2015年5月27日 (水) 掲載

◎駒ケ岳火口 現地調査 静穏な状態続く 函館地方気象台

 【森】本格的な登山シーズンの到来を前に、北海道駒ケ岳(1131㍍)で26日、札幌管区気象台による調査観測が行われた。函館地方気象台の職員2人も同行し、火山活動に異常がないか目視や機械を使って調査。昨年と比べて変化がなく、静穏な状態が続いていることを確認した。

 駒ケ岳は札幌管区気象台が「常時観測火山」に指定しており、望遠カメラや地震計、全地球測位システム(GPS)などを用い24時間体制で監視している。

 この日は通常の登山で進むことが許可されている「馬の背」(標高900㍍)をさらに越えた火口付近まで近づき、現地調査を実施。前年に設置したデータロガーと呼ばれる温度などを計測・記録する装置を回収しながら、新たなセンサーを設置。このほか、1929年(昭和4年)の噴火でできた直径約200㍍におよぶ「昭和4年火口」などを、赤外線を用いた熱映像装置で地表温度を計測した。

 同行した函館地方気象台の山岸晋火山防災官は「奮起や地熱など、昨年と比べても大きな変化はない。今のところ静穏が続いているが、この状態がずっと続くという保証はないので、登山する際には気象庁のホームページなどで火山活動を確認した上で行ってほしい」と呼び掛けた。

 また同山では本年度中に山頂部に新たな計測機械を設置する計画もある。雪が降る前までにカメラや広帯域を計測できる地震計、傾斜計などを設置するという。

 駒ケ岳は1998年の小噴火以降、入山規制がかけられた。2000年には6回の小規模な水蒸気噴火が観測されたが、その後は静穏が続いたため、10年に規制が緩和されて以降、制限付きながら入山が許可され、赤井川登山道から「馬の背」までの登山ルートのみ登ることが認められている。今年も6月1日に登山が解禁され、10月31日まで登ることができる。(野口賢清)



◎青森の「丸大堀内」黒豆茶1日発売

 青森市の食品、酒類などの卸売業「丸大堀内」が北海道新幹線の車両とキャラクターをデザインした新商品「黒豆茶」を開発し、6月1日から販売を始める。県内で北海道新幹線のデザインをあしらった商品はまだなく、注目を集めそうだ。ただ、同社は昨年5月に函館に支店を構えたばかりで、道南での販路を開拓中。1日の販売開始に合わせようと小売店に対して必死に売り込んでいる。

 来年3月の北海道新幹線開業を商機ととらえ、新幹線にちなんだ新商品の開発に取り組んだ。黒豆茶は北海道産の黒豆を使用。くせがなく、飲みやすい味に仕上げた。

 ラベルに新幹線車両H5系と道のPRキャラクターどこでもゆきちゃんのイラストをデザインしたことが特徴。金沢市にあるグループ会社が北陸新幹線開業に合わせて車両をデザインした加賀棒茶を販売したところ、大きな反響を呼んだことから、同社は「北海道新幹線でも」と期待を寄せる。

 同社が函館支店を開設したのはちょうど1年前。酒類の卸しを手掛けている。黒豆茶も取引先の酒販店数店が取り扱うことが決まっているが、もっと販路を増やそうと営業活動を展開している。小泉稔支店長(56)は「商品を置いてもらえる店をもっと増やさなければならない。売り込みに力を入れていく」と張り切っている。

 350㍉㍑ペットボトル入り。130円。問い合わせは函館支店(TEL0138・44・3122)へ。(松宮一郎)



市長が政策予算査定、「経済」「人口減」重点配分へ

 函館市の工藤寿樹市長は26日、2期目初の政策予算などを本年度予算に反映させる市長査定を開始した。4月の市長選で公約に掲げた経済再生のほか、人口減少対策や子育て支援策の拡充などに重点的に配分する見通し。6月19日開会予定の第2回定例市議会に提出する。

 2月の当初予算の一般会計は1386億7000万円で、事業の継続性や緊急性を考慮し、骨格編成ながら過去最大となったが、基金を取り崩さない収支均衡予算を2年連続で実現。今回の政策予算分として4億円をすでに予備費に計上している。

 市長選では、交流人口の拡大による地域活性化、若者雇用の拡大を目指した情報関連企業に特化した誘致制度の構築、人口減少問題を踏まえた少子化対策、子育て支援策の一環として低所得者世帯への補助制度の構築などを公約として訴えた。

 査定を前に工藤市長は「経済再生や人口減少対策に少しでも予算を組めるよう編成する。制度設計が必要なものは後年度の財源の見通しを考えながら検討しなくてはならない」と述べた。公約の中から実現可能な政策は予算化する考えのほか、7月に函館アリーナのこけら落とし公演として予定する人気ロックバンド「GLAY」のライブに向けた関連経費も反映する見通しだ。

 査定には中林重雄、片岡格両副市長をはじめ、25日付の人事異動で就任した高橋良弘総務部長、種田貴司企画部長らが同席。入江洋之財務部長ら財務部幹部が各部局から予算要求のあった事業を説明した。予算は6月5日に発表する。(今井正一)


◎「温泉のサル」で湯の川PR 旅館協同組合青年部 21年ぶりポスター刷新

 函館湯の川温泉旅館協同組合青年部(和泉孝平部長)はこのほど、21年ぶりに湯の川温泉のPRポスターを刷新した。函館市熱帯植物園のニホンザルが温泉に入り、表情を緩ませている写真がメーン。8月の函館アリーナオープンや来年3月の北海道新幹線開業による観光客増加を見込み、同温泉の知名度アップにつなげたい考えだ。

 同組合は1994年以降、新作ポスターは作成していなかったが、「これから観光などで函館が大きく動き出す」(和泉部長)とし、青年部メンバーで協議を重ね完成した。

 ポスターはB0サイズで500枚作成。ニホンザルの写真とともに、「なまらあずましい。」と方言でキャッチコピーを記載。和泉部長によると、温泉に入るニホンザルは世界的に知名度が高いといい、3月後半、寒空の中で撮影を行った1枚だ。また、地方の魅力を全面的に押し出すため方言を使い、今後「とても居心地がいい」という意味の文章を英語や中国語に翻訳したポスターも作る予定。

 現在、ポスターは同組合に所属する旅館やホテルで掲示しており、今後は市内の観光施設などを中心に広く配布する考え。和泉部長は「湯の川温泉を国内外に発信するために大いに活用していく。ぜひ温泉に入って『なまらあずましい』と感じてほしい」と話していた。(蝦名達也)