2015年5月30日 (土) 掲載

◎市函高 2学級減案…市教委、18年度から

 函館市教委は29日、市立函館高校(西田正史校長、生徒947人)の学級数について、2018年度から現行の8学級を6学級とする案を公表した。市教委は学級減の理由を「中学校卒業者数の減少に伴い、今後定員割れが予想されるため」と説明。正式に決定すれば、現在の中学1年生の入試から2学級減になるため、進路選択に影響が出そうだ。

 道教委が昨年9月に策定した昨年度の公立高校配置計画によると、渡島学区の中学校卒業者数は、本年度は3585人、21年度は2917人(668人減)と想定。「18〜21年度までに6〜7学級相当の調整が必要」としている。

 同校は、函館東高と函館北高が統合して開校した07年度以降、8学級を守り続けてきた。しかし、11、12、14年度は合格者が募集定員に満たず、2次募集を実施。市教委は「今後定員割れが想定される。今後進学重視型単位制高校を堅持していくため、学級数減は必要」としている。

 一方、同校では昨年7〜10月、3回にわたり「市立函館高校のあり方検討懇談会」と題し、学校・PTA関係者や学識経験者を交えて学級数について非公開で協議してきた。市教委によると「反対意見はなく、『ある程度の学級数減は仕方ない』という意見がほとんどだった」という。

 この案を踏まえ、道教委が配置計画案を策定、近く公表する。7月に渡島学区内の学校・PTA関係者などを集めて地域別検討協議会を開き、計画を9月にまとめる見込み。市教委はこの計画の公表後、同校の2学級減を正式決定する。(稲船優香)



◎浅野さん 木彫りで仏像や観光名所作り30年

 【北斗】社会福祉法人上磯清風会ケアハウスそよかぜ(宮下光子理事長)に入居する浅野一雄さん(89)は、木を使って仏像や観光名所などを30年間コツコツ作り続けている。現在の活力の源は“恩返し”。毎日木と対話しながら作品を生み出している。

 浅野さんは東京出身。予科練習生として終戦を迎え、疎開した家族を追って今金町に移り住んだ。その後、函館市で燃料店を営んでいたが、1986年に店をたたんだ。「懺悔(ざんげ)の意味を込め、燃料店の倉庫で仏像づくりを始めたのがきっかけ」と振り返る。

 不要になった木の切れ端を使い、のみと彫刻刀を巧みに操って命を吹き込む。「顔が一番難しいんだよ」と笑う浅野さんだが、表情を細やかに仕上げる腕前には定評があり、函館市内の寺に仏像を寄贈したこともあるという。

 仏像以外にも、時代を象徴する女性の像や姫路城、平等院鳳凰堂など、アイデアをふくらませて制作してきた。浅野さんが「これだけは自慢できる」と胸を張るのは、空中に浮かんで見える天女像。「土台に置いたときに倒れないよう、ピタゴラスの定理や三角関数などを使ってバランスを計算した。何度も失敗したが、最終的にたった1㌢の棒を組み込んで大成功」というから驚きだ。

 今年2月に入居した浅野さんにとっての恩人がいる。理事長の夫で、宮下建設運輸(北斗)の社長を務める宮下清さん(75)。浅野さんの作品に感銘を受けて16畳ほどのプレハブ倉庫を設置し、飾り棚を自ら作った。浅野さんは「奈良・法隆寺の正堂『夢殿』にかけて、夢をつくるこの倉庫も夢殿と呼んでいる。生きがいを与えてもらった恩義に報いたい」と、約50分の1スケールの宮下さんの自宅を制作中だ。

 宮下さんは「腕は人間国宝級だと思う。充実した毎日を過ごせるよう、これからもサポートしたい」と笑顔を浮かべている。(稲船優香)



市民会館 耐震指標大幅に下回る

 函館市教委は29日までに、市民会館(湯川町1)で昨年度行った耐震診断結果について、建物の耐震性を示すIS値(耐震指標)を大幅に下回ったと明らかにした。改修には20億円が必要と試算しており、市教委は今後の対応について検討を進めている。

 耐震診断は昨年秋から年度末までにかけて、大ホールがあるホール棟と、事務室や小ホールを備える管理棟に分けて行った。

 IS値は数値が高いほど耐震性が高く、市民会館の場合、0・675以上で耐震性を満たしているとされるが、ホール棟で0・234、管理棟で0・173だった。震度6強〜7程度の地震で倒壊や崩壊する危険性が高いとされる0・3未満をいずれも下回り、改修が必要と診断された。

 市民会館は鉄骨鉄筋コンクリート造で地下1階、地上4階建て。1970年建造で老朽化が進んでいる上、ホール棟は吹き抜けの構造で柱が少なく、管理棟は建物の形状が不整形で、相互に支え合う構造になっていないことが要因とみられる。

 改修費用は概算でホール棟、管理棟ともに約10億円と算出している。市教委生涯学習部は「改修に向けた調査費を6月の補正予算に向けて要求している。設備などがどの程度老朽化しているかも調査したい」としている。(千葉卓陽)


◎函館山ロープウェイ 新社長に竹村氏

 函館山ロープウェイ(函館市元町)は28日に開いた株主総会と取締役会で、本間秀之社長(65)が退任し、後任に日本政策投資銀行(政投銀)出身の竹村隆氏(56)が就任した。同社は2016年3月の北海道新幹線開業を見据え、改修工事を進めている。竹村社長は「11月のグランドオープンに向けて全力を尽くしたい」と抱負を語った。

 竹村氏は山形県出身。東北大学を卒業後、北海道東北開発公庫(現在の政投銀)に入庫。経理や財務畑が長く、2010年に地域企画部長となり、11年からは日本海エル・エヌ・ジー(新潟県)の取締役経理部長を務めた。退任した本間氏は11年に社長就任。東日本大震災直後の観光客激減という苦しい状況を切り抜け、施設の大幅改修に取り組んだ。

 函館観光の中心的役割を担う同施設のトップに就いた竹村氏。「観光拠点として大きな期待を寄せられており、来年3月の北海道新幹線開業に向けて弾みがつくような会社運営をしていく」と強調。また、「函館市と一緒に東南アジアからの誘客に力を入れるほか、新幹線のターゲットとなる関東への営業活動を展開していきたい」と語った。(松宮一郎)