2015年3月22日 (日) 掲載

◎函館大火81年、消防訓練や慰霊法要

 当時の市街地の3分の1を焼き尽くした「函館大火」から81年となった21日、函館市消防本部(神林善彦消防長)は大森町33の大森公園で、烈風下での火災を想定した消防訓練を実施した。同町の函館大火慰霊堂では、函館仏教会主催の殉教者慰霊法要が執り行われ、犠牲者を悼んだ。

 ・消防訓練

 訓練は消防職員、消防団員の技術の向上を図り、地域住民の防災意識を高めるのが目的。同本部職員、消防団員、地域住民約120人が参加した。同町一般住宅から出火し、強風が吹き北東方向へ延焼が進んでいるという想定。

 訓練では消防団員が、住民を公園内へ避難誘導させた後、発煙筒をたいた小屋に放水した。消防車7台を使用した飛び火による延焼防止訓練では、10口の消防ホースを上空に向けて一斉放水して「水の壁」をつくった。

 同本部の安田太警防課長は「大火を風化させないためにも訓練を実施している。火の取り扱いには十分な注意を」と話していた。(能代俊貴)

 ・慰霊法要

 函館大火殉難者82回忌慰霊法要は、函館大火慰霊堂で営まれた。犠牲者の遺族や市職員ら約40人が参列。読経が響く中、参列者は焼香で犠牲者の冥福を祈った。

 法要では市仏教会の僧侶13人が読経する中、参列者一人一人が祭壇に向かって焼香。目を閉じ手を合わせながら、犠牲者への思いと防災への心構えを改めて胸にしていた。

 室蘭から訪れたという友枝芳春さん(56)は「必ずこの時期には大火が思い起こされる。観光地としての函館だけを見るのでなく、残された私たちが手を合わせ、犠牲者の冥福を祈っていかなければ」と話していた。(蝦名達也)

 1934(昭和9)年3月21日に住吉町から出火した大火は、死者2166人、行方不明者662人、被害世帯2万2667世帯に上った。



◎エアドゥ羽田線10周年感謝イベント

 AIRDO(エアドゥ)は21日、函館—羽田線が就航10周年を迎えたことを記念し、函館蔦屋書店(石川町)で感謝イベントを開いた。こども制服撮影会などの催しがあり、集まった子供たちがパイロットなどの制服を着て、記念撮影を楽しんだ。

 撮影会は大人気で、開始前から親子の長い列ができた。パイロットと客室乗務員の制服が用意され、子供たちは次々と袖を通していった。同社の客室乗務員とマスコットキャラクター「ベアドゥ」も会場を訪れ、子供たちと一緒にポーズを決めて、カメラに収まっていた。

 あおい幼稚園の横川侑大君(5)は「パイロットの気分になれた」と大喜びだった。22日は小学生を対象にAIRDO航空教室を開く。時間は午前10時からと午後1時からの2回。参加無料。(松宮一郎)



◎港町ふ頭港湾関連用地、9割が売却済みに

 函館市はこのほど、工業用地として分譲する港町ふ頭港湾関連用地(港町2)の約5100平方㍍を、救命胴衣、船舶用品などを扱う協栄マリンテクノロジ(東京)に約2525万円で売却した。今回の売却で、同ふ頭用地は総面積7万387平方㍍の約9割が売却済みとなり、未分譲分は6011平方㍍となった。

 市港湾空港振興課によると、同社は東証一部上場で半導体、電子デバイス製造などの協栄産業(東京)のグループ会社で、市内東川町に函館営業所がある。購入した用地を物流拠点として活用する計画があるという。

 同ふ頭用地はコンテナヤードの後背地にあり、フェリーふ頭も隣接。5000平方㍍以上を基準として2005年に分譲を開始。造成後、数年間は動きがなかったが、10〜12年に水産加工会社など4社が加工施設や冷蔵倉庫などの用地として取得した。同課は「10年に朝日食品(現・合食)が土地を取得したのが他社の動きを後押しした」とする。

 今回の売却により、6万4376平方㍍が埋まり、市は残る区画を5031万円(1平方㍍当たり8370円)で販売、分譲地の〝完売〟に努める考えだ。

 一方、同ふ頭以外で市が分譲する臨空工業団地(鈴蘭丘町など、27万3377平方㍍)では、昨年12月に「函館酸素」(浅野町)が工場用地として1万7092平方㍍を取得。残りは10区画計4万3115平方㍍となった。市産業支援センターや道立工業技術センターに隣接する函館テクノパーク(桔梗町、2万4822平方㍍)も既に1万6283平方㍍が売却、貸付済みで、6区画8538平方㍍を残すのみとなっている。

 所管の市工業振興課は「臨空はアクセス道路や新外環状道路が完成すれば、立地条件が向上する。臨空、テクノパークともに関心を寄せている企業と交渉を続けている」としている。(今井正一)


◎新幹線開業後イベント、来年7月から「食」テーマ

 函館市の官民で構成する市新幹線開業記念イベント実行委員会は、新幹線開業後の来年7月からJR函館駅前周辺で実施する開業記念イベントのイメージを固めた。9月末まで続くロングラン開催で、北海道の食と物産、観光をPRする機会に位置付け、JR各社による青函デスティネーションキャンペーンとの相乗効果を図る。同実行委は、会場イベントの中核となる「道産食材を使った料理と北海道の飲み物」を提供する運営事業者を募集している。

 イベントは来年7月1日に函館駅に隣接する市有地を会場にスタート。「美食の街・函館」を発信するため、市内飲食店と連携したグルメイベントを3カ月間継続するほか、7月の毎週土・日曜日には、道内各地域の食・物産・観光をPRするブースを週替わりで設ける。

 「道産食材─」は7〜8月の2カ月間実施。実行委が用意する大型テント1棟とプレハブ7棟を活用して、道内各地の食材を用いた料理やスイーツ、地ビール、ワインなどを提供。事務局の市企画部新幹線開業イベントプロジェクトチームは「北海道の食と飲み物を楽しんでもらうイベントで、観光客だけではなく市民にも足を運んでもらう会場にしたい」とする。

 運営事業者はプロポーザル方式で公募。イベント名称や提供する飲食物の内容などの企画提案書を市に提出する。募集要項は市のホームページで公開、24日午後2時から市消防本部2階で説明会を開く。参加申し込みは31日まで、企画提案書提出は4月6〜15日。同月中旬にヒアリング審査を行う。問い合わせは事務局(TEL0138・21・3628)へ。(今井正一)