2015年5月28日 (木) 掲載

◎摩周丸就航50年祝い来月30日にイベント

 函館市青函連絡船記念館摩周丸(若松町、石黒隆館長)を管理・運営するNPO法人「語りつぐ青函連絡船の会」(木村一郎理事長)は6月30日、摩周丸の就航50年記念記念イベント「思い出は文化財に─函館の海に輝く宝石『摩周丸』」を開く。青函連絡船OBによる出港模擬などを行う。

 現在は博物館として保存されている船体は、摩周丸の2代目として1965年6月30日に就航。88年3月13日の連絡船最後の日まで函館|青森間を走り続け、22年9カ月の就航期間に3万5493航海し、運航距離は地球約100周分に相当する399万7555㌔㍍。旅客1168万367人、貨物1245万7254㌧を運んだ。高速、近代化された船は「海の新幹線」と称され、現在は近代化産業遺産として高く評価されており、2008年に経済産業省「近代化産業遺産」、11年に日本機械学会「機械遺産」に認定された。

 イベントの開始は午前11時半。就航日の時刻に合わせており、乗船案内、出港スタンバイと進め、午後0時15分に船長が登橋し、出港模擬のスタート。実際に船が出港した同0時25分に出港の汽笛を鳴らし、同35分に終了する。23日に行った打ち合わせ会には約20人が参加し、館内放送のタイミング、合図の出し方などを確認した。摩周丸の船長を務めていた市内桔梗町の千葉辰見さん(76)が出港模擬でも船長となる。「就航から早くも50年が過ぎたと思うと感慨深くなる。当時の実感を込めて模擬を行いたい」と話した。

 その後、船内で記念会を行う。関係者による近代化産業遺産についての座談会のほか、コンパス甲板(4階屋上)から眺める景色にふわしい楽曲として昨年10月に札幌スクールオブミュージック専門学校の学生が発表した「心の宝物」が披露される。就航便が青森に到着した午後4時15分から入港模擬を行い、同4時45分に着岸の汽笛吹鳴から下船案内し、イベントを終了する。

 当日は通常開館し、入館料(大人500円など)でイベントに参加できる。同法人の白井朝子副理事長は「OBの方による出港模擬も貴重な機会となる。ぜひご来館を」と呼び掛けている。問い合わせは同館(TEL0138・27・2500)へ。(山崎純一)



◎全日空機内誌に江差特集

 【江差】航空大手・全日空(ANA)の機内誌「翼の王国」6月号に、江差町の自然や文化歴史などの大特集が組まれた。27日には同社の坂元洋一郎函館支店長らが役場を訪れて完成版を紹介。国内・国際線の全便に備えられる予定で、照井誉之介町長は「来年3月の北海道新幹線開業に合わせて、江差の最高のPRになる」と喜んでいる。

 特集は全カラー12㌻。北前船航路で繁栄した歴史や江差追分、かもめ島の瓶子岩などを取り上げた。今春に取材が行われ、町も全面協力した。同支店によると、道内市町村を題材にした大特集は近年ではないという。

 坂元支店長は「私を含めて多くの社員が夏の姥神大神宮渡御祭の山車巡行や、江差追分全国大会などに参加する中でまちの魅力を実感した。この素晴らしさを多くの人に伝えたいと特集の候補に提案し、採用された」と話す。

 同社によると、1カ月で延べ384万人の利用客に触れることになり、「(広告費に換算すると)莫大な金額になるはず。全日空の人気を支える存在の一つである機内誌に大きく取り上げていただき本当にありがたい」と担当の大坂敏文課長。

 機内誌はA4変形サイズ、国内線用が全155㌻。乗客は持ち帰ることができる。6月1日から江差町役場1階ギャラリーにも閲覧用を置くほか、7月以降は函館市石川町の函館蔦屋書店でも閲覧できるという。

 また、同時期に同社のホームページでは別内容の江差特集が組まれる予定で、町も積極的に周知していく。(田中陽介)



若者中心 人つなぐ拠点に…市民交流プラザ整備基本計画策定

 函館市は市内本町の旧グルメシティ五稜郭店跡地の拠点ビル内に整備する「市民交流プラザ」の整備基本計画を策定した。「函館のまちを舞台に未来を創る人たちを育む場」を基本コンセプトに、若者世代を中心に人と人とをつなぎ、用途に応じて多目的に使用できる空間を目指す。完成は2017年3月を予定し、市経済部中心市街地再生担当は「若者たちが気軽に足を運び、滞在できる場所をつくり、活性化につなげたい」としている。

 市中心市街地活性化基本計画の事業。本町地区の拠点ビルは地上19階、地下1階建てで、5階以上が分譲マンション、4階に市が同プラザを整備し、3階以下には商業施設が入居。17年3月の完成を目指して工事が進められている。

 基本計画は、商業施設や公共施設などの企画、設計を手がける乃村工藝社(東京都港区)に策定業務を委託。昨年12月から今年2月に3回のワークショップを開き、市内の学生や会社経営者、まちづくり関係者からの意見をまとめ、計画に反映させた。

 プラザの目的は交流、公益活動の支援、文化・芸術の振興に置く。09年に閉店した旧グルメシティが営業していた時代のように、若者世代を中心に多くの人が行き交い、滞在できる場所を整備し、新たな発信や創造、周辺へのにぎわい創出の拠点としたい考えだ。

 1115平方㍍の空間は多目的ホール、フリースペース、ギャラリーなどとして利用でき、全体に可動式の間仕切りを設置。中央部は円形に区切ることも可能で、音響、防音、照明、ステージなど多用途に利用できる設備を用意。演劇や音楽公演、企業による新商品の発表会のほか、学生の学習スペースとしての利用など、それぞれの目的に合わせて活用できるのが特徴だ。

 今後、6月に実施設計を委託する事業者を公募し、年内をめどに策定。16年度予算に整備事業費を盛り込む。施設には指定管理者を導入し、施設の維持管理、自主事業の企画、実施など柔軟な運営を目指す方針。同担当の平井尚子参事1級は「情報系企業の誘致など、経済施策ともマッチングさせていく」と話している。(今井正一)


◎特定失踪者問題調査会 江差・乙部で情報収集

 【江差、乙部】北朝鮮による拉致被害者の救出活動への働き掛けなどに取り組む民間団体「特定失踪者問題調査会」(東京、荒木和博代表)の現地調査が27日、江差と乙部両町の沿岸で行われた。桧山での調査は初めてで、北朝鮮の元幹部の証言などに基づいて情報収集した。

 同会が2011年から全国で取り組む26回目の調査(道内では4回目)で、荒木代表ら8人が来町した。

 朝鮮総連の韓光熙(ハンガンヒ)元財務副局長が工作員の活動ポイントとして「椴川」について証言していたとし、江差町の椴川橋付近の砂浜を見て回り「潜入するには人目につきにくい場所が選ばれる」など一帯の地形を確認した。

 元幹部らの証言にはないが、不審船事案の発生や地域でも行方不明者がいることから、江差かもめ島でも調査した。

 1956年に北朝鮮工作員が漁船で乙部漁港に密入国し、翌57年に検挙された「弘昇丸事件」などの現地調査も行い、当時の様子を知る高齢者から話を聞いた。

 荒木代表(58)は「現地調査と貴重な証言をしっかり検証し、引き続き日本政府に問題解決に向けて働きかけていく」としている。同会は28日にせたなで現地調査し、29日に小樽で記者会見する予定。

 同会は一連の問題に関する情報提供を求めている。同会事務局(TEL03・5684・5058)へ。(田中陽介)