2015年4月9日 (木) 掲載

◎JR北海道、大沼のホテル売却へ

 【七飯】JR北海道は8日、七飯町のホテル「クロフォード・イン大沼」(大沼公園駅近く)と旭川市の「ロワジールホテル旭川」を売却すると発表した。売却益は2軒合わせて約10億円を見込んでおり、安全対策と北海道新幹線の開業対策に充てる計画だ。クロフォードは営業を継続したまま今後売却先をみつけ、交渉に入る方針だ。

 クロフォードは1993年に開業。敷地面積は2万340平方㍍、延床面積は2125平方㍍。客室は30室を有する。同社が所有するホテルの中では唯一、観光地に立地するリゾートタイプのホテルで、子会社が運営を担ってきた。大沼の自然に囲まれ、観光客に人気だったが、開業以来赤字が続いていたという。

 ホテル2軒の売却は3月20日の取締役会で決定。北海道新幹線開業を来年3月に控えていることに加え、事故やトラブルが相次いだことから安全対策に多額の費用を必要としており、同社は「新幹線開業と安全対策に経営資源を集中させなければならない」と説明する。

 2軒とも本年度中の売却を目指しており、旭川のホテルはすでに売却に向けた交渉に入っている。180人ほどの雇用継続も決まっているが、大沼はこれから売却先をみつける段階。同社は「20人を雇用しているが、今後は未定」とする。

 ◇営業継続を切望

 同ホテルと連携して遊覧船と宿泊を絡めた観光プランを提供する大沼合同遊船の小泉真社長(54)は「大沼地区から宿泊施設が減ることは、大沼観光にとって大打撃。売却後もこれまでと同じく継続して営業することを望む」と痛切に訴える。大沼町の飲食店「キッチンさわで夢屋」の澤出明宏さん(46)も「通過型観光に拍車がかかってしまわないか不安。今後もホテルとして継続運営してもらいたい」と話した。(松宮一郎、野口賢清)



◎8月オープン函館アリーナ、利用申し込み始まる

 8月にオープン予定の函館アリーナ(函館市湯川町1)各施設の専用使用の申し込み受け付けが市民会館で始まった。7、8の両日に行われた今年8月分の予約受け付けには、これまで旧市民体育館で活動していたスポーツ団体やサークルなどの関係者が来館し、早速、新施設の利用を申し込んだ。

 8月分のメーン、サブアリーナなどの予約を開始した7日はフットサルのサークルなど4団体が訪れた。8日には武道館、スタジオの申し込みに約20人が来館した。8月には全道大会や、全国規模の中学校柔道大会の予定があり、一般の使用はできない日もあるが、各団体の希望時間帯に重複はなかった。

 約30人の会員が週1回の活動をしている「リズム体操オーロラ」の石川京子さん(67)は「まだ施設のイメージがはっきりしないが、新しい施設で体を動かすのを楽しみにしている」と話す。武道館の使用を申し込んだ「臥牛柔道スポーツ少年団」の梅本実代表(70)は「施設が広くなるのは良いこと。やむを得ないことだが全館貸し切りの日もあるので希望日に使えないこともあるのでは」と話していた。

 9月分のメーン、サブアリーナ、会議室の使用申し込みは13日、武道館とスタジオは14日の午後1時から受け付ける。17日は10月1〜17日の使用分の申込日で、同18日以降は毎日、事務局で受け付けする。問い合わせは同アリーナ(TEL0138・57・3141)へ。(今井正一)



◎道南の公立高で入学式

 道南の多くの公立高校で8日、入学式が行われた。渡島と桧山の両管内で、約2500人が希望と期待を胸に、新たな生活をスタートさせた。

 このうち、函館商業高(川眞田政夫校長、生徒592人)では、新入生200人が吹奏楽部の演奏に迎えられて入場。担任教諭に名前を呼ばれると、一人一人が返事をして起立し、引き締まった表情を見せた。

 川眞田校長は同校の教育目標を紹介し、「個人、社会人、産業人としての資質を磨いてほしい。一人一人には優れた個性と能力があり、鍛えれば伸びる。その可能性に挑戦してください」と激励した。

 新入生を代表して、会計ビジネス科の埜澤彩香さんが「来年で創立130年を迎える函館商業高の名に恥じぬよう、勉強や部活、資格取得にチャレンジし、3年間を有意義なものにするよう精一杯努力する」と宣誓。教職員や来賓の同窓生、合唱部が校歌を披露し、新入生を歓迎した。

 函館工業高(全日・定時制)と大野農業高は9日に行う。(稲船優香)


◎函館市長選、「大間訴訟」最大の争点に

 任期満了に伴う函館市長選(4月19日告示、26日投開票)に、元衆院議員秘書の広田知朗氏(53)=無所属=が8日、出馬を正式表明し、再選を目指す工藤寿樹氏(65)=無所属=との選挙戦が確実となった。広田氏は大間原発(青森県大間町)の建設差し止め訴訟について「当選したら取り下げを検討する」と新たな対立軸を提示、同原発への反対姿勢の在り方が選挙戦最大の争点となりそうだ。

 工藤氏は2011年4月の初当選後、民主党と自民党の両政権や事業者の電源開発(東京)に対して計4度、建設の無期限凍結を要望した後、「何もしていただけず、やむを得ない」とし、市議会の全会一致を経て昨年4月に国と同社を提訴した経緯がある。

 これに対し広田氏は会見で「国とのコミュニケーションが取れなくなる。訴訟は最後の切り札で、使ってしまうことは考えられない」と批判。原発から半径30㌔圏内に位置する全国の他の自治体との連携など、法的手段を使わずに中止を模索する意向で、提訴という手法の是非を問う考えだ。

 広田氏はさらに、工藤氏の行政運営について「北海道新幹線が来るのに人口が減少している。4年間でやったことは大間原発の訴訟と大型ハコモノ事業だけ」と指摘。工藤氏が取り組んだ高齢者の交通料金助成に上限を設ける施策の見直しや、市立小中学校の統廃合をゼロベースで見直すことなどを公約に掲げた。

 一方の工藤氏は函館新聞の取材に対し、「敬老祝い金など、ばらまきをやめただけ」とした上で、特別養護老人ホームの定員数増加や小中学校の耐震改修に取り組んだ点を強調。「財政を健全化しないと福祉や教育に予算が行かない。(広田氏とは)重点の置き方が違う」と話す。

 また、函館市長はこれまで井上博司氏、西尾正範氏、工藤氏と市役所出身者が3代続いており、民間出身者にかじ取りを委ねるかどうかもポイントの一つとなる。「今の函館には民間の幅広い知恵と人材力が必要」と訴える広田氏に対し、工藤氏の陣営幹部は「公務員出身だが、GLAYを呼ぶなどまちづくりの発想は豊か」と反論する。(統一地方選取材班)