2015年6月25日 (木) 掲載

◎函館駅商業施設改装へ

 北海道キヨスク(札幌)は24日、来年3月の北海道新幹線開業に合わせ、JR函館駅構内の商業施設をリニューアルすると発表した。道内では初の試みとして、地元の人気店を集めた専門店街を1階に設置。土産品の品数を大幅に増やし、新幹線で函館を訪れる観光客の需要を取り込む狙いだ。

 現在は1、2階合わせて約925平方㍍の商業ゾーンがあり、土産店をはじめ、コンビニや駅弁専門店、飲食店など9店舗が入居。「希少価値の高い地元産品を新たに発見する楽しみを観光客に提供したい」(同社)として、新幹線開業を契機に施設全体を一新。土産品売り場を拡張して、道南の特産品を豊富に並べる計画だ。

 改装の目玉となる専門店街には、地元の菓子店など6、7店がブースを構える予定。同社は「百貨店の〝デパ地下〟のようなイメージ。実演販売や函館駅でしか手に入らないプレミアム商品を提供したい」としている。

 改装工事は9月に着手。全面オープンは、開業前の来年2月ごろを予定している。(山田大輔)



◎JR北が新峠下トンネルで避難訓練

 【七飯】JR北海道函館支社は24日、七飯町のJR函館線新峠下トンネル(1250㍍)で、走行中の列車が脱線して火災が発生したという想定で避難誘導訓練を行った。4月に青函トンネルで発生したトラブルを踏まえ、地元自治体への連絡など新たな内容も取り入れ、参加者は迅速に対応した。

 JRや消防、警察などから計約170人が参加。4月に青函トンネルを走行中の特急列車から煙が発生し、乗客らが青森県側の地上へ避難したトラブルでは、地元自治体への連絡がなく、連携が取れなかったとの指摘を受けたことから、今回は初めてJRから七飯町への連絡を確認したほか、乗客に名前や行き先などを記入する紙を配り、代行バス移動などを円滑に行うことも初めて取り入れた。

 訓練は、函館発大沼行きの臨時列車(4両編成)が走行中に、異音と大きな揺れを感じ、車掌が列車を緊急停止させると、先頭の4号車が脱線していて、床下で火災が発生したという想定。乗務員らは避難はしごを設置し、乗客役のJR社員約120人を約350㍍先の避難所まで誘導。消防は負傷者役の2人を担架で搬送し、消火訓練も行った。

 同支社の鈴木理夫技術次長(51)は「事象が発生してから避難までおおむねスムーズにいった。いつ、何が起きても対応できるように万全な備えをしていきたい」と講評した。

 訓練は、2011年5月に上川管内占冠村のJR石勝線トンネル内で発生した特急列車の脱線炎上事故を教訓に始まり、今年で8回目。(能代俊貴)



◎函館市が「市民生活のしおり」第2版発行

 函館市は、行政の各手続きや制度、地域情報、生活情報などをまとめた「市民生活のしおり」の第2版を発行した。2013年以来2年ぶりの改訂で、巻頭には家庭ごみの分別を中心に環境部ニュースとして特集を掲載。函館アリーナ、函館フットボールパークなどの新施設の話題を載せるなど40㌻分の情報が増えた。7月下旬までに全戸に配布する。

 市は協働発行事業者として市内日乃出町の印刷・出版業の「プリントハウス」と協定を締結。同社は広告収入で製作、配布にかかわるすべての経費をまかない、市には費用負担がない方式で発行した。

 環境部の特集では可燃、不燃、プラ容器といったごみのほか、小型家電回収ボックスでリサイクル可能な品目、捨て方の注意事項などを50音順で掲載。同部は「市民からの問い合わせが多いものを中心に掲載した最新版で、活用してもらいたい」とする。

 市政情報では、各種相談窓口、税金、福祉、子育て・教育といったジャンルごとに市役所の担当課の情報をまとめた。このほか、観光やグルメなどの函館タウンガイド、前回発行時に市民から要望のあった医療機関一覧など暮らしの情報を掲載した。

 A4判オールカラー、200㌻、14万2300部を発行。全戸配布のほか、転入世帯には窓口で手渡す。今後も2年ごとに発行を予定。市企画部広報広聴課は「市民生活に必要な情報が掲載されているので、手元において活用してほしい」としている。(今井正一)


◎月額最大2万1000円増額…函館市 奨学金貸付制度改正

 函館市は本年度、市の奨学金貸付制度を見直し、国公立・私立大学と専修学校に在学する学生への貸与月額上限額を最大2万1000円引き上げる考え。開会中の第2回定例市議会に補正予算案として131万円を計上。返還期間も現行の15年から最長20年まで(貸与総額が150万円を超えた場合のみ)とし、制度の利用促進を図る。

 市の奨学金制度は高校・高専・短大・大学・大学院・専修学校の進学・在学者で、経済的理由により修学が困難な人を対象に、1951年に創設。2014年度までに計3437人、総額10億8630万円を無利子で貸し付けており、能力はあるが進学を断念せざるを得ない学生のセーフティーネットとして利用されてきた。

 一方で、10年度の公立高校の授業料無償化や14年度の公・私立一体となった就学支援金制度の施行など、高校への支援が拡充されており、市の奨学金制度の利用者は減少傾向にある。また、市内の教育関係者などでつくる市奨学資金運営委員会で昨年、高校と比較して授業料に対する対応額の割合が低い大学などの支援を見直すべきとの要望があったことから、市が検討を進めてきた。

 貸付月額の上限額は、国公立大学と専修学校が1万3000円増額の3万円。私立大学は2万1000円増額の4万円に改正。必ずしも上限額を借りる必要はなく、1万円単位で希望額を選択できるように変更する。市子ども未来部によると、全国の中核市の中で希望額の選択などを実施している市はないという。

 返還期間も大学院に進学した場合などを考慮し、月1万円ほどで返還できるよう期間を延長する。9月の奨学生追加募集から上限額などの変更を適用。すでに貸付が決まっている学生も制度移行の対象になる。同部は「市独自の考え方で少しでも利用しやすい制度に変わる。応募者も増えるのでは」とみている。(蝦名達也)