2015年5月2日 (土) 掲載

◎ヤリイカ産卵行動観察…水産・海洋総合研究センターで実験中

 函館市国際水産・海洋総合研究センター(弁天町)の大型実験水槽でヤリイカの産卵行動を観察する実験が行われている。雄同士が威嚇し合う様子や、人工の産卵礁では房状の卵塊を確認することができる。実験は12日までで、2〜6日も特別開館する。

 北大大学院水産科学研究院の桜井泰憲特任教授が4月下旬から約30匹を放って実施。同センターに300㌧の水槽が設置されたことから可能になり、「群れの中での産卵行動を観察する実験はおそらく国内で初めて」とする。

 ヤリイカは冬から春にかけて産卵期を迎え、水槽内には岩と板を組み合わせた産卵礁を設置。雌の外套長(足を除いた長さ)は30㌢程度で、雄は一回り大きく40㌢程度。さらに「スニーカーオス」と呼ばれる雌と同サイズの雄がいる。

 大きな雄同士は互いに産卵場所をめぐって、並行に泳いで体の大きさを競ったり、相手を攻撃したりする行動を取る。勝った雄はペアとなる雌を誘導しながら産卵礁に移動。この際に、小さなスニーカーオスが産卵中のペアに近づき、交接するという。産み付けた卵塊はフジの花やブドウのように房状にぶら下がっている。桜井教授は「大きいオスの子孫だけが残るのではなく、小さいオスの行動により遺伝的多様性が守られる」と話している。

 大型水槽での実験終了後は卵塊を別の水槽に移し、6月中旬ごろにはふ化する見通し。また、連休明けには、砂地に卵を産み付けるジンドウイカ(外套長12㌢程度)の群れを放ち、同じく産卵行動の観察を予定する。

 開館時間は午前10時〜午後4時。(今井正一)



◎寺田さんの写真 切手に

 函館市堀川町の寺田時計店を営む寺田昭吉さん(74)が撮影した写真が、函館オリジナルフレーム切手「函館 煌(きら)めき物語」に使用されている。4月27日から函館や近郊の一部郵便局で販売されており、寺田さんは「函館のPRに使ってほしい」と呼び掛けている。

 切手は日本郵便北海道支社渡島地区連絡会(中村高彦地区統括局長)が毎年販売。2年前に続き、82円切手10枚全てが寺田さんの写真だ。五稜郭やハリストス正教会、函館山など観光名所の夜景やライトアップされた姿を切り取った。「函館山は空と夜景の明るさのバランスが難しい」と寺田さん。1年間で撮りためた写真は、切手に使用する候補だけで1000枚ほどだという。

 カメラを始めたきっかけは健康な身体づくり。業務の合間を縫い、シャッターチャンスを求めて道南を駆け回る。「今後も技術を磨いて、より多くの人に写真を見てもらいたい」と意気込む。

 切手シートは1枚1230円(税込み)で、郵便局のほか、五稜郭タワーの臨時出張所で6日まで発売している。(稲船優香)



◎在宅歯科治療 相談を…函館歯科医師会7日から電話窓口開設

 函館歯科医師会(永坂信会長)は7日から、渡島・桧山管内在住の寝たきりなどで通院が困難な高齢者らを対象に、在宅での歯科治療の相談に応じる電話窓口を開設する。相談に応じて同会の歯科衛生士が無料で戸別訪問し、治療が必要な場合は、管内各ブロックの歯科医師による在宅歯科治療(有料)につなげる。同会の岩井祐司副会長(57)は「口で食べることは健康寿命を伸ばす第一歩。どんなささいなことでも連絡してくれれば」と利用を呼び掛けている。

 同窓口は北海道歯科医師会(札幌)が道から事業を委託し開設した。函館は十勝支部、釧路支部に次いで3例目。同管内でも要介護者の家族やケアマネージャーから、「通院が困難で思うように治療ができない」といった声が上がっていたという。

 電話での相談は「歯が痛い」「入れ歯が合わない」「食事に時間がかかる」など口と歯に関わる悩みを幅広く受け付ける。戸別訪問では、口内の症状だけでなく、服用している薬の種類や全身状態を確認した上で、有料の歯科治療や口の運動などをする口腔(こうくう)ケアにつなげる。相談員を務める歯科衛生士の澤谷幸絵さん(51)は「患者さんの幸せのために口から何ができるのかを考え、早期に手を差し伸べたい」と話している。

 函館歯科医師会には現在237人の歯科医師が所属し、うち約50人が在宅歯科治療に協力する意向を示しているという。また、医療、福祉関係者らが集まり、同活動の評価や改善策を話し合う協議会も開いていく考え。岩井副会長は「地域と連携した取り組みとして進めていき、口で食べる幸せを守っていきたい」と意気込んでいる。

 電話窓口(電話0138・76・0039)の受け付け時間は土・日・祝日を除く午前10時から午後4時まで(木曜のみ正午まで)。(蝦名達也)


◎朝市駐車場 改装オープン

 函館市若松町の旧朝市第2駐車場がこのほど、「函館朝市大駐車場」としてリニューアルオープンした。来年3月の北海道新幹線開業をにらみ、函館朝市協同組合連合会(井上敏廣理事長)が、砂利敷の場内を全面舗装して整備。営業時間を24時間に拡大し、車を利用する市民や観光客の利便性を高めるのが狙いだ。同連合会は朝市の案内リーフレットも一新、見やすいデザインに変更した。

 新駐車場は、150台分の車を収容。これまで午前7時〜午後2時としていた営業時間を大幅に拡大した。同連合会は「キャンピングカーで寝泊まりする旅行客にも利用してもらえれば」としている。料金は、最初の30分が無料で、以降30分ごと100円。同連合会の推奨店で2100円以上買い物すると、1時間半まで無料となる。夜間(午後6時〜午前7時)は一律500円。

 大型連休に合わせ、新しく配付を開始したリーフレットは、約20㌢四方で全8㌻の見開き型の冊子。「飲食店」「海産物」「お土産」などジャンルごとに色分けして店名を並べ、主な販売品を記載。マップには、現在地が確認できるよう、主な地点の写真も載せている。同連合会は「増加する外国人観光客に対応できるよう、外国語表記のリーフレットも順次製作したい」としている。(山田大輔)