2015年3月4日 (水) 掲載

◎道南農試、サツマイモ栽培法開発

 道総研道南農試(北斗市)と花・野菜技術センター(滝川市)が、道内向け青果用サツマイモの栽培法を開発した。生産者の関心が高い定植適期は5月下旬〜6月中旬、収穫は9月下旬〜10月中旬に行う。技術の普及に向け「栽培マニュアル」を道南農試ホームページで公開している。

 2012〜14年度の3カ年で、道内での栽培に適した品種や他県産並みの収量・品質を確保できる栽培法と貯蔵法を明らかにした。計8品種について北斗市のほか、厚沢部町、恵庭市、深川市でも試験した。

 適地は道南、道央で、生育期間の日積算気温が2400度を満たす地域。「シルクスイート」「クイックスイート」「ベニアズマ」「コガネセンガン」「べにはるか」の5品種が府県での平年の標準収量(10㌃あたり2・5㌧)、乾物率(食味に関する指標で高いとホクホク感がある)30%を上回り、栽培に適している。蒸し芋を食べて評価したところ、コガネセンガンはややホクホクしており、シルクスイート、べにはるかはやや甘みが強かった。

 施肥量は10㌃あたり窒素5㌔、リン酸10㌔、カリ15㌔を目安とする。土壌は本州の主産地に多い黒ボク土とそれ以外の低地土で収量と品質に差は見られなかった。植え方は畦間90〜120㌢、ベッド幅50㌢、畦高20〜30㌢とし、マルチ(透明、緑、黒のいずれか)を使う。土壌に埋める節(葉が出ている付け根)数が多いと、商品価値が高いM〜L規格(200〜500㌘)の芋が多くなる。

 収穫後30度で4日蒸し込むと、貯蔵中腐りにくくなり、貯蔵適温は13度であることが分かった。

 道南農試の高濱雅幹研究主任(38)は「北海道でもサツマイモが作れることが分かった。まずは直売用に作ってもらい、手応えを得て産地化を図っていければ。生産拡大する場合は、貯蔵施設がないことが課題になるだろう」と話す。(山崎大和)



◎山口さん夫婦金婚式、ひな人形も祝福

 【江差】全国から寄贈を受けたひな人形を飾る町会所(中歌町)で3日、町内の山口進さん(77)と花さん(74)夫婦の結婚50年を祝う金婚式が行われた。約60人が参加し、温かな雰囲気に包まれた。

 ひな人形の展示や各種催しでまちを盛り上げる「江差・北前のひな語り」(実行委、江差町歴まち商店街協同組合、町主催)が、長年地域を支える夫婦に感謝を伝えようと初企画、公募した。

 進さんは江差出身。元自動車整備工で「ある日の仕事帰りにお腹が空いたので、お店に寄ったら見掛けた」と当時、自宅近所の製菓店に住み込みで働いていた熊石町(現八雲町)出身の花さんにひとめぼれ。1964年4月に結婚式を挙げた。  金婚式では神事と、歌手の木村香澄さんらが縁起の良い歌を披露。長女の千春さん(49)が花束を手渡す場面では、夫婦ともに感極まった表情を見せ、大きな拍手が起きた。

 山口さん夫婦は「本当にありがたい。これからの人生も一緒に手をつないで元気に生きていきたい」。千春さんも「長生きしてくれて良かった。涙が出るくらいうれしい」と感謝していた。

 江差では5月の連休に花嫁行列も行われ、萩原徹実行委員長は「町民と楽しめる企画を続けていきたい」としている。(田中陽介)



◎吉田さん、工芸菓子全国2位

 函館市高盛町の菓子製造販売、吉田食品の吉田貴之社長(43)が、2月に千葉市で開かれた「全日本和菓子品評会」の工芸・盆景菓子部門で第2位にあたる最高大賞を受賞した。シンプルで繊細な作品をつくり上げ、高い評価を得た。

 品評会は日本菓業振興会と日本菓子協会東和会の主催。幕張メッセで開かれた製菓、製パン機械の展示会に合わせて初めて開かれた。工芸・盆景菓子部門には全国の職人から36点のエントリーがあった。

 タイトルは「風花に咲く」。高さ約70㌢の作品で、材料に砂糖ともちの粉、あん、着色料などを使い、一輪のツバキとユキヤナギ、オリズルランを作り、花器に配置した。ツバキの花びらを極力薄くするなど、これまで培った技術を存分に発揮した。

 「無駄なものを削ぎ落としたシンプルな構成。ツバキ一輪でも美しく見えるようにバランスを考え抜いた」と創作の苦労を明かす。社長としての仕事をこなしながら、短期間で仕上げただけに喜びもひとしお。「努力と技術が認められてうれしい」と笑顔。

 工芸菓子は菓子の芸術品とも呼ばれ、高い技術が必要とされる職人技の世界。道南で工芸菓子を作ることができるのは吉田さんを含めてもごくわずかしかいない。「自らの研さんはもちろん、後進の育成、技術の伝承にも力を入れていきたい。菓子職人を目指す若い人が増えるようにまずは自分が頑張りたい」と話している。(松宮一郎)


◎函館市、新年度に土砂災害危険個所マップ作成

 函館市議会の予算特別委員会総務分科会(斉藤明男委員長)が3日開かれ、市は新年度に市内の土砂災害危険区域に居住する住民を対象に、土砂災害危険個所マップを作成する考えを明らかにした。併せて法改正に伴い、避難所マップを新たに作成して全戸配布することも示し、防災対策を強化する方針だ。

 土砂災害危険マップは昨年8月に広島市安佐南区で起きた豪雨による土砂災害を教訓に、道が危険個所を公表したことを踏まえて作成。市内には東部4地域を中心に481カ所の危険個所があるとして、該当地域など約1万1000戸を対象に配布する考え。

 マップでは土砂災害が発生する恐れがある個所や、土砂災害情報の収集方法のほか、避難場所などをまとめる方針で、市総務部の羽二生智防災担当参事は「市民の命を守るための早期避難が大事で、危険個所を周知して早期に避難していただく意識を持ってもらうために進めたい」と述べた。茂木修氏(公明党)、金沢浩幸氏(市政クラブ)への答弁。

 また同参事は災害対策基本法の改正に沿う形で避難所の再編に向けた見直し作業を進めていることを明らかにした上で、年度内に新たな避難所マップを作成し、全戸配布すると説明。「切迫した災害の危険から避難するための指定緊急避難場所と、一定期間滞在し、避難者の生活環境を確保するための指定避難所という定義が定められた。避難所の総数は減るが、避難に支障のない数は確保される」とした。

 さらに、市防災会議の部会として設置される活火山・恵山の対策部会に関連し、同参事は年内をめどに避難計画をまとめると言及。「策定後は火山ハザードマップを含む防災ハンドブックを年度内に配布し、周知する」と述べた。(千葉卓陽)