2015年4月10日 (金) 掲載

◎全国初のバリアフリーホテル 21日オープン

 【乙部】館浦地区の旧ACCホテルを全面改装し、社会福祉法人江差福祉会(樋口英俊理事長)が運営する「バリアフリーホテル あすなろ」(館浦494)が21日にオープンする。障害者や高齢者、その家族らの利用を優先するサービスを目指しており、同法人によるとソフト・ハード面ともに完全バリアフリーのホテルは全国初。知的障害者の雇用を積極的に図り、樋口理事長は「できる限りのサービスで新幹線時代を見据えながら地域を盛り上げたい」としている。

 ホテルは鉄骨造り2階建て延べ床面積約2534平方㍍。同法人が旧ACCホテル側から土地と宿泊施設の無償譲渡を受け、昨年11月に着工、総工費7億1000万円で完全バリアフリーにした。

 客室は一般から高級仕様の3種類で計29室、最大宿泊人数は70人。自動ドアやリクライニングベッド、介護者用のベッド、車いす利用者らが使いやすい書斎を備える。1階の共用浴場は男女ともに車いすで移動できるサウナや露天風呂。家族風呂と介護用専用の浴室もある。

 レストランは本格広東料理で、朝食には同法人が手掛ける人気のパンも並べる。

 スタッフは計33人で、このうち知的障害者20人を採用。ホームヘルパー資格保持者による入浴介助、レストランや厨房の見習い、ベルボーイなどの業務に就く。

 9日には車いすを使う桧山振興局職員が館内を見て回り、ホテルスタッフと意見交換した。19日には、住民対象の内覧会(申し込み不要)を開く。(田中陽介)



◎道内3人目 藤村さん「電卓士」に

 函館商業高校(川眞田政夫校長)の会計ビジネス科を今春卒業した藤村園子さん(18)が、日本電卓技能検定協会が主催する電卓技能検定試験で5つの称号全てを取得し、「電卓士」に認定された。道内で3人目。藤村さんは「取得できるとは思っていなかった。うれしい」と笑顔を見せている。

 検定試験は年5回で、段位受験者は全員、共通の問題(乗算、除算、見取算、伝票算)を解く。事前に申告した段を受験し、基準点に達すると合格となり、初段から10段の段位に応じて5つの称号が与えられる。2010年度からは、全ての称号を取得した人を「電卓士」として認定。同校では、藤村さんの2学年上の小松麻梨乃さん(当時2年)が道内で初めて電卓士となって以来、2人目の認定となる。

 藤村さんは左利きで、電卓をたたくのは右手。高校入学後に電卓を始めたが、「授業では右利きの人に合わせて指導するため、指のポジションは自分なりに研究した」と苦労を話す。

 1年次の2月に正速士(6段)を手にした。2年次の7月には、一度不合格だった悔しさをばねに教士(8段)に、2月に範士(9段)に合格。この頃から電卓士を目指そうと決意を固め、3年次には7月に速士(4段)、2月に正士(2段)を取得した。

 試験では、40分間ひたすら電卓をたたき続ける集中力を要する。藤村さんは「(所属していた」珠算部で全道大会に出場した経験が精神力を鍛えてくれた」と回顧。それぞれの段位を取得するのに、レベルの維持と継続力も必要だ。

 4月から小樽商科大に進学。藤村さんは「範士の上の『名人』の称号にも挑戦してみたい」と意気込む。道内では前人未到の称号に向け、大学でも努力を重ねていく。(稲船優香)



◎道知事・道議選 投票率低下を懸念

 統一地方選の前半戦、道知事選と道議選の投開票日まで残すところあと2日となり、各陣営は投票率の行方を注視している。前回(2011年)は東日本大震災の影響で自粛ムードが広がり、道南全選挙区で投票率が低下。各陣営は「前回並み」という見方を示しながらも、人口減少や高齢化、衆院選などの投票率低下傾向を踏まえ、一層の低下を懸念している。

 前回の道議選投票率は函館市区で07年比3・86ポイント減の54・58%と、全道市区ワーストは逃れながらも過去最低水準に落ち込んだ。北斗市区も同4・93ポイント減の57・91%、桧山振興局区も同5・30ポイント減の72・62%にとどまっている。

 定数5に対し7人が立候補している函館市区。公明党現職の陣営は「知事選が与野党対決で伯仲していることもあり、投票率は上がるとみている」と期待を込める一方、民主党現職陣営は「知事選が今ひとつ盛り上がっておらず、前回並みになるのでは」と分析。自民党現職陣営は「人口減少や高齢化の影響は選挙にも及んでいると実感する。お互いに支持者を固めた中で、票の奪い合いという様相」と打ち明ける。

 前回は最下位当選者が1万4700票だったが、今回は定数が1議席減っているため、ある陣営は「前回からの上積みが必要で、当確へのボーダーラインは2000〜3000票は上がる」と分析。別の陣営も「1万7000票台以上確保しなければ安全圏とは言えない」とする。市区は大間原発(青森県大間町)への対応という争点もあるが、共産党新人陣営は「有権者の大間原発への関心はうかがえるが、投票率は前回並みでは」とみている。

 無所属同士が一騎打ちで争う北斗市区は、函館市のベットタウン地域で新興住宅地を抱える七重浜、追分地区の投票動向が勝敗を分けると分析。ただ、両陣営から「昼間は人がおらず、どうアピールするかが難しい」との声が聞かれる。

 現職と新人が競り合う桧山振興局区もまた、「昨年末の衆院選(桧山管内全体で66・34%)と同程度になるのでは」(新人陣営)と低下を予測している。


◎七飯—大沼ICに7億円…予算計上、本年度着工へ

 9日に成立した国の2015年度予算で、北海道縦貫自動車道七飯インターチェンジ(IC)—大沼IC(10㌔)間の整備予算について、北海道開発局の事業計画通り、着工費用を含む約7億円が計上された。

 2月25日に示された同計画では、七飯地区側500㍍区間の道路改良工事をはじめ、測量設計、用地買収に最大で7億円を計上。満額の予算が確保された。

 七飯—大沼間は約7㌔がトンネル。06年2月に国の新直轄方式となり、ネクスコ東日本から事業を引き継いでいたが、なかなか着工費用を盛り込んだ予算が配分されなかった。改行 14年度は測量や用地買収3億4500万円が計上された。全体事業費は914億円で、14年度までの進捗(しんちょく)率は約9%。用地買収は約71%。事業の完了時期は明記していないが、着手からおおむね10年程度となる23年度を目指すとしている。

 このほか、道南関係では、函館江差自動車道茂辺地—木古内間(16㌔)に67億7000万円、函館新外環状道路に45億5000万円が配分された。