2015年3月20日 (金) 掲載

◎大間訴訟、7月から本案審理へ

 【東京】函館市が国と電源開発(東京)を相手取った大間原発(青森県大間町)建設差し止め訴訟の第4回口頭弁論が19日、東京地裁(増田稔裁判長)で開かれた。原告の市は訴訟の争点をまとめた上申書を提出、同地裁はこれを踏まえ、7月の次回弁論から市の訴えに関する本案審理を始めることを決めた。

 昨年12月25日の前回弁論で、市に原告適格(=訴える資格)がないとし、門前払いを主張する国や同社に対し、増田裁判長は判断を留保する考えを示し、市側に争点をまとめるよう求めていた。

 上申書では国に対する原子炉設置許可の無効確認に関し、設置許可に使われた審査基準に不合理な点がなかったか否かを問うほか、改正原子力規制法に基づき、建設中でも規制への適合性を求めることへの可否を争うとした。

 電源開発に対しては同原発の建設中止を求めている中で「司法判断を示すために、原子力規制委員会の新規制基準適合審査の結果を待つ必要はない」と指摘。さらに耐震設計や基準地震動の設定の不十分さとともに、テロ対策では航空機突入や潜水艦からの攻撃対象となる可能性、シビアアクシデント(重大事故)対策では事故の想定が限定的となっている点などで争う構え。原告弁護団の只野靖弁護士は「規制委で審査が始まっているが、新規制基準そのものに欠陥がある」と指摘した。

 裁判終了後に非公開の進行協議を実施。同地裁は次回から本案審理入りを決めるとともに、市側に上申書をさらにコンパクトにまとめた争点整理表の提出を求め、国側には本案の認否に関する文書の提出を求めた。

 また、市側はこの日の弁論で、原告適格について準備書面とプレゼンで反論。中野宏典弁護士は市が訴えの根拠とする自治体の存立維持権に関し、私人と同様の立場で訴えているとした上で「(事故が起きても)何らの法的手段もないのか、座して死を待つしかないのかを問いたい。福島の事故への反省はみられず、真摯(しんし)に反省するなら正々堂々と原発は安全だと主張すベき」と述べた。訴えの内容が不明確、未成熟だとする電源開発の主張に対しては書面で「意味不明で、詭弁(きべん)としか評価できない」と断じた。

 次回は7月7日。この後も10月6日、来年1月19日に口頭弁論が行われることが決まった。(千葉卓陽)



◎ボランティア活動一冊に 市連絡協が紹介誌を発行

 函館市ボランティア連絡協議会(能川邦夫会長、加盟79団体)は今月、加盟団体活動紹介誌を初めて発行した。49団体の活動内容を紹介し、市民のボランティア活動への関心を高めてもらう狙い。1000部を作成し、事務局がある市総合福祉センターなどで配っている。

 1月現在の団体名、代表者、連絡先、活動内容、会員数、新会員受け入れの可否、外部からの活動依頼への可否のほか、活動分野を6つ(施設、高齢者、障害者、児童、環境、その他)に分けて表記。

 投げ銭チャリティーコンサートの開催で有名な「江差追分会函館声徳会支部」、文字情報を支援する「全国要約筆記問題研究会北海道ブロック道南支部」、大切な人を失った悲しみに心を傾け、立ち直りを支える「喪の悲しみを癒す会」など多彩な団体を取り上げ、残りの30団体は名称のみ掲載している。

 A4判、全15㌻。市社会福祉協議会や市亀田福祉センター、市青年センター、市地域交流まちづくりセンターにも置いている。

 能川会長(71)は「一般向けの研修会なども開催しているが、各団体とも会員数は減少傾向。紹介誌を通じ、多くの市民がボランティア活動に参加してくれれば」と期待を込める。

 事務局の窓口は火〜金曜午前10時〜午後3時。問い合わせは事務局(℡0138・23・8909)へ。(山崎大和)



◎22議席に23人立候補へ、北斗市議選告示まで1カ月

 【北斗】任期満了に伴う北斗市議選(4月19日告示、26日投開票)の告示まで1カ月に迫り、立候補を予定している陣営は選挙戦に向け、後援会組織を立ち上げるなど臨戦態勢に入っている。定数22に対して今のところ現職19人、新人2人、元職2人の計23人が立候補する見通しで、選挙戦となる公算が大きい。

 現職は1人が任期途中に辞職し、現在21人。このうち宮下寿一氏(73)が引退する意向を固めているほか、高村智氏(48)が道議選北斗市区(定数1人)に立候補する予定だ。

 元職は、新関一夫氏(59)=当選3回=と工藤秀子氏(65)=同1回=の2人。新人は、会社員の玉森大樹氏(50)と元市職員の前田治氏(61)の2人が名乗りを上げている。

 地縁や所属団体・政党などをよりどころとした地盤の票にさらに上積みできるか、当落のポイントになりそうだ。

 前回選挙は市誕生後初めて旧町地域で分けていた選挙区を統合し、市全域の選挙区として実施。定数22人に対して27人が立候補し、1498〜648票で当選が決まった。投票率は63・81%だった。(鈴木 潤)


◎観光振興、青函圏の連携必要…開業後の取り組み協議

 来年3月の北海道新幹線開業を見据え、函館市内の観光振興の取り組み状況などを検証する「市観光アドバイザー会議」(奥平理座長)が19日、市総合福祉センターで開かれた。奥平座長は「新幹線開業後を視野に入れると、函館だけで開業効果を継続さていくことは困難。青函圏での連携が重要だ」と述べ、各委員が意見を交わした。

 函館国際観光コンベンション協会の渡邉政久企画宣伝委員会副委員長は、1988年の青函トンネル開通時に多くの国内観光客が訪れたことに触れ、「今は外国人観光客の受け入れ体制の強化や、函館山や五稜郭だけでなく、新たに付加価値を付けるべきコンテンツを見定める必要がある」と指摘。奥平座長は「青森に数多くある魅力を確認し、函館—青森間の交流人口の増加を経済効果として反映させていければ」と述べた。

 他委員からは「気軽に江差、松前などに出向き、観光を楽しめるようなプランが欲しい」、「特産品や観光施設など、青森と共通するものを強調した新たなコンテンツ作りが必要」といった意見が上がり、周辺自治体との一体的な事業展開の必要性を確認した。

 このほか、市の観光関連の新年度予算内容について協議し、市観光部の伊与部隆次長は「市の観光情報を全国へ発信していけるよう、全力で取り組んできたい」と述べた。(蝦名達也)