2015年3月8日 (日) 掲載

◎無料巡回バス運行 中心部グルグル 梁川商興会10日から実験

 函館梁川商興会(小笠原勇人会長)は、10日から31日までの期間限定で梁川町と本町、五稜郭地区を巡回する無料バスを運行させる。同地区内の回遊性と利便性を高めることで、にぎわい創出や買い物客の呼び込みを図る。今回は実証実験で、ニーズを調査した上で将来の継続的な運行につなげたい考えだ。

 市内では初めての取り組みで、市の元気いっぱい商店街支援交付金を活用する。名称は「くるくる はぁとバス」。コースはテーオー正面玄関をスタートし、ホテルテトラ、五稜郭病院、中央病院、ベルクラシック函館などを経由し、テーオーに戻る。乗車する時はルート内であれば、手を挙げるとバスが止まって自由に乗ることができる。下車は9カ所の降車場だけ。

 バスにはスピーカーを設置。春にちなんだ曲を流しながら走行する。メロディーが聞こえたらバスが来た合図になる。また、目立つように赤いボディーにした。運転手のほかにスタッフが1人が同乗し、高齢者の乗車をサポートすることも特徴。

 料金は無料。約20分間隔で運行する。「地区内での買い物、飲食、通院など利用方法は自由。観光客の利便性向上にもつながる」(同商興会)。

 地区内には以前から巡回バスを運行させる構想があり、検討を続けてきた。今回の実証実験を足掛かりとして継続的な運行を目指す考えだ。同商興会は「梁川、本町、五稜郭地区の商店街や施設などとも連携し、将来的には地域が主体となった運行につなげたい」としている。

 車内に応募券が備えられており、商品券などが当たるプレゼント企画もある。運行時間は午前10時〜午後7時。運行に関する問い合わせは事務局(テーオー小笠原内、TEL 0138・32・0501)へ。(松宮一郎)



◎地方創生にIT活用を 担当相来函し意見交換

 政府の「地方創生IT利活用推進会議」の議長を務める山口俊一IT担当相(65)が8日、函館市を訪れ、市や民間事業者との意見交換会を開いた。IT(情報技術)を活用した地域活性化につなげようと、市内事業者らの取り組みに耳を傾けた。

 同会議は地方における自治体や企業のIT活用を促進し、効果を高める目的で設置。昨年末に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」でITの利活用による地域活性化を掲げており、各都道府県や市町村は新年度中に地方版総合戦略(2015〜19年度)を策定することになっている。意見交換会は6月に予定する自治体向け促進プランの策定に向け、地方の声を聞こうと初開催。公立はこだて未来大学の中島秀之学長が、ワーキンググループの主査を務めている。

 市内のホテルで開かれた会合には工藤寿樹市長や、ITを活用している5事業者が出席。山口IT相は「地方創生はITが決め手になる。素晴らしい成果を挙げつつある地域を訪れて話を聞き、施策に反映させたい」とあいさつ、工藤市長は「IT企業が20社ほどあるが、立地を加速させて雇用創出につなげたい」と述べた。

 事例説明で、五稜郭タワーの中野晋専務は昨年の五稜郭築造150年祭で使用した円筒型の展示物「リトファスゾイレ」の活用を提案。「北海道新幹線開業に向け、道南18市町の歴史上の人物をリトファスゾイレで紹介したい。スマートフォンとWi—Fi(公衆無線LAN)機能を使い、まちの歴史などを外国語で紹介したい」と述べた。

 また、市立函館病院は電子カルテを相互閲覧するサービスを活用しているとし、下山則彦副院長は「医療だけでなく、地域包括ケアシステムをプラットフォームとして活用できないか検討を進めている」とし、国の施策展開を求めた。 (千葉卓陽)



◎〝狭き門〟激戦必至 函館市区8人乱立【15統一地方選】

 4月3日の道議選告示まで、残り1カ月を切った。函館市区は今回から1議席減り、定数5の〝狭き門〟となる中、現在までに8人が名乗りを上げ、道内有数の激戦区となる見通しだ。北斗市区や桧山振興局区も現職と新人の一騎打ちとなる構図が固まり、各陣営は支持拡大に向けて臨戦態勢に入っている。

 函館市区の鍵を握るのは、3人擁立と強気の戦略に出た民主党。現職の平出陽子氏(66)と高橋亨氏(61)、函館市議から転じる新人の見付宗弥氏(45)を公認したが、支持組織の連合は現職2人を推薦、新人は支援にとどめた。一方で、高橋陣営と連動する函館市議選候補は現職4人、見付陣営には現職1人と新人1人が付いたが、平出陣営は2人目の新人市議候補擁立を同党が見送ったため、現職2人のみとアンバランスな面もある。

 平出陣営は「女性も男性も生きやすい社会を目指し、弱い立場の人たちに光を当てる政策に取り組んできた。地域や市民に浸透させていくしかない」。高橋陣営は「自公の現職が安定している中で、民主の3候補擁立がどう影響するか読み切れていない。誰がこの4年間仕事をしてきたのかをきちんと見極めてもらえるよう政策を訴え、浸透を図っていく」とする。

 見付氏は引退する斉藤博氏(63)の後継との位置付けだが、これまで斉藤氏を支えた労組の一部は平出、高橋両氏に割り振られた。陣営幹部は「スタートから差があり、若年層を含めてあらゆる層に浸透させる活動を進めなくては」と危機感を募らす。

 自民党は現職2議席の死守が至上命題。川尻秀之氏(69)、佐々木俊雄氏(64)とも道議会の合間を縫って支持者回りを精力的にこなす。川尻氏は「保守系支持の企業、団体のすみ分けに問題はない」とし、それぞれ知事選と連動して支持拡大を図る。

 前回は川尻氏がトップ当選、佐々木氏が2位と安定した戦いぶり。今回も上位当選を目指し、北海道新幹線を活用した地域経済の活性化を訴えるが、定数削減に加えて新人出馬などによる保守票の分散が懸念材料。佐々木氏は「情勢は混沌としている」と引き締めに懸命だ。昨年12月の衆院選で前田一男氏が民主党の逢坂誠二氏に敗れたことも尾を引いており、両陣営とも「衆院選で民主に弾みがついたことは間違いない。勢いや盛り上がりには警戒が必要」と危機感をにじませる。

 公明党現職の志賀谷隆(61)氏は前回3位。今回も手堅い組織戦で臨むが、「上の方にはいない。最後の1議席を何人かと争うことになる」(陣営幹部)。激戦区になると認識した党中央の幹部がここ数週間で2度函館入りし、てこ入れを図った。

 道南ドクターヘリの導入など、1期4年の実績をアピールする考え。自身と同様に函館市議から転じる候補者もいる中、志賀谷氏は「自分は市議を20年経験した。負けるわけにはいかない」と語気を強める。

 共産党新人の本間勝美氏(46)は週5回の街頭演説のほか、党後援会や町内会の集会に精力的に参加。陣営幹部は「無党派層からの支援拡大が期待される」と8年ぶりの議席確保に手応えを感じている。本間氏は「道議会でも地域の課題を吸い上げ、市民の声を道・国政に必ず届ける」と話す。

 無所属新人の広田知朗氏(53)は「このままでは投票率が下がる。市民に新しい選択肢を提供したい」と、既成政党への批判票獲得を狙う。週明けにも街頭演説や集会など活動を加速させるが、「他陣営と同じように普通のことをしていても絶対に追いつかない」(広田氏)と、活動を差別化していく構えだ。

 また、過去3回出馬した元函館市議、大日向豊吉氏(64)も出馬を模索している。 (統一地方選取材班)


◎高校生の進路、大学生に相談を 14日ハゴラボで対話形式イベント

 高校生が抱える進路選択などの悩みに応えようと、函館市内の大学、短大の学生の有志グループが14日、函館市本町のコミュニティスペースハゴラボで対話形式のイベント「大学生と話そう」を開く。初めての試みで、メンバーは「高校生の生の声を聞きながら、大学生として情報を提供したり、アドバイスを送ったりしたい」と話している。

 有志グループのメンバーは、市内8つの高等教育機関などでつくる「キャンパス・コンソーシアム函館」の冬季集中講座「まちづくりに挑む!」に参加したした学生。北大水産学部や道教育大函館校、函館大学と在籍する学校はばらばらで、講座の中のアイデアを具体化させる形で開催する。

 大学生と高校生の交流のほか、本町地区に若者を呼び込むことも狙いで、まちづくり五稜郭が協力し、「五稜郭まちなか大学」として行う。当日は高校生と大学生がいくつかのグループをつくり、座談会のように対話を繰り広げる。メンバーの高田凱也さん(道教育大函館校3年)は「親や学校の先生には言えないようなことを相談してもらえれば」と話す。

 鈴木宏隆さん(北大水産学部3年)と和田翔永さん(函館大1年)も「高校生の背中を押すような対話を心掛け、笑顔で帰ってもらえるようにしたい」と意気込んでいる。

 時間は午後5時〜同6時。参加する高校生を募集しており、参加費は500円。お茶と菓子を用意している。問い合わせと申し込みは同社(TEL0138・56・1110)へ。 (松宮一郎)