2015年6月17日 (水) 掲載

◎遺愛高生を豪華客船見学に招待

 プリンセス・クルーズ社の豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」(11万6000㌧)が16日、函館港に入港した。外国客船入港時に乗客の案内役として活動している遺愛女子高校英語科の生徒28人が船内見学会に招待され、生徒たちは豪華設備の数々に驚きの声を上げて喜んだ。

 同船は5月に続いて、本年度2回目の寄港。神戸を14日に出発し、函館が最初の寄港地で、青森、網走、ロシア・コルサコフなどを回るクルーズの最中。

 同校は2007年から、生徒たちの英語力向上につながるとして、外国客船寄港時に街頭での観光案内役を務め、この日もJR函館駅周辺などで2年生が活動した。船内のインフォメーションデスク設置時など、乗船できる生徒は一部に限られている。見学会は国内代理店のカーニバル・ジャパン(東京)の厚意で実現し、3年生28人を招待した。

 船内は客船スタッフが英語で案内し、バーやレストラン、シアターなど船内を見学。屋上デッキではプールや大型の液晶スクリーンに驚きの声を上げ、カメラやスマートフォンで撮影を楽しんだ。猪股希実さん(18)は「屋上のプールは景色も良くて、外国にいるようだった。(乗客案内役の活動は)1年生の時よりもコミュニケーションの仕方が磨かれ、会話のスキルも上がったと思います」と話していた。(今井正一)



◎函館出身・飯野さんが七夕題材の絵本出版

 函館出身の絵本作家・飯野まきさん(39)=埼玉県在住=が、子供たちが七夕に歌を歌い、お菓子などをもらいに近所を回る函館の伝承行事を題材にした絵本「ロウソク いっぽん ちょうだいな」(福音館書店)を出版した。

 絵本は、飯野さん自身の幼少時の体験を基に作成。主人公の女の子が「ロウソクもらい」を楽しむ様子や、行事を見守る大人たちの姿を描いた。カンテラを持って家々を回っていた昔の様子などを、絵と文で伝えた心温まる一冊となっている。

 飯野さんは函館西高校を卒業後、多摩美術大学に進学。現在は埼玉で子ども向けの絵画教室を開きながら、絵本作家として活動している。

 函館の七夕行事を題材にした絵本の構想は9年ほど前から温めていた。「形を変えながらも昔から続く七夕行事を伝えたかった」と飯野さん。七夕の時期に帰省するなどして市内各地で取材し、「行事を楽しむ大人や子どもたちの姿は今も昔も変わっていないと感じ、うれしかった」と振り返る。

 飯野さんは「自分のいろいろな思いが一冊の絵本という形にすることができ、子どもが産まれたような気持ち。昔から伝わる函館の素敵な行事をたくさんの人に知ってもらいたい」と話している。

 月間絵本「子どものとも」7月号として刊行され、B5判32㌻。389円(税別)。(平尾美陽子)



◎函館市、高齢者支援のニーズ把握へ「コーディネーター」配置

 函館市は4月からの「第6期市介護保険事業計画」(2015〜17年度)施行に伴い、新たに高齢者や障害者が必要としている支援内容の把握に努める「生活支援コーディネーター」を配置した。住民主体の介護予防事業の一環で、町会や地域包括支援センターなど福祉団体と連携しながら、高齢者らのニーズや支援の担い手の掘り起こしを目的に活動する。

 16日に設立された「市生活支援・介護予防体制整備推進協議会」(池田延己会長)で、市保健福祉部が報告した。

 同コーディネーターは、高齢者が要支援・要介護状態になるのを予防し、地域で自立した日常生活を営むことができるよう支援する「地域支援事業」の一環。15〜17年度中に全国の市町村に配置するよう、国から示されている。

 今回業務を請け負う団体は、市地域交流まちづくりセンター(末広町4)を管理・運営するNPO法人「NPOサポートはこだて」で、同法人の丸藤競理事がコーディネーターとして活動する。市から同法人への本年度委託事業費は約660万円で、任期は6月1日から来年3月末まで。

 協議会では丸藤理事が任期内の業務計画を説明。最優先する活動として、市内の高齢者らが必要とする支援と不足しているサービスなどの把握を挙げた。7月中旬に各町会を通じて高齢者らを対象にアンケート調査を行い、8月にはアンケート結果を踏まえ、町内会でのワークショップや聞き取り調査を実施する考えを示した。

 丸藤理事は「函館は全国的にも先行して配置を始め、他自治体から注目されている」とし、「町会など関係機関と協力しながら、きちんと地域のニーズと現状を把握することを心掛けていきたい」と話している。(蝦名達也)


◎宇都宮市議会議長が来函、道新幹線停車へ連携強化

 北海道新幹線のJR宇都宮駅の停車を求める活動を続ける栃木県宇都宮市議会の熊本和夫議長が16日、函館市を訪れ、佐古一夫議長、工藤寿樹市長と面会した。両市の行政、議会、経済界は昨年以来、関係機関への要望を続けており、新幹線のダイヤ発表に向けた活動も大詰めの段階。両市間で経済、観光面での連携を深めることを再確認した。

 熊本議長の来函は昨年10月以降、通算4回目。17日は函館商工会議所の松本栄一会頭との面会を予定している。

 宇都宮市では熊本議長や佐藤栄一市長らがJR東日本、JR北海道、国土交通省などへ宇都宮駅停車を働き掛け、今年5月には太田昭宏国土交通相にも面会した。函館側も現状では北海道までの交通アクセスが悪い北関東と新幹線で直結することで、観光客増加が望めるとして連携した取り組みを進めている。また、3月には函館の新幹線開業関連イベント、5月には宇都宮市内のイベントに相互参加するなど、要望活動以外でも両市間の交流が加速している。

 市企画部によると、工藤市長との面会ではJR北海道の島田修社長が宇都宮停車に難色を示したことが話題となったが、JR東日本の管轄となることから、当面、静観することを確認した。佐古議長は取材に対し、「宇都宮と函館は新幹線の停車で相互にメリットがあり、利害関係が一致している。今後も国会議員への働き掛けなど、連携していくことを再確認した」と話している。(今井正一)