2015年3月24日 (火) 掲載

◎「青函圏周遊博」に決定、新幹線開業後の4市連携イベント

 【青森】函館、青森、弘前、八戸4市でつくる青函圏観光都市会議の本年度総会が23日、青森市内のホテルで開かれた。北海道新幹線開業後の2016年度に取り組む一大イベントの名称を「青函圏周遊博」に決定し、テーマを「ぐっとくる旅 青森・弘前・八戸・函館」に設定。新年度から首都圏などで集中的に事業告知に取り組み、4市連携を軸に青函圏で通年型周遊観光活性化を図る。

 同都市会議は、札幌と仙台の間に位置する4市をひとつの都市圏ととらえ、新たな広域観光圏形成を目指す目的で13年3月に発足。総会には工藤寿樹函館市長、鹿内博青森市長、葛西憲之弘前市長、小林眞八戸市長らが出席した。

 4市の街をパビリオンに見立て、相互の周遊を促進する「青函圏周遊博」は、北海道ジェイアールエージェンシー、電通北海道が事業を受託。16年4月8日から17年2月28日までの通年開催とし、15、16年度2カ年で計4800万円の事業予算を充てる。

 15年度は集中告知期間として、著名人をアンバサダー(大使)に起用し、6月から首都圏などを中心としたプロモーションを展開。旅行会社にも働き掛け、周遊商品造成を図る。16年度は都内でのオープニングイベント、4市の各駅でお出迎えイベントの開催、モニターツアーの実施などを予定する。また、今年12月と来年5月には4市総合のガイドブックを発行する。

 4市長は各市で行われる年内のイベントなどで、効果的に事前周知できるよう、スピード感を持った対応を求めた。小林市長は「まだスケッチができた段階。これからどのように魅力を発信し、コンテンツを磨き上げていくかが課題だ」とし、鹿内市長は「1回の旅で4つの魅力を感じてもらえるようにしたい」と述べた。葛西市長は「4市で100万人規模の圏域になることはこれまで気づいてこなかったこと。新幹線というツールで展開が開ける」と期待感を示した。

 このほか、都市会議の新年度事業として、台湾のメディアや旅行会社を招請し、青函周遊型商品の造成を図る。工藤市長は函館を訪れる外国人客の増加に触れ、「(台湾、中国なども)新幹線開業をにらみ、道南、東北に動きがシフトしている。新幹線はこれまで羽田を利用していた外国人客の取り込みも期待できる」と述べた。(今井正一)



◎新吉堀トンネル貫通、道道江差木古内線

 【木古内、上ノ国】木古内町と江差町を結ぶ道道江差木古内線(49㌔)に整備する新吉堀トンネル(1・5㌔)の貫通式が23日、木古内町大川の坑口付近で行われた。近隣の首長や工事関係者ら約100人が掘削工事の完了を祝った。

 渡島総合振興局函館建設管理部が工事発注者で、鹿島・松本・相互特定建設工事共同企業体(JV)が工事を請け負った。

 江差木古内線は緊急輸送道路に指定され、来年3月の北海道新幹線開業を控え、木古内駅から桧山方面へのアクセス路や昨年廃線となったJR江差線木古内—江差間の代替バス路線として重要性が高まっている。

 しかし、山間部は急カーブや急こう配が多く、木古内町と上ノ国町境界の峠部にある現行の吉堀トンネル(150㍍)は1961年完成で、老朽化が著しいほか、大型車両の交差が困難となっていた。そこで、現トンネルを含め、通行難な区間を回避した新トンネルの工事を2013年10月から進めていた。幅員は現トンネルよりも2㍍広い7㍍。トンネルを含めた施工区間は1・93㌔で、総事業費約67億円。

 貫通式では、上ノ国町の工藤昇町長、木古内町の大森伊佐緒町長が握手して祝う儀式や鏡開きなどが行われ、工藤町長が「新トンネルの完成によって移動時間の短縮や安全性が増す。新幹線開業に向け、桧山観光の選択肢も増す」と祝辞。発注者の小林敏克副局長が「今後の工事の無事故を願い、新トンネルと合わせた道路改良工事も鋭意進める」とあいさつした。

 今後はコンクリートを打ち込む工事や付帯設備の設置工事のほか、抗口と道路を接続する橋梁の設置工事などを進め、16年秋の開通を目指す。(鈴木 潤)



◎2市1町に枠組み拡大、創業支援助成金

 函館市と函館地域産業振興財団(松本栄一理事長)による創業バックアップ助成金制度が新年度から、北斗市と七飯町にも枠組みを拡大する。両市町がそれぞれ新たに制度を創設し、函館地域2市1町が一丸となって創業、起業を後押しする考えだ。4月1日から募集を開始する。

 人口減少による市場規模縮小で事業所の廃業が増加しており、地域経済、雇用を維持するためにも創業、起業支援の重要性が高まっている。この状況を受けて函館市と財団は本年度、同制度を開始。地域全体で創業支援を展開しようと、北斗市と七飯町にも参加を呼び掛けた。同財団は「エリア全体で取り組むことで相乗効果が高まる」とする。

 助成金は1件あたり500万円が上限。2市1町ごとに申請を受け付け、審査を経て助成企業と額を決定する。対象はそれぞれの地域に事業拠点を設けて2016年3月31日までに起業するか、創業から5年以内の個人または中小企業。事業内容も製品やサービスに優位性があるものが対象。1〜2次審査があり、7月上旬に決定する。締め切りは4月30日。

 同財団は助成金制度のほかにも実践創業塾やビジネスプラン作成スクールなどの支援事業を展開している。北斗市水産商工労働課は「財団によるきめ細かな支援があるので、制度をきっかけに創業してもらい、まちの活性化につなげたい」と期待する。七飯町商工観光課でも「北海道新幹線開業を見据えた新規創業の問い合わせが多い。制度を活用してもらえれば」とする。

 6日午後6時半から、桔梗町の函館市産業支援センターで説明会を開く。問い合わせは同財団(電話0138・34・2561)か各自治体の担当部署へ。(松宮一郎)


◎新幹線PR動画制作、函館市

 函館市は1年後に迫った北海道新幹線開業に向けた機運を盛り上げようと、PR動画を製作した。市の公式観光サイト「はこぶら」で視聴できる。

 新幹線開業に向けて函館の街をPRしようと、市民や市内の事業所スタッフの人柄や魅力に焦点を当てた内容。開業に寄せる思いを、手書きのメッセージとともに撮影した。

 動画は約3分30秒で、一般市民のほかホテルのフロント、料亭の女将など多種多彩な44組が出演。昨年10月に開いた「キックオフイベント」から撮影を始め、写真を動画に編集した。「新幹線に乗って会いに行きます」「函館に遊びに来てください」など、メッセージをテンポ良く紹介している。

 動画は22日から、はこぶら(http://www.hakobura.jp/)内の開業記念イベントページで公開。28、29日にJR函館駅一帯で開かれる開業1年前カウントダウンイベントでも放映する。市新幹線開業イベントプロジェクトチームは「新幹線への気持ちやお薦めスポットなどを書いてもらった。多くの人々に見てほしい」としている。(千葉卓陽)