2015年4月18日 (土) 掲載

◎函館山登山道が開通

 冬季通行止めとなっていた函館山登山道(道道立待岬函館停車場線)が17日午前11時に開通した。登山ゲート前には13台が列をつくり、ドライバーは沿道で安全運転を訴える人たちに手を振りながら、一斉に走り出した。

 開通したのは市内青柳町のゲートから山頂までの約3・6㌔。25日から9月30日までの間、混雑防止のため、自家用車は午後5時〜同10時は通行禁止となる。

 夜明けごろから並び、6年越しの一番乗りを果たした市内のパート江口光一さん(52)は「一番はうれしい。ここに来るとやっと春が来たという感じがする。次は天気のいい日に来たい」と笑顔で話し、北斗市の会社員山本博幸さん(44)は「桜のつぼみを見ながら楽しんで行ってきます」と話していた。

 開通に合わせて交通安全啓発活動も行われ、市市民部交通課、青柳町会、函館西署、函館西交通安全協会などから約30人が参加。参加者は雨が降る中、「スピードダウン」と表示した旗を掲げ、ドライバーに安全運転を呼び掛けた。

 同町会の寺嶋朋子さん(69)が作ったカエルのお守りを配布したほか、元町婦人防火クラブ(江藤久栄会長)のメンバー4人はパンジーの鉢植えを手渡した。同クラブの大野薫副会長(75)は「緑を大切に、火事に気を付けて函館山からの景色を楽しんでほしい」と話していた。(能代俊貴)



◎ライター野村さん、「大間原発」ルポ出版

 函館在住のフリーライター野村保子さんが、新刊「大間原発と日本の未来」(寿郎社)を出版した。対岸で建設が進む同原発にどう向き合うかという問題について市民視点で書き下ろしたルポルタージュで、「危険な大間原発を止めるため、ぜひ読んでほしい」と呼び掛けている。

 野村さんは、1986年に発生した旧ソ連のチェルノブイリ原発事故を契機に反核を意識するようになった。94年には市民団体「ストップ大間原発道南の会」設立の呼び掛け人となり、反原発運動にかかわりはじめた。現在係争中の建設差し止め訴訟について「大間原発訴訟の会」(竹田とし子代表)原告団にも参加している。

 2012年、地方からの発信を強める個性的な同社(札幌)の編集者から依頼を受け、執筆を開始。14年には函館市が自治体初の建設差し止め訴訟を起こすなど情勢の変化もあり、何度も書き直す作業を経て上梓した。

 全13章のほか、序章と終章が付く。3月末で京大原子炉実験所助教を定年退官した小出裕章氏が解説を寄せている。フルMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)原発の危険性やABWR(改良型沸騰水型軽水炉)についても、平易な文章で分かりやすく説明している。

 野村さんは「大間は自分の問題になったときに止まる。危険を知ることで大間は止まるので、建設問題に向き合ったことのない人にも手に取ってほしい」と話す。

 3月31日発行。四六判。296㌻。定価2052円。問い合わせは野村さん(TEL090・6696・5781)へ。(山崎大和)



◎現新一騎打ちへ、函館市長選あす告示

 統一地方選後半戦で、任期満了に伴う函館市長選と函館市議会議員選、北斗市議会議員選が19日に告示される。午前8時半から函館、北斗両市役所で立候補受け付けが行われ、26日の投票日まで7日間の選挙戦に突入する。函館市長選は無所属現職の工藤寿樹氏(65)と、無所属新人で元衆院議員秘書の広田知朗氏(54)=五十音順=の一騎打ちとなる見通しだ。

 市長選は過去2回、現職市長と元副市長が対決する構図が続いていたが、今回は2003年の井上博司氏(現職)と斎藤進氏(新人)以来となる、現職と民間出身候補の争いとなる。

 工藤氏は「改革と挑戦」を掲げ、自治体で初めてとなる大間原発差し止め訴訟の提起で全国的な注目を集めた。2期目に向けては経済再生と少子化対策を最重要政策に挙げる。来年3月に迫る北海道新幹線開業を見据えた中心市街地の活性化や、外国人観光客の誘致促進を打ち出し、交流人口の拡大を訴える。ハード面では亀田地区の老朽化した公共施設を整理統合した「市民プラザ」の建設を盛り込んだ。

 1期目は2年連続の収支均衡予算実現など、財政再建で実績を挙げた。行財政改革で生まれた財源を福祉や教育の充実に回す方針も打ち出した。  広田氏は当初、道議選函館市区に出馬する意向を示していたが、市長選戦後初の無投票を避ける観点から方針を一転、4月上旬に立候補を表明した。「民間市長にバトンタッチ」をスローガンに掲げて挑む。

 工藤氏が手掛けた大間原発訴訟を批判し、訴訟を取り下げた上で原発から半径30㌔圏内の他自治体との連携や、全国市長会への働き掛けを通じて建設中止を訴えていく考え。政策では高齢者交通料金助成の上限撤廃や小・中学校統廃合の見直し、外国人留学生の誘致に向けた西部地区での「国際交流会館」整備などを掲げ、現職とのカラーの違いを打ち出している。

 工藤氏は大間原発差し止め訴訟で市議会の全会一致を得たほか、自民、公明が推薦、民主も支援を表明。函館商工会議所の政治団体、日本商工連盟函館地区連盟も推薦を決め、独走態勢を築いている。対する広田氏は高校卒業後の約35年間函館を離れ、伊達市議や衆院議員秘書の経験を積んできた。支援体制が手薄な中で現職に対する批判票をどれだけ集められるかが、選挙戦の鍵を握る。

 函館市議選(定数30)には現職26人、元職1人、新人6人の計33人が出馬を予定。北斗市議選(同22)には現職19人、元職2人、新人3人の計24人が立候補する見通し。(統一地方選取材班)



◎JR北幹部「3時間50分台」確実、新函館北斗—東京最速列車

 JR北海道は、2016年3月に開業する北海道新幹線で焦点となっている高速走行について、新函館北斗—東京間を1日1往復、3時間50分台で運行する方針を固めた。16日に東京都内で開かれた与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)の勉強会で同社幹部が実現を目指すことを明言。運行ダイヤに4時間を切る列車が加わることがほぼ確実になった。木古内駅などの停車駅を通過させることで実現する。

 勉強会の事務局長を務める前田一男衆院議員が17日に函館市内で開いた定例会見で明らかにした。

 北海道新幹線は青函トンネルを含む約82㌔が在来線との共用区間。貨物列車とすれ違う場合、安全確保のために速度を落とさなければならず、新函館北斗—東京間は4時間10分ほどになるとみられている。

 ただ、沿線自治体や地元経済界は利用者へのアピール効果のために3時間台で運行する列車を加えるように要望。与党PTも国交省とさまざまな案を検討し、同社に申し入れていた。

 同社は、停車駅を通過することで青函トンネル内を140㌔で走行しても3時間台での運行が可能と判断。勉強会に出席した菅野光洋常務は、最低でも1日1往復3時間50分台での運行を目指すと説明した。具体的な時間や通過する駅に関しては明言を避けた。

 今後は18年春までに貨物列車の時間の調整で200㌔台を目指すほか、すれ違い時の減速システムの開発を検討していくという。会見で前田氏は「安全性を第一に考え、さらなる高速化を目指してもらいたい」と語った。(松宮一郎)