2015年5月12日 (火) 掲載

◎IT関連子会社を設立

 東京のIT企業「クロス・コミュニケーション」(富永晴次社長)は全額出資子会社「クロス・プロップワークス」を函館市五稜郭町に設立、11日に開所式を開いた。データ加工やコールセンター、開発業務を行う地方拠点で、年内に地元雇用を含めた60人体制の構築を目指し、人材育成にも力を注ぐ考えだ。

 クロス・コミュニケーションは東証マザーズ上場の「クロス・マーケティンググループ」(五十嵐幹社長兼CEO)の連結子会社。昨年4月以降、市内末広町のエスイーシー(SEC)と協業体制を構築し、端末検証業務などを行う函館テクニカルセンターを開設している。

 新会社の資本金は1800万円で、設立は4月27日。調査データの分析・加工、200万人の登録があるモニターへのリクルーティング業務、アプリケーションなどの開発の保守・運用拠点とする。正社員、アルバイトなど順次採用を進め、年内に60人規模の体制とし、1億円を売り上げ目標に掲げている。

 地域に根ざした業務拠点とする考えで、採用後は160時間の研修を行うとしている。社長を兼務する富永社長は「プロップは支柱という意味。我々のビジネスを函館から支えていただきたいという思いを込めた」と話す。

 開所式には片岡格副市長をはじめとする市や市内IT企業関係者らが出席。自民党の前田一男衆院議員は「これから函館はIT分野で競争力を持てる地域になる。いい流れをつくってほしい」と期待感を示した。五十嵐CEOは「函館に生きのいいベンチャー企業があると言わしめるよう、グルーブ全体でバックアップをしていく」と述べた。(今井正一)



◎豪華客船「コスタ・ビクトリア」寄港

 イタリアの客船運航会社コスタ・クルーズ社の豪華客船「コスタ・ビクトリア」(7万5166㌧)が11日、函館港に寄港した。真っ白な船体が青空に映え、乗客約1300人は同日夜の出港まで、函館滞在を楽しんだ。

 同船の寄港は3年連続通算4回目。9日に横浜を出港し、秋田や韓国・釜山などを回る日本一周クルーズの最中。10日に予定した石巻寄港が強風のために取りやめとなり、函館入港も当初予定より4時間繰り上げた。市港湾空港部は「バス会社や観光案内を委託する北海道国際交流センターの協力もあり、シャトルバスの手配などスムーズに対応できた」とする。

 乗客の木原英子さん(74)は=東京都八王子市=「船内ではテノール歌手の演奏やパターゴルフなど楽しく過ごせました。湯の川温泉に行く予定でしたが、その前に金森赤レンガ倉庫群周辺に行ってきます」と話していた。

 同日午後には市民向けの見学会が行われ、100人が参加。イタリアンスタイルの船内設備を満喫。出港時には市民有志により、港町埠頭岸壁でいか踊りが披露された。(今井正一)



◎函館護国神社例大祭で戦没者を慰霊

 函館護国神社(大橋東城宮司)の例大祭が11日、青柳町の同神社で開かれた。参列した遺族ら約400人は快晴の下、箱館戦争から第二次世界大戦までの道南出身の戦没者約1万3千柱をしのび、舞楽や奏楽などを奉納して慰霊した。

 同神社は1869(明治2)年5月に創建。新政府軍の勝利が決まり終結した箱館戦争から、第二次世界大戦終戦までの戦没者を英霊として祭っている。

 例大祭では、山・海の幸などを献餞(けんせん)の後、大橋宮司が祝詞を奏上。いかめしい仮面を付け、黄金のばちを持って舞う舞楽「蘭稜王」、五穀豊穣や夫婦和合を願う松前神楽「舞楽 二羽散米舞」、民謡「江差追分」なども奉納した。

 斎主や遺族が玉串をささげた後、春山拓夫祭典委員長が戦争の悲惨さや函館での被害を語り、「戦後70年が経過したが、いまの(戦争がない)平和が続いていることは英霊のかたがたのおかげで、願いでもある」とあいさつして静かに例大祭を締めくくった。(斎藤彩伽)


◎「ラーニキッチン」がネパール支援呼び掛け

 大地震が発生したネパールの被災地を支援しようと、函館市港町1のネパールレストラン「ラーニキッチン」が募金を呼び掛けている。ネパール出身のスタッフ4人で運営しており、現地で不足しているテントや食料などの支援物資の購入に役立てる考えだ。

 同店は市内唯一のネパール料理専門店。2013年9月に開店し、ネパールカレーをメーンに家庭料理も提供する。地震直後から「何かできることはないか」とお客から声が上がった。スタッフの家族は全員無事だったが、2人の家が半壊する被害に遭ったという。

 お客が用意してくれた募金箱を店舗レジ横に設置。会計時におつりを寄付する人もいるなど、支援の輪が少しずつ広がっている。集まったお金は、海外在住ネパール人協会(NRNA)の北海道の窓口を通じ現地に送る。ネパールでは地震に弱いレンガ造りの建物が多いため、家を失った人たちが暮らすテントが必要になっている。

 店長のビカス・アディカリさん(36)は「被災した人たちは食べるコメがなく、寝るところもなく本当に大変。1円でも100円でも現地に届け、物資の購入に充てたい」と力を込める。

 同店オーナーの澤田導俊さん(36)は「地震直後は従業員の家族の安否が心配だった。皆さん温かい声を掛けてくれるので、ありがたい」と話す。

 4月25日にネパール中部で発生したマグニチュード7・8の大地震では、死者が8000人を超えた。同店の営業は午前11時〜午後10時。無休。(山崎大和)