2015年3月30日 (月) 掲載

◎道有林に津波避難路 椴法華 道内初のケース

 渡島総合振興局東部森林室が2013年度から、治山工事の一環で、函館市元村(旧椴法華村地域)の道有林植生地に整備を進めていた津波避難路と一時避難所が、このほど完成した。道有林に津波避難施設を整備したのは道内初のケースで、今後、管理を函館市に移管する。26日、地域住民を交え移管式が行われた。

 2011年3月の東日本大震災による津波被害を契機に、治山事業で避難路の設置ができないかを同部で検討。同村の道有林を選定し、地域住民との協議を通じて工事に着手した。

 整備地点周辺の集落は道の津波浸水予測で最大水位予測値が10㍍と、市津波避難計画で「避難困難地域」に指定される。民家の裏手には道有林のある急な山があり、土砂災害の危険性も高い。このため、治山工事と合わせ、避難用の階段と一時避難施設を整備した。

 階段は長さ30㍍、幅1・5㍍で、夜間対応の照明なども整備。海抜16・6㍍の場所の一時避難施設は広さ約90平方㍍で、地面に木質チップが敷き詰められ、収用人数は約30人。2カ年の治山工事を含めた総事業費は5100万円で、工事費は1200万円。

 移管式には地域住民約20人も出席し、同部の石井良夫室長が市椴法華支書の山田隆嗣支所長に工事完了通知書を手渡した。石井室長は「住民に安心して生活していただける」と述べ、山田支所長は「有効に活用されるよう周知していきたい」とした。(鈴木 潤)



◎五月人形商戦本格化 市内専門店や百貨店 「着用かぶと」が人気

 5月5日の端午の節句を前に、函館市内の専門店や百貨店では五月人形商戦が本格化している。近年は住宅事情から節句飾りの簡素化が進む一方で、孫の健やかな成長を願って豪華な飾りを買い求める祖父母の姿も見られる。購入のピークは、各店とも今月末から4月上旬の見通し。

 人形の京菊(桔梗町2、菊池厚夫店主)では、かぶと飾りや大将飾りなど約100点を販売しており、市内随一の品ぞろえ。8万〜10万円ほどの「着用かぶと」が人気で、実際に子どもが着用して写真を撮る家庭が増えているという。

 菊池店主は「商品を購入すると、毛せん(台座の下に敷く布)か陣羽織をプレゼントしている。多くの種類をそろえており、ぜひ足を運んでほしい」と呼び掛けている。問い合わせは同店(電話0138・46・0031)へ。

 宮田商店(若松町30、宮田一人店主)では、かぶと飾りや戦国武将の甲冑(かっちゅう)飾りなど大小約20点が並ぶ。価格帯は8〜37万円ほどで、宮田店主が東京の人形メーカーの展示会に足を運び、カタログに載っていない商品をえりすぐった。中には、24金でできたかぶとの鍬形(くわがた)にスワロフスキーをあしらった商品も。

 宮田店主は「まずは気軽に遊びに来てほしい。五月人形にまつわる雑学も披露します」と話す。問い合わせは同店(電話0138・26・1000)まで。

 丸井今井函館店(本町32)では、かぶとや金太郎人形、馬に乗った武者人形、つるし飾りなど約45点を展示・販売。7〜10万円の商品が売れ筋で、同店は「かぶとの着用できるタイプが人気。今週末は家族連れでにぎわい、4月上旬がピーク」と予想する。(稲船優香、平尾美陽子)



◎全日空、伊丹線を再開 利便性をアピール

 全日空(ANA)は29日、函館—伊丹線の運航を1999年以来、16年ぶりに再開させた。関西国際空港から切り替えて1日1往復する。伊丹は大阪市内への移動などで利便性が高いことから、観光やビジネス利用客にアピールしていく。

 同空港への切り替えは、長距離便の発着規制が緩和され、発着枠を確保することができたため。2014、15年と2年連続で年末年始の増便分は伊丹に運航していたが、今後は通年での運航になる。

 機材は166人乗りのB737—800を使用。需要が増える4月24日からは1往復増やし、従来通り関空へ運航する。この日は函館空港午前11時半発の搭乗客に函館と大阪のお菓子をセットにした記念品をプレゼントし、函館支店の社員が笑顔で見送った。

 函館発の初便に乗り込んだ七飯町の40代の女性は「息子が大阪の大学に入学する準備のために向かう。伊丹だと移動が便利なので利用することが多くなりそう」と話していた。同社函館支店は「伊丹線は九州や四国への乗り継ぎに便利で、ビジネスにも使いやすいことをPRしていきたい」としている。

 同路線は日本航空も運航しており、利用客の争奪戦が加熱しそうだ。(松宮一郎)


◎春節で国際線大幅増 2月の函館空港

 函館空港事務所がまとめた2月の乗降客数は、前年同月比14・9%増の10万8396人で、5カ月連続で前年を上回った。中華圏の旧正月「春節」の長期休暇があり、国際線の利用が大幅に増加したほか、羽田線を利用して函館に入る人が増えており、外国人旅行者が全体を押し上げている格好だ。

 国際線は同44・2%増の1万8265人と大幅に増加した。定期便の台北線は春節に合わせて臨時便も飛ばした。ほかにも前年はなかった中国・天津と杭州からのチャーター便が運航したことが大幅増につながった。全日空函館支店は「直行便だけでなく、羽田線や大阪線を利用する外国人も目立ち始めている。このまま増加していくのではないか」とする。

 また、天津航空は3月末から定期便化する予定で、台湾のエバー航空も同じく毎日運航を始めるなど、利用客の増加が見込める好材料がそろっている。

 国内線は同10・4%増の9万131人。3社が運航する主力の羽田線は、同14・7%増の6万8557人に増えた。「便数を増やしたことで、利用者が伸びた」(全日空函館支店)。

 関西方面は、伊丹線が同1・7%減の2060人で、関西線は同11・2%増の3777人。中部線は同2・7%増の4637人だった。道内路線は、丘珠線が同2・9%減の5842人と振るわなかった。(松宮一郎)