2015年4月12日 (日) 掲載

◎新幹線陸揚げ 移動再び 「H5系」第2陣作業

 2016年3月開業の北海道新幹線で使用する車両「H5系」の本道への搬入作業が再び行われている。緑と白の真新しい車体が函館港の港町ふ頭に陸揚げされ、深夜にはトレーラーを使って七飯町の総合車両基地まで陸送した。

 道新幹線で使用するのは全部で4編成40両。昨年秋に第1陣として2編成20両が運び込まれており、今回が第2陣となる。第1陣のときと同様に貨物船からクレーンを使って降ろされ、ふ頭に車両が並べられた。

 第1陣の2編成は組み立てた後、整備と点検を経て走行試験を行っており、今回も同様の流れで作業するとみられる。また、21日からはJR北海道と鉄道運輸機構が試験走行を再開させる。5月下旬には新青森駅までの新設区間全線(約149㌔)を走行する予定という。  (松宮一郎)



◎朝市ひろば1周年 利用好調

 函館市若松町の「朝市ひろば」が12日、リニューアルオープンして1周年を迎える。観光客の利便性を高めようと導入した電子マネーや訪日外国人客向けの決済サービスは、月100件以上の取り扱いがあり、好調だ。一方で、地元市民の大幅な集客増にはつながっておらず、「市民の台所」への原点回帰を目指したコンセプトは道半ばだ。

 同施設は旧渡島ドームが老朽化したことから、5億5000万円かけて鉄筋2階造の建物に改築。「物産街」「産直市」「フードコート」で構成する1階には約60店が出店し、海産物や土産品を販売。2階はイベントホールや会議室など、市民が集う役割を担っている。

 施設を管理運営する函館朝市まちづくりの会の坂口雄一社長(67)は、「季節を問わず快適な環境になり、客数は増えている」と成果を強調する。外国人客も増加し、中華圏の旧正月「春節」の期間は、クレジットカードを使って特産品を大量購入していく客の姿もあったという。

 一方、市民に足を運んでもらおうと整備した産直市のゾーンは、試行錯誤が続く。客の反応などを見ながら、扱う野菜の種類を増やしたり、売り場の陳列を変えたりしている。産直市を担当する扇谷保さん(63)は「口コミで少しずつ買い物客は増えているが、もっと市民にアピールする方法が必要だ」と課題を指摘する。

 9日には1周年を記念したレセプションがあり、約80人が参加、同施設のさらなる発展を願った。坂口社長は「市民にも観光客にも愛される施設を目指したい。新幹線時代に向けて、さらに知恵を絞り、フットワークを軽くして行動したい」と意欲をみせていた。  (山田大輔)



◎青空の下ナイスショット! 市営PG場営業開始

 「ナイスショット!」—。函館市内4か所の市営パークゴルフ場が11日、今季の営業を開始した。それぞれの施設では、クラブでボールを打つ快音と利用者の笑い声が青空の下にこだましていた。

 オープンしたのは、空港緑地志海苔ふれあい広場、白石公園、すずらんの丘公園、函館市恵山シーサイドの各パークゴルフ場。11月30日までの期間中、供用する。

 すずらんの丘公園パークゴルフ場ではオープンから約1時間半の間に待ち望んでいた愛好者ら約170人が訪れた。臥牛山コース18ホール(955㍍)と海峡コース18ホール(995㍍)の計36ホール(1950㍍)があり、市内でも有数の多彩なホールを堪能でき、昨シーズンは6万7141人の利用者数があった。利用者の約8割は高齢者だが、子どもから大人まで誰もが気軽に楽しんでいる。

 東山町在住の無職高橋輝彦さん(79)は「冬の間は室内で練習していたが、外で久しぶりに打つと距離感を取り戻すのに1週間はかかりそう。良い景色の中、仲間たちと和気あいあいとプレーできてとても楽しい」と顔をほころばせ、元気いっぱいにクラブを振っていた。

 同施設の一日の利用料金は、一般(学生を含む)400円、市内在住の65歳以上200円。市内在住の障がい者や市内学校の生徒・児童らは無料。共通シーズン券は1万円。営業時間は4、5月と9〜11月が午前9時〜午後5時、6〜8月は午前8時〜午後6時。休場日は第2・4火曜日。 (斎藤彩伽)


◎芹沢さんの考古学研究を集約 没後10年記念し函館の横山さん

 日本の考古学者で、七飯町峠下の聖山遺跡の発掘調査も手掛けた故芹沢長介さん(1919〜2006年)の没後10年を記念し、私設「北海道考古学研究所」(函館市高丘町)を主宰する横山英介さん(72)が、自ら発行する会報「斬新考古」で芹沢さんの研究にかかわる論文をまとめた。横山さんら芹沢さんのもとで遺跡調査に携わった教え子13人が論文を寄稿し、遺志を継ぐ思いを新たにした。

 芹沢さんは旧石器時代、縄文時代研究の国内第一人者で、79年に聖山遺跡を発掘調査した。東北大や東北福祉大の名誉教授にも就いた。横山さんは明治大で考古学を学び、1966年3月卒業。67年から5年間、東北大で芹沢さんの助手として遺跡調査に携わった。

 今回で3号となった斬新考古では「〝芹沢学〟の底流をゆく」と題して特集。寄稿者それぞれが研究成果を執筆した。横山さんは「北海道考古学、5つの論点—その後」と題して、本道の稲作起源や焼畑農業についてまとめた。

 芹沢さんの命日に当たる先月16日に発行した。A4判42㌻。500部作製した。1部1200円。

 横山さんは「芹沢先生には考古学は実証主義が原点だということをたたきこまれた。『芹沢学』を知る1冊になれば」と話す。

 購入希望者は横山さん(℡090・7645・1163)へ。 (鈴木 潤)