2015年4月11日 (土) 掲載

◎観光路線バス車内で音声案内導入へ…函館バス

 函館バス(高盛町、森健二社長)は年内にも観光路線バス「五稜郭タワー・トラピスチヌシャトルバス」の車内で、車窓の名所や見どころを紹介する音声案内を導入する。来年3月の北海道新幹線開業、増加する観光客へのもてなしのひとつだ。まちの魅力アップに取り組む市民の集まり「新幹線開業はこだて魅力創造ゼミナール(はこゼミ)」のメンバーから提案を受けたことがきっかけとなった。メンバーが考案したものをもとにするという。

 函館駅前から五稜郭タワーを経由し、トラピスチヌ修道院まで行くシャトルバスの車内では音声案内がなく、無音となる時間が多いのが現状。はこゼミメンバーが観光客への情報提供が不足していると感じたことが提案の発端だった。

 はこゼミのメンバーに加え、函館大の学生らも参加し、7人で昨年春から名所や見どころの文案づくりを開始。今年3月には実際にバスに乗り込んで原稿を読み上げる実験も行った。文面は土方歳三や修道院、市電の解説のほか、イカや方言に関するクイズも盛り込む工夫もあり、実験では乗客に好評だった。

 はこゼミメンバーが10日、同社を訪れ、森健二社長に考案した音声案内の文章を手渡し、導入を提案。森社長は「素晴らしい文章を考えていただき、ありがたい。増加する外国人観光客にも対応するようにしていきたい」と語った。

 メンバーで金森商船の柳谷一美さんは「まだまだ改善する余地はあるが、形にできて良かった。乗客に楽しんでもらえれば」と話した。(松宮一郎)



◎電動自転車で観光いかが…レンタル事業今季営業開始

 北海道新幹線新函館開業対策推進機構(会長・西村憲人函館商工会議所副会頭)は11日、電動アシスト付自転車のレンタル事業「はこりん♪」の今シーズンの営業を始める。市内のホテルなど3カ所で計14台配備し、観光地をめぐる足として活用してもらう。

 同事業は新幹線開業を見据え、観光客の利便性を高める目的で2010年にスタート。利用者数は年々増加し、昨年は過去最高となる1333件の貸し出しがあった。

 取り扱い窓口と配備台数は、ロワジールホテル函館(若松町)が6台、地域交流まちづくりセンター(末広町)とホテルネッツ函館(本町)が4台ずつ。利用期間は11月23日までの午前9時〜午後6時で、需要が多い6月1日〜8月31日は午後7時まで営業時間を延長する。利用は中学生以上。4時間まで1000円、1日(営業時間内)は1600円。正午までに返却する朝割500円もある。

 同機構は新幹線開業後、16年度末に解散を予定しているため、今後の運営について「観光事業に携わる関係者と協議し、移管先を探したい」としている。(山田大輔)



◎親子3人はね暴行…殺人未遂容疑で男逮捕

 10日午前11時40分ごろ、函館市富岡町3の市道で、軽乗用車が歩道に突っ込み、親子3人がはねられたと110番通報があった。3人は救急車で市内の病院に運ばれたが命に別条はないという。函館中央署は、はねた後に父親らに暴行を加え現場から逃走していた同市神山3、無職中村孝容疑者(43)を殺人未遂の疑いで逮捕した。

 逮捕容疑は、同市内の会社員男性(23)と長女(3)、長男(1)の3人を軽乗用車で故意にはね、顔などにけがをさせた疑い。

 同署によると、現場は保育園「ピッコロ子ども倶楽部富岡園」前の幅員3・2㍍の歩道上。同容疑者は5、6㍍前の交差点から歩道に乗り上げ、歩いていた親子3人を後ろからはねたという。現場にブレーキ痕がなく、減速せずに車を走らせていたとみられる。

 さらに、同容疑者は車から降りて父親を殴り、止めに入った目撃者の男性と近くで幼児をかばった女性にも暴行したという。同容疑者は車を置いたまま逃走したが同日正午ごろ、現場から北方向に約500㍍先の「ヤマダ電機」付近の路上を歩いていたところを同署員が発見し、取り押さえた。

 調べに対し、同容疑者は「むしゃくしゃした気持ちをぶつけるためにひいた。相手がどうなってもいいと思った」などと容疑を認めているという。いやがらせを受けていたとも供述している。被害者の親子との面識はなかった。親子は買い物に行く途中だったという。


◎各陣営 訴え加速…道議選あす投開票

 任期満了に伴う道議選は12日に投開票を迎える。道南3選挙区はいずれも混戦模様で、各陣営とも政策を浸透させ、名前を売り込もうと運動を展開。遊説や個人演説会を細かくこなしながら、知事選候補と連動した戦いを繰り広げるなど支持拡大に懸命だ。

 ●函館市区(定数5)

 今回から定数が1議席減少した中、一定の地力を持つ7人が立候補している。

 届け出順に、平出陽子氏(民主・現)は教育問題や女性を取り巻く課題に取り組んだ実績に加え、貧困問題是正への挑戦を訴える。街頭集会の反応も良く、陣営は手応えを感じる一方、確実な投票を呼び掛けるなど支持固めに奔走する。

 高橋亨氏(民主・現)は大間原発の建設凍結に向けた道議会決議の立案に携わったことなど実績を強調。個人演説会も盛況で、高橋道政への対峙(たいじ)姿勢も明確にする。陣営は棄権防止対策を講じ、基礎票の引き締めを図る。

 見付宗弥氏(民主・新)は若さを強調した遊説を展開し、人口減少への危機感共有を訴える。同党の鈴木貴子衆院議員が参加した個人演説会では新党大地支持層にも支持拡大を求めた。〝大地効果〟を追い風にしてムードを高める。

 本間勝美氏(共産・新)は住宅地を中心に街頭演説でくまなく回り、無党派層の掘り起こしを図る。10日は同党の宮本徹衆院議員が応援に入った。陣営は「候補者と党の訴えは浸透している」とし、8年ぶりの議席奪還を目指す。

 佐々木俊雄氏(自民・現)は地域経済活性化や北海道新幹線開業を見据えた観光振興、交通ネットワークの整備を訴える。市内をくまなく遊説しているほか、町会館での個人演説会で、票の掘り起こしに力を入れている。

 志賀谷隆氏(公明・現)は1日6、7回演説を行い、道南ドクターヘリ運航開始などの実績をアピール。「これほど厳しい選挙は経験がない」(陣営)と引き締めに懸命で、同党の横山信一参院議員も頻繁に函館入りしている。

 川尻秀之氏(自民・現)は6期24年の実績を訴えながら、票の上積みを図る。遊説や集会では北海道新幹線開業に尽力したことを強調。人口減少問題を課題に挙げ、地域経済活性化や暮らしの安心、安全を守ると訴える。

 ●北斗市区(定数1)

 無所属現職と新人のつばぜり合いが続いている。

 高村智氏(無所属・新)は場所によっては自転車に乗って遊説し、若さをアピール。9日は茂辺地地域で個人演説会を開き、支持者らに公約を訴えた。最終日は七重浜、追分地区を重点的に遊説し「日増しに手応えを感じている」と陣営。

 長尾信秀氏(無所属・現)は遊説と街頭演説のほか、七重浜や旧大野町地域など4カ所で個人演説会を開催。民主党を離党した真意を説明しながら、政治姿勢や現職としての実績をアピール。陣営は「最後まで引き締めていく」と話す。

 ●桧山振興局区(定数1)

 前回に続いて民主現職と自民新人の一騎打ち。

 内田尊之氏(自民・新)は前田一男衆院議員や伊東良孝党道連会長、柿木克弘道連幹事長らのほか、管内の多くの首長が選挙カーに乗って支援。党独自の調査では「1カ月前は引き離されていたが、今は追いついた」と巻き返しを狙う。

 福原賢孝氏(民主・現)は労組系の支持を受けながら、演説会をこまめに開く地道な戦いを進めている。道議会での積極的な一般質問や、4期目には主要ポストに就く可能性があるとした上で、3期で培った人脈と行動力を強調する。