2015年3月31日 (火) 掲載

◎地域振興 若い力を…函館市と函大が相互協力協定

 函館市と函館大学は30日、地域振興にかかわる各分野で協力関係を築く相互協力協定を交わした。工藤寿樹市長、溝田春夫学長が協定書を交わした。地域福祉、環境問題、観光振興など多岐に渡る分野で学生主体の活動などを通じて、地域活性化に貢献する。

 同大学は1965年の創立から今年で50周年を迎え、11項目の連携・協力を協定に盛り込んだ。今年6月の函館ハーフマラソン大会でフルマラソン化に向けたアンケート調査を予定するほか、観光満足度調査など、学生教育の一環として市に協力する。

 協定書を交わした工藤市長は「これまでも市内唯一の私学4年制大学として、地域の振興発展に貢献いただいている。協定を契機に関係を深め、若い皆さんの知恵や工夫をまちづくりに生かしていきたい」とあいさつ。溝田学長は「人口減少という大変な時を迎えているが、地域の発展が大学の発展にも結びつく。学生にとっても問題を発見し、解決する力を養い、教育にとっても良い効果がある」と話した。

 また、31日付で退任する溝田学長に代わり、4月1日に就任する野又淳司新学長は「商学部は扱う分野が幅広いのが特徴。年に1度は市役所側と課題について協議の場を持ちたい」と話した。(今井正一)



◎作業船転覆 台船を移動し調査

 函館沖で作業船「第18明祐」(19㌧、4人乗り組み)が転覆した事故で、函館海上保安部と国土交通省運輸安全委員会事務局函館事務所は30日、函館港中央埠頭に運ばれた作業船が曳航していた台船を、同海保職員や事故調査官が調査した。同海保は行方不明の長崎県南松浦群在住の40代男性とみられる乗組員の捜索を続けているが、発見につながる手掛かりをつかめいていない。

 函同海保によると、午前11時10分ごろ、作業船を所有する船会社「パールライン」が手配した函館市内の業者の作業船(199㌧)が、宇賀浦町付近の海岸で座礁した台船を引き出して曳航し、午後0時45分ごろに中央埠頭に運んだ。同1時ごろに海保職員約5人が、船内や船に傷などがなかったか調べた。

 函同3時半ごろには、運輸安全委員会事務局函館事務所の地方事故調査官と事故調査専門官の2人が調査を開始。約30分にわたって写真を撮ったほか、作業船が曳航するためにつなげていたロープやロープを掛ける曳航柵を見たり、ロープの直径の長さを測るなどした。梅田義将地方事故調査官は「作業船を引き揚げ、(救助された)永田(勝行)さんから話を聞くまで、原因は分からない」としながらも「(事故当日)風が強く吹いていたので、何らかの影響はあったのではないかと思う」と話した。

 函この日は午後4時まで、同海保の巡視艇ゆきぐもと、千歳航空基地の航空機が、立待岬から恵山岬までの間を捜索したが、不明の乗組員を見つけることはできなかった。31日も同じ態勢で朝から捜索する。



◎広田氏 函館市長選に出馬

 4月3日告示の道議選函館市区(定数5)に出馬を表明していた元衆院議員秘書の広田知朗氏(53)=無所属=は30日、同19日告示、26日投開票の函館市長選にくら替え出馬する意向を明らかにした。近く正式に表明する。市長選は現職の工藤寿樹氏(65)=無所属=以外に候補予定者が現れていなかったが、無風から一転して選挙戦が濃厚となった。

 広田氏はくら替えする理由について「無投票は良くない」とした上で、「市民の声を聞く中で、函館市を何とかしてほしいとの声があり、29日に決断した」と話した。

 4月上旬に会見し、公約を発表する方針。市が進めてきた大間原発(青森県大間町)の建設差し止め訴訟について広田氏は「建設には反対だが、訴訟は取り下げる」と言及。「国への訴訟は問題があり、国との交渉ができなくなってしまう。同じ反対でも、訴訟以外で反対することは可能だ」としている。

 広田氏は1961年伊達市生まれ。函館中部高、慶応大卒。銀行勤務を経て2000年の伊達市議補欠選で初当選後、03年に道議選伊達市区に無所属で出馬し落選。その後は細野豪志衆院議員の秘書などを務めた。市長選をめぐっては現職の工藤氏が今年1月、再選に向けて出馬を表明。対抗馬が現れず、市長選初の無投票との観測が強まっていた。(統一地方選取材班)


◎創業支援促進ネット発足

 来年3月の北海道新幹線開業に向け、企業の創業を支援し、地域経済の活性化につなげていこうと、渡島管内の行政や支援機関など18団体が集まり、30日、渡島地域創業促進支援ネットを立ち上げた。

 渡島総合振興局によると、渡島管内の2012年の企業数は1万4952件と09年と比較して1280件減少。開業率の低さも一因とされている。また、創業しても会計処理や資金的な問題を抱える企業も多く、自立までのサポートが必要との指摘もある。

 同局が函館市や函館商工会議所、日本政策金融公庫、道税理士会函館支部などに声を掛けた。今後、各団体の実務担当者がネットワークを構築し、相談業務や情報提供などを行う。

 30日の会合では、同局産業振興部の斉藤譲二部長が「地域経済を維持していくには創業の促進が課題。創業者が創業しやすい環境をつくることが重要だ」とあいさつ。相談業務で別の機関に紹介する場合、相談内容も引き継ぐことや、実務担当者同士で情報共有することなどを申し合わせた。(鈴木 潤)