2015年5月18日 (月) 掲載

◎五稜郭祭 維新行列 観客を魅了

 第46回箱館五稜郭祭(協賛会主催)の最終日は17日、函館市中島町—五稜郭町でメーンイベントの維新行列などが行われた。沿道には大勢の観光客らが腰を下ろし、明治時代の衣装に身を包んだ計約1000人によるパレードや戦闘パフォーマンスに目を奪われていた。

 維新行列は、榎本武揚率いる旧幕府軍と新政府軍のほか、開港に携わった各国の衣装を着た市民が参加。今年は箱館戦争で戦死した幕臣中島三郎助のひ孫に当たる中島恒英さん(70)=神奈川県海老名市在住=が三郎助役を務め、同県横須賀地区の市民団体「中島三郎と遊ぶ会」(大内透会長)の会員らも中島隊としてパレードに加わった。

 中島廉売での出発式の後、志士役の片岡格副市長や渡島総合振興局の宮内孝局長らが艦船を模した山車に乗り出発。千代台公園からも市内小中学校、高校の吹奏楽部やマーチングバンドが、息の合った美しい音色を響かせながらパレードに合流した。

 本町行啓通には、続々と維新行列の参加者が姿を見せ、大砲が打ち鳴らされると恒例の白兵戦パフォーマンスが行われた。前日の土方歳三コンテストで優勝した青木賢治さん(35)扮(ふん)する土方も登場し、激しい殺陣を演出。土方が銃弾に倒れる場面では、迫真の演技に会場から大きな拍手が沸き起こった。

 このほか五稜郭公園内では、初めて戦闘パフォーマンスが再演されたり無血開城の場面を再現した会場セレモニーが行われたりした。毎年家族そろって観覧している市内在住会社員の藤井政史さん(38)は「毎回迫力のある演技で、今年は2回見れて良かった」。娘の咲良さん(7)も「本物みたいで楽しかった」と笑顔を見せていた。(蝦名達也)



◎楽しみながらガイド技術勉強

 函館市内のまち歩きガイドの初心者有志が勉強会「縁ジョイ倶楽部」をつくり、レベルアップに励んでいる。来年3月の北海道新幹線開業で増加する観光客に、自分の言葉で街の魅力を伝えようと奮闘中だ。メンバーらは「本格的なガイドデビューが目標。観光客を楽しませることができるガイドになりたい」と意気込んでいる。

 勉強会は、函館まちあるきネットワークが昨年開いたガイド養成のための研修講座修了生が中心になって今年1月末に立ち上げた。ケアマネージャーの下山和美さん(54)は「講座を修了してもすぐにガイドとしてデビューできるわけではなく、またデビューするまでをフォローするような組織もなかったことから、自分たちでつくった」と話す。

 参加するのは市民11人。年齢や職業はさまざまだが、まち歩きに関心があることが共通点だ。初心者ばかりが集まったので、10年のガイド歴がある主婦の加藤政代さん(56)が経験と知識を生かし、仲間にアドバイスする役割を担う。

 モットーは楽しみながら、互いに成長すること。毎週土曜日にまちづくりセンターに集まり、勉強に精を出す。メンバーはゴールデンウィーク期間中、市が五稜郭タワーに開設した臨時観光案内所のスタッフとして参加。観光客を相手にパンフレットを配ったり、五稜郭公園内を無料で案内したりしてミニガイドデビューを果たした。

 参加前には座学と公園に出かけての実地研修を繰り返し、技術と心構えを身に付けた。市内の主婦、福原信子さん(61)は「お客さんに喜んでもらえることがなによりうれしい。ガイドをライフワークにしたい」と張り切る。

 今後も臨時観光案内窓口を設置する際に参加する予定。加藤さんは「新幹線開業で函館を訪れる観光客は増える。その時、メンバーが活躍できる場をつくっていきたい」と力を込める。(松宮一郎)



◎起業支援へネットワーク設立 函館地域産業振興財団

 函館地域産業振興財団(松本栄一理事長)は本年度、地域で起業や創業、新規事業にチャレンジする人らをサポートしようと、「函館きぎょう支援ネットワーク」を設立した。地元企業の経営者や金融、会計の専門家らが連携し、それぞれが持つスキルや知識を生かして起業を目指す人らの相談に乗ったり、助言したりする。同財団は「課題の出口を一緒に探り、起業や新規事業の展開を後押ししていきたい」としている。

 人口減少による市場規模縮小、事業所の廃業が増加は深刻で、地域経済、雇用を維持するためにも創業、起業の重要性は年々高まっている。そこで同財団は起業・創業を促進するため、創業バックアップ助成金制度やビジネスプラン作成スクールといった事業を展開している。

 ネットワーク設立もその一環で、起業支援の人的インフラを整備、構築することが狙いだ。同財団は「起業、創業がしやすい環境をつくっていかなければならず、ネットワークは起業者の心強い応援団」とする。

 ネットワークに参加するのはいまのところ10人。政府系金融機関や銀行関係者をはじめ、公認会計士、社会保険労務士といった「士業」、地元企業の経営者ら有志がサポーターとして登録する。「企業経営者も加わって起業をサポートする体制は、他地域では見られない珍しい取り組み」と同財団。今後メンバーを増やして支援内容に厚みを持たせる考えだ。

 サポーターはそれぞれが持つ知識やスキルを生かし、相談を受け付ける。専門外の領域だった場合は、ほかの専門家につなげるなどの対応をとる。ほかにビジネスプラン作成スクールの講師なども務める。同財団は「地域の企業を支援する人材バンクとして機能させていきたい」としている。(松宮一郎)


◎イベント通じ人脈づくり 学生ら「創造塾」発足

 市内の学生が中心となり、イベントなどを通じての人脈作りや、就職に向けた人材育成などを目的とした団体「創造塾」(島下大明代表)が今月上旬に発足した。市内3大学から学生6人、社会人1人の計7人が創設メンバーとして参加。学生以外にも高校生や社会人など幅広い年代の人材を募集し、規模拡大を目指すとともに、新幹線開業などの各種イベントに参加しながら地域を盛り上げていく。

 メンバーは道教育大函館校、はこだて未来大、北海道大水産学部の学生、社会人と幅広く、中学生の野球大会などでのボランティア活動を通じて知り合った。

 塾は函館市青年センターを拠点に、定期的に集まって活動を協議。人脈作りの一環として1カ月に1回ペースで、さまざまな業界で活躍する人を講師として招いた講演会を開催する。また2018年の北海道150年事業や青函圏交流・連携会議などの各種事業へ参入し、企画をすることで地域活性化にもつなげていく。

 道教育大函館校4年の島下代表は「さらにメンバーを増やし、長く塾が続くような組織、団体にしていきたい」と意欲をみせる。世話人として発足に携わった前田久雄さんは「学生にとって自信を付ける良い機会になると思うので、就職活動に向けて生かしてほしい。塾で学んだことを将来の財産にしてほしい」と話していた。(小林省悟)