。日本でも普及させようと、炭谷さんは約5年前から尽力してきた。シンポジウムでは「就労のみならず、人と人とのつながりを得られることが大事」と強調。函館にもこの取り組みを発展させようと参加者とともに話し合った。

 会場では合唱やパフォーマンをするステージイベントのほか、同農場のラクレットチーズなどのフードコーナー、同時開催の「マッチング相談会」(道総合政策部地域づくり支援局主催)も行われ、来場者は思い思いの時間を堪能した。(斎藤彩伽)