2015年3月17日 (火) 掲載

◎函館駅前再開発、再公募を当面見送り

 函館市は16日までに、JR函館駅前の市有地を活用した駅前再開発事業の再公募を、当面の間見送ることを決めた。昨年5月に洋菓子製造工場計画の中止が決まって以降、再公募の時期を模索していたが、民間の投資動向が芳しくない点などを考慮した。新年度は北海道新幹線の開業を見据え、観光バスの臨時乗降場として、函館地区バス協会に土地を貸す方針だ。

 市は2009年に策定した土地利用方針で、隣接するJR北海道の土地と合わせた約1万平方㍍を売却か賃貸とすることを定め、12年度に実施した公募では洋菓子製造販売のペシェ・ミニョンが土地を借り、菓子工場を軸とした複合施設の整備を提案。同社と市、JRの3者で事業協定を結んだが、建設資材の高騰などが影響し、昨年5月に事業中止に追い込まれている。

 中止後もデベロッパーなどから問い合わせが寄せられていた中、市は今年1月にデベロッパーや建設業者、ハウスメーカーなど約80社を対象にアンケートを実施、購入や借り受けに関する動向を探った。市企画部によると約40社が回答したが、「現況下で地方都市に投資する状況に至っていない」という回答が多かったことや、JR側も市有地との一体的な展開を望んでいる点などを踏まえ、再公募の見送りを決めた。

 土地は市土地開発公社が96年に先行取得し現在も所有しているが、月極め駐車場としての利用は昨年3月末で終了している。市は新年度、同公社を通じて1年間限定で観光バスの臨時乗降場としてバス協会に貸し出す考えで、「新幹線開業時の観光バスの動向を調べるため、実証実験の形で貸したい」(同部)としている。

 また、新幹線開業後の16年7〜8月にロングラン開催するイベントのメーン会場としても活用する方針だ。(千葉卓陽)



◎MOA美術館全国児童作品展、南本通小に文科大臣奨励賞

 南本通小学校(井上一男校長、児童226人)はこのほど、第26回MOA美術館全国児童作品展(岡田茂吉美術文化財団主催)で、文部科学大臣奨励賞学校奨励賞に輝いた。同賞は、全国各地で開催する作品展に応募があった小学校約8300校から6校のみが選ばれる。2005年に賞ができて以降、函館の学校が受賞するのは初の快挙だ。

 作品展は全国の小学生が対象。絵画と書写の2部門で審査し、各会場で最高賞「MOA美術館奨励賞」などを決める。今回は国内外の404会場で行われ、応募総数は約45万点だった。

 学校奨励賞は、これまでに多くの優秀作品を生み出し、かつ学校や地域、家庭の連携のもと豊かな情操教育に従事してきたことも評価される。南本通小が受賞した理由には、第8回から毎年応募していることや、日ごろの地域における積極的な活動姿勢などがあげられた。

 受賞にあたり、井上校長は「本校に関わる人々の、長年にわたり培ってきた実績が評価されてうれしい」と喜んだ。また、函館の会場で最高賞を獲得し、全国展の絵画部門個人賞で入選した石橋カノンさん(12)=6年生=は「賞をもらったときは驚いた。今後も作品作りに挑戦したい」と意欲を見せている。

 このほか、全国展の個人賞で、森小学校5年生の西畑愛子さんが書写の部で銀賞を、同小4年生の皆口将大君が絵画の部で入選を獲得した。(斎藤彩伽)



◎砂原の藻場でハタハタ産卵

 【森】森町砂原地区で、ハタハタの産卵場所を確保する取り組みが成果を挙げている。渡島総合振興局が、共和コンクリート工業海藻技術研究所(函館市弁天町、北山進一所長)などと共同で、2012年度から海藻の群落(藻場)作りに着手。1月に行った潜水調査で、初めて海藻の根元にハタハタの卵を確認した。近年ハタハタの漁獲量は激減していただけに、地元の漁業関係者は喜びの声を上げている。

 同地区のハタハタの水揚げ量は、稚魚のすみかとなる藻場の衰退などを背景に年々減少し、昨年度は最盛期の4分の1以下となる26㌧まで落ち込んでいた。藻場造成事業は、ハタハタが産卵場所として好む海藻、ウガノモクの幼体をコンクリートブロックに取り付けて海中に沈め、繁殖させる取り組み。同地区の岸から200㍍ほど離れた浅瀬に、3年間で1200基のブロックを設置した。

 1月25、27日に行った調査では、13年度に取り付けた231基のうち、27基で産卵を確認。範囲が広大なため調査は一部にとどまったが、北山所長は「条件は整いつつあるので、大きな群れがくれば数はどっと増えるだろう」と期待を寄せる。海中に沈めた約3㌢の幼体は1㍍ほどになるまで育ち、12年度に設置した分からは、受精して増殖した海藻も確認できるという。

 砂原漁業協同組合の小島力総務部長は「嬉しい知らせ。資源の回復がハタハタ漁の復活につながってほしい」と話す。同振興局は27、28年度に森地区、29年度に八雲地区で藻場造成を行う予定で、有馬一幸水産振興係長は「今回の成果で弾みがついた。次年度の取り組みに生かしたい」としている。(山田大輔)


◎消費生活センター、昨年の救済率84%

 2014年度(4〜12月末)に函館市消費生活センター(若松町、小貫恭也所長)に寄せられた悪質商法などに関する相談のうち、被害を未然に防いだり支払い後に代金を取り戻した救済額は7087万円に上った。被害額(支払いに至らない例を含む)に対する救済率は84%で、前年度から19ポイント増加した。相談者と事業者との間に入って解決する「あっせん」の強化や相談のニーズに徹底して応えるなどの努力が、消費者の救済につながった。

 本年度(同)、同センターに寄せられた相談は1200件。実際に被害に遭った人からの相談は276件、被害額が8373万円で、そのうち217件、7087万円を救済した。全相談件数に対するあっせん率は11%で、過去5カ年で最も高かった。

 相談件数は13年度並みに推移しているというが、1件当たりの請求額が大幅に高まったといい、13年度が1件当たり約18万円だったのに対し、本年度は約31万円となった。内訳はスマートフォンやインターネット利用料の不当請求額が13年度に比べ約2・7倍、リフォーム工事関係請求額は同期比約2倍となった。

 同センターは消費者を取り巻く環境の変化に対応するため、12年度から相談対象地域を函館市のみから渡島管内2市9町に拡大。加えて同年度から警察や弁護士の紹介、助言にとどまっていた業務内容を見直し、可能な限り事業者との交渉に持ち込み、あっせんに取り組んでいる。小貫所長は「1日でも早く代金を取り戻したいという相談者が多い。警察との情報交換を行いながら、このセンターをワンストップとして、早期に解決できるよう努めている」と説明する。

 救済例は、出会い系サイト利用者のケースは、8万4000円の不当請求が寄せられたが、決済に利用したカードを調査し、決済代行業者へのあっせんで全額取り戻し。住宅リフォームの契約解除に100万円以上の法外額の違約金を請求されたケースでは、直接事業者に問い合わせて違法性を指摘し、正当額での違約金で契約を解除したなど。

 同センターはこれらの救済相談事業を積極的に進めるほか、函館消費者大学での講座などを通じて、市民の自立支援と消費者教育の普及拡大を図る考え。小貫所長は「少しでも知識があれば未然に被害を防げる。同センターの役割を広く知ってもらうとともに、市民の知識醸成を率先して取り組んでいきたい」と話している。

 同センターの相談受け付けは午後4時までで、月曜から土曜は午前10時から、日曜・祝日は午前11時から。TEL0138・26・4646。