2015年4月27日 (月) 掲載

◎函館市長 工藤氏が再選

 任期満了に伴う道南の首長・議会議員選は26日、投開票が行われ、函館市長選は無所属現職の工藤寿樹氏(65)が9万914票を獲得、無所属新人で元衆院議員秘書の広田知朗氏(54)を6万6263票の大差で破り、再選を果たした。工藤氏は1期4年間の実績を生かして終始優勢に選挙戦を進め、急きょ出馬した広田氏を寄せ付けなかった。

 函館市長選は、工藤氏が主導した大間原発(青森県大間町)の建設差し止め訴訟の是非が、最大の争点となった。

 工藤氏は就任後から国や電源開発(東京)に無期限凍結を再三要請したが、聞き入れてもらえなかったとして、昨年3月に市議会の全会一致を得て提訴に至った経緯を強調。「市が訴える必要がない」とする広田氏の批判に対しても反論を強め、訴訟の必要性を主張した。

 就任当初から強いリーダーシップを発揮し、市職員の給与・退職手当削減や事業仕分けなど行財政改革を進め、2年連続収支均衡予算の実現など財政再建に成功。函館アリーナや中心市街地再開発ビルの整備など大規模事業も手掛けた。今年1月に再選出馬を表明、今選挙では経済再生を重点施策に掲げながら、人口減少時代を見据えた交流人口の拡大や子育て支援の充実を訴えた。初当選時とは異なり、今回は自民、公明の地元組織が推薦し、民主も支援。市政継続を求める市民の心をつかんだ。

 広田氏は今年1月に函館へUターン。当初は道議選函館市区への出馬を目指していたが、市長選の無投票を避けようと、告示直前に出馬表明した。

 工藤氏の市政運営を「4年間でやったことは大間原発訴訟とハコモノだけ」と批判。訴訟を取り下げて国とのコミュニケーション改善を図るとする対立軸を打ち出すとともに、函館アリーナの維持運営費などに疑問を投げ掛け、民間出身者による市政への転換を訴えた。組織や政党の推薦に頼らない独自の戦いを展開、地元住宅建設業者が支援したが、事前の準備不足は否めず、支持に広がりを欠いた。 (統一地方選取材班)