2015年3月5日 (木) 掲載

◎江差から「福浦の歌舞伎」初出演 22日青森県佐井村で上演

 【江差、青森】青森県無形民俗文化財の「福浦の歌舞伎」が22日、同県佐井村で行われる。北海道新幹線開業などを見据えて同村と交流を深める、江差町の郷土芸能関係者が初めてステージに立つ予定で、漁村歌舞伎に花を添える。4日には江差の商店街を「ちんどん屋」が練り歩き、開催告知と鑑賞ツアーなどをPRした。

 22日の上演に、江差町歴まち商店街協同組合と桧山振興局が協力。歌舞伎の衣装とメークを施した佐井村役場職員の須藤渓太さん(20)と、地域おこし協力隊の園山和徳さん(31)らが来町し、歴まち組合の有志らによるちんどん屋と通りを練り歩いた。

 姥神大神宮で上演の成功を祈願し、パン屋では差し入れのお礼にと歌舞伎の名場面を再現。役場庁舎にも出向き、歓迎を受けた。

 上演当日は、歌手の木村香澄さんが江差追分を、住民有志は江差餅つき囃子を披露する。

 佐井村役場産業建設課の宮川洋平主幹は「津軽海峡圏の盛り上げに向けて、江差などのみなさんと連携していきたい」と話していた。

 函館港発着の鑑賞ツアーは、1泊2日で大人2万5000円、小学生以下2万円。ツアー問い合わせは、トップツアー函館支店(TEL0138・27・0109)へ。(田中陽介)



◎ドサンコで日本縦断 北大生の山川さんゴール 函館で交流 池田さん祝福

 北海道和種馬(ドサンコ)2頭を引き連れて日本縦断を目指していた北大獣医学部6年の山川晃平さん(24)=札幌在住=が、ゴールの沖縄・与那国島に到着したことを受け、函館の馬仲間からも祝福の声が上がった。山川さんが立ち寄った「函館どさんこファーム」(東山町)の池田茂代表(61)は「『おめでとう』よりも『よくやった』という気持ちでいっぱい」と〝偉業〟をたたえた。

 希少な在来馬の保存を訴えるため、山川さんは「みっちー」と「ゆっきー」(ともに去勢の雄)を相棒に札幌を昨年8月30日にスタート。今月3日に与那国馬のいる日本最西端の与那国島に着いた。長野(木曽馬)、愛媛(野間馬)、長崎(対州馬)、宮崎(御崎馬)、鹿児島(トカラ馬)、沖縄・宮古島(宮古馬)がいる地を巡って旅を続けた。

 山川さんは昨年9月12日、函館入り。馬術部の後輩の水産学部生が車で同行し、荷物運びを手伝った。

 満願成就を受け、池田さんは「口で言うのは簡単だが、それを実行し成功させるのは容易ではない」と実現力に舌を巻く。同時に「彼の行動がドサンコの強健さを立証してくれたので、お礼も言いたい」と話す。

 長万部から函館へ向かうルートは国道5号しかなく、道内で最も交通条件が悪いと言われる。馬を連れて見事難所をクリアしたことも立派だ。池田さんは「将来獣医になったら、この経験が大きな力になってくれるはず」と目を細める。(山崎大和)



◎市電五稜郭公園前電停 改築工事5月着工 資材や労務単価上昇 予算1000万円追加

 函館市は市電五稜郭公園前電停の改築工事に5月にも着手する。本年度中の整備を予定していたが、函館駅前電停の完成が昨年11月にずれ込んだことなどが影響した。第1回定例市議会に提出した本年度の一般会計補正予算案には、資材や労務単価の上昇分として1000万円を追加計上。予算成立後、3月中に入札を公告する。

 市中心市街地活性化基本計画の事業で、駅前電停と同一デザインにリニューアルする。延長は30㍍で白を基調とした鉄製の防護壁を整備する。ホームはバリアフリー対応で、幅を1・7㍍(防護壁を含む)に広げる。

 このため、既存のホーム幅が1㍍の駅前方面行き側は、現在地では車道幅が十分に確保できなくなるなど拡張が難しいため、既存位置より約50㍍移動し、本町市場前付近に設置。既存幅が1・3㍍の湯の川方面行き側は現在地に整備する。

 入札が順調に進めば、5月にも工事を開始し、秋ごろの完成を目指す。工事期間中は湯の川方面行き側のみ、本町市場前に仮設電停を設置する。

 今回の追加補正で、当初予算と合わせた五稜郭電停の整備事業費総額は1億500万円となり、駅前電停の予算額8350万円より2000万円以上も膨らんだ。市は当初、両電停の整備費はほぼ同額を見込んでいたが、建設関連費の上昇や消費税増税が影響した。

 中活では両電停間の各電停も統一したデザインに整備する方針だが、市経済部中心市街地再生担当は「建設関連費が高騰しており、残る電停の整備の在り方を検討している」としている。(今井正一)


◎函病 5億1900万円赤字 5年ぶり入院収益減少など影響

 函館市病院局は市立函館病院の2014年度決算について、5億1900万円の赤字になる見通しを示した。赤字決算は5年ぶりで、国が定める診療郡分類別包括評価(DPC)の係数が下がり診療報酬が減少したことや、道南ドクターヘリ導入による病院の改築の際、入院制限などを行ったため、入院収益が当初予算比で3億8000万円減少したのが大きく影響した。

 DPCは、難易度の高い手術の実績や患者の入院日数に応じて診療報酬を算定する評価方法。同病院は12年度にDPC2郡病院に指定され、通常の急性期病院よりも高い診療報酬が算定されていたが、14年度に3郡に下がったことで、入院収益は当初予算比で1億8000万円の減少となった。

 入院収益はこのほか、精神科の医師1人が3月末に退職するため、4月から入院病棟を休止することで5000万円減。ドクターヘリ就航に合わせた西棟4階の救命救急病棟の改築工事中、工事の騒音を回避するため、同棟5階の入院病棟(48床)を入院制限したことで1億5000万円減少した。

 これらに伴い、恵山、南茅部の両市立病院を含む市の病院事業会計の14年度決算は、6億1480万円の赤字の見通しで、累積赤字も5億3410万円に上るとしている。

 同病院局は財源不足の対応として、薬品の調達方法を見直し経費削減に取り組むほか、「今後、DCPの評価基準が変わることで2郡に戻る可能性がある」と説明し、「提供する医療が適切に評価されるような体制作りを進め、収益の確保に努めたい」と話している。(蝦名達也)