2015年4月21日 (火) 掲載

◎北洋資料館でベーブ・ルースのサインボール展示

 1934(昭和9)年11月に開かれた日米野球函館大会の始球式に使われ、アメリカの国民的ヒーロー、ベーブ・ルース(1895〜1948年)や、日本選抜主将で函館太陽倶楽部(オーシャンクラブ)でプレーした久慈次郎捕手(1898〜1939年)のサインが入ったボールが、函館市北洋資料館(五稜郭町37)で展示されている。同館の古川志乃館長は「野球に興味のある人に足を運んでもらい、北洋漁業にも関心を寄せてくれれば」と来館を呼び掛けている。

 このサインボールは、始球式を行った当時の函館市議会議長(後の第7代函館市長)登坂良作氏(堤清六の妹・ハルと結婚)の長男で、東京在往の幸作さん宅に保管されていたものを、2012年に旧ニチロ(現マルハニチロホールディングス)OBで構成するニチロ会の加藤清郎会長が受け取った。13年からニチロビル内で披露していたが、今年3月末に市立函館博物館に寄贈。北洋資料館は、同博物館所蔵の北洋漁業に関する資料を展示している関係から、ボールの公開が決まった。

 日米野球函館大会は、この年の3月に発生した函館大火からの復興を願った久慈捕手が開催を熱望し、久慈捕手や第8代日魯社長の谷脩治氏の尽力で実現した。それから80年を経て、サインの一部はかすかになってきたが、ボールにはつやがあり、縫い目はしっかりしている。

 加藤会長は「ボールは函館と日魯の深い関係を周知する活躍を得た。ベーブ・ルースは投手として94勝、打者として714本塁打を記録した大選手。日本ハムの二刀流、大谷翔平選手も彼のような成績を残せるように頑張ってほしい」と話した。

 開館時間は午前9時〜午後7時(11〜3月は同5時)。入館料は一般100円、小学生〜大学生50円(市内に在往または通学する小・中学生は無料)。(山崎純一)



◎水稲育苗始まる

 【北斗】北斗市内で、2015年産水稲の育苗作業が始まった。丈夫な苗を作るとともに、今年の米価回復を願って農家は作業を進めている。

 農業では「苗半作」と言われ、苗の出来が作柄を左右するとされる。

 16㌶を作付ける市内清水川の森隆志さん(50)は、例年並みの19日から作業を開始。家族5人で自動播種(はしゅ)機を使って種もみを丁寧にまき、覆土。4日ほどかけて6000枚の苗箱を作るという。出来上がった苗箱をハウス内に並べ、約1カ月間育て、10㌢弱の苗を5月下旬から田植えする。

 森さんは「ふっくりんこ」「ななつぼし」「きたくりん」の3品種を全て移植栽培しており「温度管理に十分気を付けて健苗を作りたい」と話す。

 市内では、人手が確保できる土・日曜から育苗作業を始めた農家が多く、1週間ほど続く見通し。(山崎大和)



◎世界料理学会開幕

 国内外の著名な料理人が集う「第5回世界料理学会inHAKODATE」が20日、函館市芸術ホールで開幕した。シェフらがさまざまな演題で、料理に対する哲学やテクニックなど紹介したほか、夜は函館国際ホテルで交流パーティーが開かれ、大勢の来場者でにぎわった。

 実行委(深谷宏治代表)主催。今回のテーマは「発酵」。21日までの2日間で、日本やスペイン、台湾など世界各国から集まった著名な料理人ら42人が、自らの料理に対する思いを熱く語る。

 開会のあいさつで深谷代表は「当初は料理人のための学会としてスタートしたが、多くの人が参加し、料理に携わる多くの人たちのための学会に姿を変えていった。参加者それぞれが抱いている料理哲学を、思う存分話してもらいたい」と述べた。

 その後のオープニングトークでは、美瑛料理塾(上川管内美瑛町)の齊藤壽塾長が「いま料理界で起こっていること」と題して講演。閉校した小学校を改築し、パン工房やレストラン、宿泊施設を備えた同塾の様子を紹介。「東日本大震災をきっかけに、表土に対する放射能の影響を考える流れがある。土づくりが料理のベースになっていることを忘れてはいけない」と話した。

 21日は函館国際ホテルを会場に、分科会や青函食材見本市などが開かれる。当日の聴講券は3000円。(平尾美陽子)



◎函館市、観光部の業務体制見直し

 函館市は、来年3月の北海道新幹線開業や増加する外国人観光客への対応を強化するため、本年度から観光部の体制を見直した。昨年度までの観光振興課、ブランド推進課の業務を観光企画課、観光推進課、国際観光課に再編し、既存のコンベンション推進課を加えた4課に変更。小山内千晴部長以下25人体制で業務に当たっている。業務の専任制を高め、効率化を図ることで、国内外を問わず観光客の受け入れ態勢を充実させる。

 函館を訪れる観光客の入り込み数はリーマンショックや東日本大震災後の低迷を脱し、全体として回復基調。特に函館空港とを結ぶ海外路線は、3月に台湾便が2社で計週10便、中国・天津を結ぶ定期路線が開設、7月には首都北京との定期便就航を予定する。宿泊客も年間30万人時代となり、今後もさらなる増加が予測されている。

 観光客誘致は国内客、海外客にターゲットを分けて対応。国内観光を担う観光推進課は新幹線開業を見据えた国内プロモーション活動、青函圏観光都市会議をはじめとする広域連携も所管。国際観光課は海外観光客誘致活動の展開、外国人客のニーズの高いWi−Fiの整備など受け入れ環境の充実を図る。

 また、庶務全般を担う観光企画課では、観光案内所など施設の整備改善などを担当。コンベンション推進課は、8月に函館アリーナ開設を控え、MICE(マイス、会議や展示館などの総称)の誘致推進、映画やテレビ番組などの撮影誘致などを進める。

 同部の伊与部隆次長は「新幹線開業に限らず、全国への函館のPRや受け入れ態勢の充実、滞在型観光の推進が必要。国内外に目を向けた観光行政を推進していきたい」と話している。(今井正一)