2015年6月20日 (土) 掲載

◎函教大 学祭中止

 教育大函館校が今月27、28日に予定していた大学祭を中止することが、19日までに分かった。実行委が本年度の計画案を提出しなかった点に加え、昨年の大学祭の収支報告に不備があり、大学側が大学祭のあり方を検討する必要があると判断。既に来年度の開催に向け、調査に乗り出している。

 大学祭は、毎年学生有志で構成する実行委が運営。通常なら大学祭の半年前には提出すべき計画案だが、同校は「今年5月時点で提出されていなかった」として、企画内容や予算など計画性の甘さを指摘した。

 また、昨年実行委が提出した収支報告書に、領収証などの添付漏れがあった。同校によると、提出期限は特に定められていないものの、必要書類は今月19日現在、完全にはそろっていないという。

 これを受け、同校の教員でつくる学生委員会で審議。収支報告に不正がないことを確認したが、函館校としてより良い学校祭のあり方を考える必要があるとして、5月19日の教員会議で中止を決めた。

 現在、来年度の開催に向け、学生と教職員を対象に▽運営主体はどのような組織がふさわしいか▽大学祭の開催時期、企画内容▽函館校にふさわしい大学祭とは—などの項目でアンケート調査を実施している。7月をめどにまとめ、学生委が中心となって学生と意見交換しながら検討を進める方針だ。

 学生へは5月22日に学内掲示板で周知したほか、今月11日には函館校のホームページでも公表。年に一度の行事の中止に、学生からは戸惑いの声が上がる。1年の男子学生は「残念の一言。来年は今年の分まで盛り上がることを願う」と話した。(稲船優香)



◎夏まつりに「黒王号」参上へ

 【北斗】人気漫画「北斗の拳」の主要登場人物「ラオウ」の愛馬「黒王号」の等身大模型が、7月26日に開かれる「北斗市夏まつり」(実行委主催)の山車行列に参加することが決まった。来年3月の北海道新幹線開業に向け、北斗の拳を活用したまちおこしを目指す「黒王号を呼ぶ会」(会長・木村圭介市商工会青年部長)のラブコールが実り、誘致が実現した。

 模型は現在、版権会社ノース・スターズ・ピクチャーズ(東京)が保管しており、模型の高さは台座から3・8㍍でウレタン製。山車行列は午後6時25分に市役所前を出発し、JR上磯駅までの1㌔あまりを1時間かけて練り歩く。

 同会は「北斗市」と「北斗の拳」を結び付けてまちおこしをしていこうと、市内農水産業や商工業の若手有志によって組織され、昨年6月に立ち上がった。今回、同会が黒王号を要請し、ノース社が無償で貸し出しに応じた。輸送費などは同会が負担する。

 まつり後は来年、北海道新幹線開業を控える新函館北斗駅の1階にモニュメントとして設置することも予定しており、同会は輸送費と合わせて350万円を目標に募金を呼び掛けている。

 木村会長は「人気漫画を使ったまちおこしを行えることに喜びを感じている。新駅に設置されるモニュメントは来場者が驚くようなものにしたい」と意気込んでいる。募金などの問い合わせは(電話0138・77・9833)へ。(毛利祐一朗)



◎経済再生と人口減課題、工藤市長が市政執行方針

 函館市議会の第2回定例会が19日、開会し、会期を7月10日までの22日間と決めた。工藤寿樹市長は2期目の市政運営に向けた執行方針を述べ、「改革と挑戦のセカンドステージは道半ばの経済の再生に加え、人口減少対策を大きな課題に位置付けた。北海道新幹線開業を迎えるこれからの4年間は、函館再生のための極めて大切な期間だ」と力を込めた。

 工藤市長は▽交流人口の拡大▽若者の雇用創出▽少子化対策▽高齢者の安全・安心|の4つを大きなテーマとして掲げ、目指すべき市政の将来像を「活気に満ちたまち、歩いて楽しいまち、訪れたくなる美しいまち、住む人にやさしいまち」とした。

 経済施策では、来年3月に控えた新幹線開業を契機とした交流人口の拡大、IT企業の誘致による雇用創出に加え、市国際水産・海洋総合研究センターを拠点として地域ネットワークを強化し、学術研究拠点都市形成を目指す。特に観光振興では「観光基本計画で目標とした観光入り込み客数550万人の早期達成を目指す」と目標を掲げた。

 人口減少について、「若年層の転出超過により、子どもを生み育てる世代の人口が減少し、出生数は30年間で半数以下になった」と重要課題との認識を強調。入学準備給付金制度をはじめとする子育て支援施策、産前・産後を含めた女性支援体制を充実させるとし、高齢者福祉では地域包括ケアシステムの構築に向け、福祉コミュニティエリアの整備を進めるとした。

 また、電源開発(東京)が青森県大間町に建設中の大間原発にかかわり、「建設差し止め訴訟は市内、全国から支援の声が寄せられている。これからも強い決意を持って全力で取り組んでいく」と述べた。

 このほか、交通体系の整備、行財政改革の継続、函館圏2市1町を核とした広域連携の推進などを掲げ、「先人たちが築いた歴史ある土壌に一つ一つの可能性の種をまき、美しい花を咲かせ、次の世代に引き継いでまいりたい」と決意を語った。

 続いて、山本真也教育長が「函館に息づいてきた学びの伝統を大切に受け継ぎ、生き生きと磨き合い、高め合う生涯学習の推進に努め、ぬくもりのある地域社会を実現する教育を目指す」と教育行政執行方針を述べた。▽豊かな人生を支援する生涯学習の充実▽子どもの「生きる力」を育(はぐく)む学校教育の推進▽未来を拓(ひら)く教育施設の整備|を重点目標とした。

 この日は、政策予算を反映させ、総額を1405億881万円とする本年度の一般会計補正予算案など議案16件を提出した。本会議は24日に再開し、各会派による代表質問を行う。(今井正一)


◎恵山で地熱発電の資源量調査、東京の2社

 再生可能エネルギー開発事業を手掛けるレノバ(東京)とデナジー(同)の両社は18日、函館市恵山地区で地熱発電所の建設を目指し、資源量の調査を行うと発表した。6月下旬に地表調査に着手、来年以降は候補地を実際に掘削して作業し、早ければ2019年から運用を開始したい考えだ。

 両社は14年から、恵山の地熱資源に着目。レノバの担当者は「文献や先人の調査に基づき、投資に値すると判断した」とし、出力は最大2000〜3000㌔㍗を見込む。地元住民の合意を得るため、同年12月から説明会を複数回開き、調査に向けて準備を進めていた。

 地表調査は、石油天然ガス・金属鉱物資源機構の助成金を活用。来年2月までのスケジュールで、地下から噴き出す蒸気や熱水の成分を分析し、断層の分布などを確認する。

 来春には掘削して地下探査を行う予定で、環境への影響を調べ、発電所建設が可能となれば16年から建設工事に着手する。事業の運営は両社が共同出資して設立する現地法人が担い、売電収入の一部は「地域貢献基金」として、地元の活性化に役立ててもらう。

 レノバの担当者は「調査の都度ごとに市や住民と意見交換し、理解を得た上で秩序ある開発を進めたい」としている。

 道内の地熱発電施設は、森町の北海道電力森発電所のみ。レノバはこれまでに、全国5カ所で大規模太陽光発電所(メガソーラー)を開発。地熱発電は、九州でも建設を模索している。(山田大輔)