2015年5月19日 (火) 掲載

◎大農高に金沢「兼六園菊桜」植樹

 【北斗】大野農業高鹿島ヶ丘同窓会(三浦利明会長)は18日、同校の桜公園で金沢・兼六園で国の天然記念物にも指定されていた銘木「兼六園菊桜」を植える「植樹祭」を行った。同校の生徒を含む関係者ら約40人が参加し、桜を大切に育てることを誓い合った。

 北海道新幹線の開業を祝う記念植樹。同窓会や七飯町在住で桜研究家・桜守の浅利政俊さん(84)、同校が協力して実施した。3月に北陸新幹線が開業した「金沢」の桜を植樹することで、観光発展などにつなげてほしいとの願いも込められている。

 今回植えた兼六園菊桜は約40年前、浅利さんの元に国立遺伝学研究所(静岡)から兼六園の原木を接ぎ木する依頼があり、松前町桜見本園で育ててきた親木をさらに接ぎ木した樹齢約10年の「子ども桜」だ。道内では、同校・松前・函館に咲く3本しか存在しない。

 植樹祭で三浦会長は「将来、北斗市の観光名所になってもらえればうれしい」とあいさつ。参加者は順番に桜の根元へ優しく土を被せていった。農業クラブ会長の田口愛弥さん(17)=同高3=は「これをきっかけに金沢との交流を広げ、大農高について深く知ってもらいたい」とほほえんだ。(斎藤彩伽)



◎丸仙旅館女将の佐藤さん、奉行所に打ち掛け寄贈

 函館市湯川町3の丸仙旅館の女将佐藤てる子さん(77)が、所有している打ち掛け2領を箱館奉行所(田原良信館長)に寄贈した。同館では打ち掛けを展示はせず、30日から始まる記念撮影のイベントで使用する。

 同旅館は1942(昭和17)年創業で、佐藤さんは2代目。寄贈した打ち掛けは、創業時に家族が山形県酒田市から函館に移り住んだ際、母の故コキンさんが持参してきたものという。「着物の由来は分からないが、古い時代の良いものではないかと思う。最近は宿泊者に披露するなどしていたが、持っているだけではもったいないと思った」と、寄贈の理由を話す。

 18日に同奉行所内の「一之間」で贈呈式を行い、田原館長から佐藤さんに受理書が送られた。田原館長が「和の空間に合う着物をいただき、感謝します」と礼を述べ、佐藤さんは「活用する機会があることはうれしい」と話した。

 同館では30日から来年3月まで10回行う「奉行に変身・記念撮影」で、女性の利用者に着てもらう。このイベントは入館料のみで参加できる。問い合わせは同館(電話0138・51・2864)へ。(山崎純一)



◎故佐藤泰志原作、3本目の映画化決定

 函館市本町の映画館シネマアイリス(菅原和博代表)はこのほど、函館市出身の作家、故佐藤泰志さん(1949〜90年)原作の映画「オーバー・フェンス」の製作を決めた。佐藤文学映画化の函館三部作最終章で、前作、前々作に続き製作・企画を手掛ける菅原代表は「これまでの2作品とはまた違った函館を描きたい」と力を込める。6月下旬から撮影を開始し、来年の公開を目指す。

 佐藤作品の映画化は、2010年に地元の有志が企画した「海炭市叙景」(熊切和嘉監督)から始まり、2作目の「そこのみにて光輝く」(14年、呉美保監督)は函館発信の市民映画として、第38回モントリオール世界映画祭をはじめとする、国内外の映画賞・祭で高い評価を得た。

 「オーバー・フェンス」は、佐藤さんが職業訓練校で過ごした日々の経験をもとに執筆し、芥川賞候補になった作品。40歳代の男性を主人公に訓練校における人間模様を描き、「共に生きる」という普遍のテーマに向き合った大人のラブストーリーが展開する。

 監督は「味園ユニバース」などの作品で知られる山下敦弘さんが務め、脚本は「そこのみ—」に続き高田亮さんが手掛ける。山下さんは「空っぽになってしまった男と求愛し続ける女の話であり、訓練校で生きる無職の男たちの話でもある。その瞬間を生きている人間たちの作品にしたい」と話している。

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 同作の一般キャストを募集するオーディションを30、31日の両日、市内で行う。対象は4歳から70歳ぐらいまでの男女。書類選考のうえ、山下監督らが当日審査する。応募は履歴書、全身と上半身の写真、芝居経験の有無やオーディションに参加可能な時間帯、意気込みを添えて、〒041・0011、函館市本町22の11グリーンエステート1階 シネマアイリス「オーバー・フェンス」オーディション係まで。25日必着。問い合わせはEメール(terao@cinemairis.com)、同館(電話0138・31・6761)。(平尾美陽子)


◎道新幹線開業対策推進機構、観光路線バスの車両、停留所整備

 北海道新幹線新函館開業対策推進機構(会長・西村憲人函館商工会議所副会頭)は本年度の事業として、新函館北斗駅と函館市内を結ぶ交通アクセスや観光地などをまとめたガイドマップの作成に乗り出す。二次交通の情報を一元化し、観光客の利便性を高めるのが狙いだ。同時に補助事業として、市内を走行する観光路線バスの車両や停留所の整備にも着手、2年計画で完成を目指す。

 新事業計画は合計で540万円の予算を計上、18日に開かれた同機構の総会で承認された。交通ガイドマップには、新函館北斗駅—函館駅間のアクセス列車「はこだてライナー」をはじめ、函館市内を運行するバス、市電、ロープウェーなどの路線図や時刻表、運賃などを盛り込む。「わかりやすさが最大のコンセプト」(同機構)とし、代表的な観光地へのおすすめルートも掲載する計画だ。

 他都市の取り組みを参考にしながら各交通事業者と協議し、今夏までに仕様を決定する。配付は交通機関の車内や営業所、観光・宿泊施設などで行う予定。

 観光路線バスは、元町・ベイエリア周遊号と五稜郭タワー・トラピスチヌシャトルバスが対象。通常の路線バスと同じ外装で運行する車両を一新、一目で観光バスと認識できるようラッピングを施し、本年度と来年度で2台ずつ整備する。

 また、専用のバス停を24箇所で新設。「現状のバス停は、特徴が乏しい」(同機構)として、停留所に観光案内地図などを掲示する計画で、本年度は12箇所の設置を目指す。観光路線バスの充実化に向けた費用は、同機構が経費の半分を負担する見通し。

 総会ではこのほか、PRグッズの制作や市民向けの啓発活動などを継続して行うことを確認した。西村会長は「おもてなしの事業を中心に、今後もいろいろなプランを推し進めていきたい」としている。(山田大輔)