2015年6月12日 (金) 掲載

◎イースト・アイ試験走行

 2016年3月の北海道新幹線開業に向け、JR北海道などは11日、新函館北斗—新青森間でレールの異常などを調べる検査車両「East i(イースト・アイ)」の試験走行を始めた。白と赤でカラーリングされた車両が青函トンネルを抜け、道内に初めて姿を現した。開業後は新幹線が安全に運行するために活躍する。

 イースト・アイはJR東日本が保有する特殊車両。東北、秋田、山形、上越、北陸の各新幹線でレールの検査を行っている。今回の試験走行ではJR北海道が借り受けた。6両編成で、レールや電力系統の状態をセンサーで感知する仕組み。同じ検査車両では東海道・山陽新幹線の「ドクター・イエロー」が有名。

 この日は午前1時50分ごろ、新青森駅を出発。走行しながら軌道や信号、通信設備に支障がないかを確認した。青函トンネル内などでは最高速度140㌔、木古内からは260㌔に上げたという。同2時55分ごろ、新函館北斗駅に到着。その後は七飯の総合車両基地でも確認作業を行い、同4時20分に終了した。

 12日は未明に新青森駅に向けて出発する。(松宮一郎)



◎はこだて国際科学祭8月22日開幕

 多彩な実験やワークショップを楽しみながら科学と社会の関わりを考える「はこだて国際科学祭2015」(サイエンス・サポート函館主催)が、8月22日から同30日まで函館市や七飯町の12会場で開かれる。「みんなの環境もんだい 環境って、なにが『問題』なんだろう?」をテーマに企画展や科学屋台などのプログラムを繰り広げ、入場者数は延べ1万2千人を見込んでいる。

 2009年から毎年開催。科学祭に先立って行うプレイベント(7月20日〜8月16日)も含め、プログラムは過去最多の33に拡大した。さまざまな視点で環境問題を捉えるパネル企画展のほか、短時間で楽しめる科学の体験展示「科学屋台」では、縄文人にならい、植物から繊維を取り出して縄を作るなど9つのブースを設ける。

 また、野生動物との共存方法を考える「サイエンスダイアログ」、木質バイオマスや大沼の自然についての講演「科学夜話」など大人が対象のイベントもある。

 北海道新幹線の開業に合わせ、関連したプログラムも実施。メーン会場となる五稜郭タワーアトリウムでは、函館工業高等専門学校の演劇愛好会による「銀河新幹線の夜明け」の上演や、新幹線の走行の仕組みや形の秘密などを伝える科学屋台が行われる。

 サイエンス・サポート函館の美馬のゆり代表(公立はこだて未来大教授)が11日に概要を発表。「環境について、身近にありながら知らないことがたくさんある。科学祭を通し、課題や自分たちにできることを考えられる機会にしたい」と意気込む。

 各イベントは一部を除き無料。事前申し込みを要するプログラムの申込方法などは7月上旬に発表する予定。詳細は公式ウエブサイト(http://www.sciencefestival.jp/)へ。(稲船優香)



◎学童保育委託料を増額

 函館市は本年度、学童保育所を利用する保護者の経済的負担軽減と職員の処遇改善を図るため、市内各学童保育所への委託料を増額する考えだ。通年利用者を対象に、児童1人当たりの保育料を月額2000円(年額2万4000円)減額するほか、施設運営者には利用児童数に応じ、1人当たり年額2万4000円を委託料に加算し、職員の処遇改善に充てる。

 市子ども未来部次世代育成課によると、本年度の市内の学童保育所に入所する児童数は、4月1日現在で1780人ほど。前年度から約200人増えており、少子化が進む中、共働き世帯や一人親世帯などの増加に伴う保育所のニーズの高まりが伺える。また、本年度の全児童数(市立小学校)当たりの入所児童数の割合は、1995年度から11・1ポイント軽減と職員の処遇改善分にそれぞれ4272万円を充て、関係経費計1億230万円を補正予算案に計上した。

 保育料軽減について、利用者の支払いを減額するのは秋ごろになる予定だが、保育所ごとに4月からの減額分を返金するという。

 同課によると、おやつ代や教材費などを除く市の一月当たりの保育料は平均約1万1000円で、軽減後は約9000円となる。12年度に全国学童保育連絡協議会が示した全国的な保育料の平均額は7371円となっており、これまで市内の利用者から減額の要望が寄せられていたという。また、厚労省の調査では保育料が1万円の自治体は全国で84%を占めていることから、市も1万円以下の水準にするため軽減した。

 処遇改善を目的とする委託料は、職員の賃金分に充てるのが原則で、同課は「働く環境を改善し、保育の質の向上につながれば」とする。

 このほか、昨年7月に演歌歌手、北島三郎さんの函館の後援組織「北島軍団けっぱれ会」(吉岡隆会長)が市に寄付した200万円を活用し、市内49施設それぞれに設備整備補助金として、4万2000円を上限に補助する。(蝦名達也)


◎調理製菓専門学校でサメの特別講座

 函館短大付設調理製菓専門学校(野又淳司校長)は11日、サメ研究の第一人者、北大の仲谷一宏名誉教授(69)=魚類学=を招いた特別講座を同校で行った。調理師科の40人がサメについて理解を深め、今後は道南で捕れたホシザメのはんぺん作りを体験する。

 仲谷名誉教授は、北海道大学大学院水産科学研究院教授を務め、サメ類の分類や生態学的な研究に取り組んできた。特別講座は昨年に続き2回目で、はんぺん作りを行う前に生態や利用方法を学ぶ狙い。学生40人のうち、西洋ゼミに所属する19人が函館近海に生息するホシザメを釣り、はんぺんの材料にするという。

 仲谷名誉教授は「サメとはどのような生き物?」と題して講義。サメの種類や餌の食べ方、生殖について分かりやすく解説し「サメは体内受精をするために交尾器を持っている」と話した。また、肉やヒレ、皮、骨、消化管、肝臓、顎骨を産業利用している現状を説明。最近の話題として、サメと一緒に泳ぐダイビングが流行するなど観光資源としての活用も進んでいるとした。

 一方、サメによる人的被害では、1992年3月に瀬戸内海で潜水士が襲われた事故でサメの査定や原因調査を行い、ホホジロザメが関与したと分かったことを紹介。「世界で知られているサメ500種類のうち、人を襲うのは30種類でホホジロザメなどは危険度が高い」と強調した。

 遠藤小百合さん(19)は「自分の知らなかった料理や使い道が分かり、内容の濃い時間だった」と感想を話した。(山崎大和)