2015年6月26日 (金) 掲載

◎函館駅の観光案内所一新

 函館市は25日、JR函館駅構内の市観光案内所をリニューアルした。駅改札口側の入り口から案内所が分かりやすいようにL字型のカウンターを設けたほか、函館の風景写真や観光情報を紹介する大型ディスプレーを設置。北海道新幹線開業後の観光需要増加を見据え、同時に応対できる案内員の人数を増やした。

 同駅の観光案内所は、JRのみどりの窓口などの奥に位置。これまでは隣接する旅行センターのカウンターと横並びで、改札口側入り口から見えにくいなどの課題があった。市は本年度当初予算に観光資源施設整備費として640万円を計上し、改修を進めていた。

 リニューアルにより、案内所を入り口の真正面から見えるようにカウンターをL字型に配置。バックヤードも拡張して観光パンフレットなどの在庫量を増やし、常時4〜5人の案内員が対応できるようにした。

 函館国際観光コンベンション協会によると、函館駅への列車到着後に利用する観光客が多く、交通機関の利用方法や市内近郊の観光スポットの周遊方法などの照会が多いという。また、利用客のうち2割程度が外国人観光客で、外国人客向けのWi—Fiサービスの照会などを行っている。

 リニューアルに合わせ、車いすに加えて、新たに貸し出し用のベビーカーを3台導入し、元町公園内の案内所にも2台を配置した。今後、観光客の利用状況を見ながら増台を検討する。(今井正一)



◎碧血碑慰霊祭、榎本武揚子孫ら参列

 箱館戦争で戦死した旧幕府軍兵士の霊を慰める「碧血碑(へっけつひ)慰霊祭」(箱館碧血会主催)が25日、函館市谷地頭町の碧血碑前で行われた。今年は1875(明治8)年の同碑建立から140年の節目で、子孫や関係者、市民の約150人が参列。碑前に手を合わせ、祭られている約800人の兵士を偲んだ。

 69(明治2)年の箱館戦争終結後、放置されていた旧幕府軍兵士の遺体を、侠客・柳川熊吉らが集めて埋葬し、このことを知った榎本武揚らの募金によって同碑が建立された。明治から大正にかけて法要日が定まっていなかった時期もあったが、初代市立函館図書館長・岡田健蔵氏の意見で、千代ケ岡陣屋の激戦により中島三郎助が最期となった旧暦の5月16日とした。

 慰霊祭では、実行寺(船見町)の望月伸泰住職らが読経する中、子孫、会員、一般の順に焼香。同会の大谷長道会長は追悼として「兵士には牛伏せ山で安らかに眠ってほしい。今後も会員一同が助け合い、慰霊祭を続けたい」と述べた。最後に1982年から折り鶴など作り参列している谷地頭保育園や園児に対し、同会から感謝状が送られた。

 榎本武揚の曾孫・榎本隆充さん(80)は「140年もの間、亡き兵士の魂や碑を守ってくれていることに感謝でいっぱい」、土方歳三の兄の6代目・土方愛さん(43)は「節目の慰霊祭は必ず参加しようと思っていた。歳三とともに戦った人のめい福を祈りました」。伊庭八郎の弟、武司の曾孫・金田秀昭さん(70)は「碧血碑慰霊祭は日本人魂の表れ。園児たちが参列して、この文化を継承することも素晴らしい」と話した。

 式典後、市内で直会を開き、子孫と会員、市民が交流を深めた。 (山崎純一)



◎おしょろ丸がシップ・オブ・ザ・イヤー漁船・作業船部門賞

 北大水産学部附属練習船「おしょろ丸」(1998㌧)が、日本船舶海洋工学会(東京)主催の「シップ・オブ・ザ・イヤー2014」漁船・作業船部門賞を受賞した。昨年7月に竣工(しゅんこう)した5代目で、受賞は初めて。「静かで揺れない洋上キャンパス」の実現が高く評価され、今後の教育・研究活動に一層の弾みが付きそうだ。

 シップ—は国内の新造船に与えられる賞の中で最も権威があり、今年で25回目。技術的、芸術的、社会的に優れた船を選考して表彰する。今回は昨年竣工した8隻が応募した。内訳は大型客船部門に1隻、小型客船部門に2隻、大型貨物船部門に2隻、小型貨物船部門に2隻、漁船・作業船部門に1隻で、小型貨物船の1隻が途中で辞退したため7隻が本審査に進んだ。

 今月9日に東京で各応募船のプレゼンテーションがあり、北大からは木村暢夫教授がおしょろ丸の魅力をアピール。選考を経て受賞が決まった。全体の最優秀にあたる「シップ・オブ・ザ・イヤー2014」には液化天然ガス運搬船の「さやえんどうLNG船」が選ばれた。授賞式は7月27日に東京で行われる。

 おしょろ丸は「極域(北極圏)まで航行可能な耐氷構造を持ち、電気推進システムと防振・防音設計で高性能な調査船を実現した」ことが認められた。

 函館キャンパス事務部によると、航行中の揺れを低減する「フィンスタビライザー」の搭載など、学生の安全確保や研究意欲を高める装置により「4代目に比べ船酔いする学生の数は3分の1に減った」(船舶担当)という。

 安井肇学部長は「教育・研究に活躍する船なので、その門出に賞をもらったことは非常にうれしい。世界の水産科学分野の課題解決に向けて活用していきたい」と喜びをかみしめる。

 おしょろ丸は、長さ70㍍、幅13㍍。定員99人。三井造船が建造した。(山崎大和)


◎凌雲、光成、的場中学統合、校名は新たなものに

 函館市立小・中学校再編計画に基づき、2018年4月に統合する凌雲(172人)、光成(64人)、的場(338人)の3中学校の第1回統合準備委員会が25日、的場中で開かれた。統合校の校名は3校の名前を残さず、新たな校名を付けることを確認。来年2月にも決定する見通しだ。

 準備委は3校の教職員とPTA、学校評議員22人で構成。委員長に選出された切明学凌雲中校長は「在校生の素晴らしい巣立ちと同時に、新1年生が気持ちよくスタートを切れるよう、準備に力を尽くそう」と述べ、副委員長に鳴海康司光成中校長と高橋登的場中校長を指名した。

 校名については、統合校の校舎新築に向けた国への補助金申請手続きのため、市教委が来年2月の市議会に議案を提出する必要がある。このため、今年10月中旬には準備委が校名候補案の要望書を市教委に提出する見通し。

 統合後の生徒数は15学級534人を見込み、校区は「できるだけ一つの小学校の児童が同じ中学校に進学できるよう」(市教委)、一部を変更する。

 本年度は校名の選定と、16年度入学生の実技4教科の教育課程の統一に向け、5つの検討部会で協議する。(稲船優香)