2015年6月14日 (日) 掲載

◎大道芸やグルメ満喫 きょうまで国際民俗芸術祭プレイベント

 世界各地のアーティストが伝統舞踊や音楽を披露する「第8回はこだて国際民俗芸術祭」(8月5〜10日)を前に13日、プレイベント「ワールズ・ミート・サーカス2015」が元町公園(函館市元町12)で始まった。大勢の市民や観光客が大道芸人のパフォーマンスやグルメなどを楽しんだ。14日まで。

 ワールズ・ミート・ジャパン主催。2008年の芸術祭開始以来、オープニングライブツアーとして函館市民会館などでイベントを展開してきたが、今回初めて芸術祭の会場と同じ元町公園で開いた。

 3エリアに分かれた会場では、ジャグラーのブライアン・ホルスさんやボンバングーさん、ピエロのグッチさんなど8組が登場し、来場者を笑顔にさせるパフォーマンスを披露した。

 函館を中心に道内外の15店舗が出店しているグルメも多彩。ハワイのエビ料理「ガーリックシュリンプ」やタイの「カオマンガイ風ジャーチキン」などには、食欲をそそる香りに誘われて行列ができていた。ワークショップでは、キャンドル制作やレザークラフトなどに500円から挑戦できるとあって、多くの来場者が体験していた。

 友人2人と訪れた函館市の皆川香菜さん(25)は「パフォーマンスや世界各国のグルメを満喫しました。芸術祭も楽しみです」と話していた。14日は午後6時まで。 (稲船優香)



◎議論通じ絆深めよう 来月31日から北の高校生会議 

 全道の高校生が社会問題について議論する「北の高校生会議」が7月31日から8月2日まで、七飯、森両町で開かれる。参加する高校生を30日まで募集しており、運営委員長の村岡龍岳君(函館ラ・サール高2年)は「全道の高校生と絆を深める機会。堅苦しく考えず、少しでも興味があれば申し込んでほしい」と呼び掛けている。

 高校生が多様な意見を出し合い、つながりを築いて地域を活性化しようと、札幌や旭川の高校生が中心となり昨年企画。開催は今年1月の上川管内美瑛町に続く2回目。

 大沼国際セミナーハウスとネイパル森を会場に、有識者の講話後にディスカッションを繰り広げる。今回は北村佳之氏(経済指標研究会顧問)、森越清彦氏(森越法律事務所弁護士)らを招き、地域経済や大間原発訴訟、国際問題など幅広い分野で意見を交わす。また、時間制限を設けずに討論する「夜ゼミ」も行う。

 会場や講師の手配、広報などは全て高校生が担当。初参加の佐々木舜輔君(同高2年)は「会議後に進路を変えたくなるほど刺激的で濃密な時間にしたい。運営委員として参加者のサポートも頑張りたい」と意気込む。前回は16校から35人が集まっており、村岡君は「今回の目標は50人。たくさんの意見が出ることに意義がある」と話す。

 参加料は募集締め切り後に決まるが、1万円以下になる予定。申し込みは同会議ホームページ(http://kitanokoukouseikaigi.jimdo.com/)かフェイスブックにある申込書に記入する。問い合わせは村岡君(hkitakou2@gmail.com)へ。  (稲船優香)



◎家庭ごみ 有料化後最少 函館市昨年度

 函館市内で2014年度に排出された家庭ごみの量は、前年度比1710㌧減の6万2579㌧と、02年度からのごみ処理有料化以降最も少なかった=別表。無駄なごみを出さないエコ意識が市民に浸透していると同時に、市環境部は「昨年4月の消費税増税後の買い控えなどが影響したのでは」とみている。

 家庭ごみの内訳は、燃やせるごみが前年度比1183㌧減の4万8797㌧で、減少分の大部分を占めた。燃やせないごみは同190㌧減の5371㌧、缶・瓶・ペットボトルも同133㌧減の4787㌧と続き、ともに前年度の増加傾向から減少に転じた。これらから市民一人1日当たりの排出量は630㌘となり、前年度から10㌘減った。

 4月の総排出量を見ると、前年度から323㌧減少の5410㌧となっており、消費税増税の影響があることがうかがえる。

 ごみ処理の有料化と同時にプラスチック容器包装の分別収集も行われており、近年の家庭ごみ排出量は6万㌧台で推移。中でも燃やせないごみは、05年度から廃プラスチックや繊維類などを燃やせるごみにしたことで大幅に減り、埋め立て処分場の負担軽減につながっているという。

 市は4月から施行している「第3次市一般廃棄物処理基本計画」(15〜24年度)で、ごみ排出量などの目標値を設定。家庭ごみに関しては19年度に5万7304㌧、24年度までに5万2141㌧に減量するとし、環境啓発や再資源化を呼び掛けている。

 再資源化に関しては、昨年10月から使用済みの携帯電話やヘアドライヤーなど小型家電を回収するリサイクルボックスを市内10カ所の公共施設に常設し、半年間で7・3㌧集めた。また、今年4月からは市環境部庁舎1階で古着の拠点回収を始め、月2㌧ほど集まっており、同部は「啓発、回収に効果的な方法を模索しながら、市民のごみの減量化意識を高めていきたい」としている。 (蝦名達也)


◎スルメイカ幼生 世界最長生存 北大の研究グループ

 人工ふ化させたスルメイカ幼生を世界最長となる10日間生存させることに、北大大学院水産科学研究院の桜井泰憲特任教授(海洋生態学)らの研究グループが成功した。ふ化幼生は従来、体内にある卵黄を栄養源に4〜5日生きるとされていた。それ以上生きるには外からの栄養摂取が必要となり、海中の有機物「マリンスノー」を最初の餌として取り込んでいる可能性が高いことも分かった。

 スルメイカは、直径80㌢ほどの透明な卵塊(直径1㍉弱の卵が約20万個)を産む。研究グループは昨年9〜10月にかけて、函館市国際水産・海洋総合研究センターの大型実験水槽(225㌧)で産卵実験を行った。

 南茅部地区で捕れたスルメイカからふ化した幼生を水槽内で飼育。自然海水を取り入れ、マリンスノーが多い状態を再現した。ふ化後に胴長1㍉だった幼生は10日で1・5㍉に成長。卵黄吸収後の生存については、これまでもマリンスノーが餌であると推定されていたが「今回の成果が初めての証明になる」(桜井特任教授)という。

 桜井特任教授は1990年代に世界で初めてスルメイカの人工授精とふ化を成功させるなど、イカ研究の第一人者。今回はインドからの留学生パンディ・プニータさんが学位論文の研究として取り組んだ。桜井特任教授は「幼生が普通の餌を食べられるまでのプロセスを実験的に検証したい」と、今後の研究に意欲を見せている。 (山崎大和)