2015年6月6日 (土) 掲載

◎箱館奉行所100万人達成 開館4年10カ月

 箱館奉行所(田原良信館長)の累計入館者数が5日、100万人に達した。2010年7月29日の開館以来、約4年10カ月での達成。関係者が節目を祝うとともに、一層の発展へ決意を新たにした。

 100万人目の入館者は、函館市上湯川町の松村謙さん(75)。妻の悦子さん(74)とフジ棚を見ようと五稜郭を訪れ、奉行所に入館した。初めて入館したという松村さんは「100万人目の実感はないが、たいしたものです。これから五稜郭の歴史を勉強して、本州にいる息子に伝えたい」とほほ笑んだ。

 この日、奉行所の一ノ間で行われた記念セレモニーでは、函館市教委の山本真也教育長が認定証を、指定管理者の名美興業の阿相博志社長が記念品と花束を松村さんに贈呈。山本教育長は「多くの人に来館していただき、ありがたいの一言。観光客はもちろん、地元の方にこそたくさん見てほしい」と話していた。 (稲船優香)



◎チーズ焼きやパンなど6品 トマト料理召し上がれ 大野農高生考案

 【北斗】大野農業高(丸山博正校長)の生徒3人が、市特産のトマトを使ったオリジナル料理を開発した。チーズ焼きやパンなどユニークな6品で、高校生ならではの発想が光る。6、7の両日にJA新はこだての農産物直売所「あぐりへい屋」(東前62)で開かれるトマトフェアに合わせ、ランチメニューとして提供する。

 生活科学科3年の河村玲菜さん(17)が「トマトのチーズ焼き」「ジャガイモとハムとトマトのチーズ焼き」、食品科学科3年の花田有希さん(18)が「ジャガイモとトマトとアスパラ入りのパン」「ナスとトマトとパプリカの中華炒め」、同科3年の高橋茉利早さん(17)が「トマトのカップケーキ」「トマトヨーグルト」を完成させた。

 6品をワンプレートに盛り、フードコーナーで1日限定30食を出す。税込み500円で、同店は「若いアイデアを生かした料理が出来上がったので、ぜひ食べてほしい」とPRする。

 3人は3〜5日に同店でインターンシップ(就業体験)を行っており、一環でトマトを使った料理づくりに挑んだ。学校でもメニューを考案するような授業を受けたことはなく、ぶっつけ本番に近い形で新メニューを生み出したという。河村さんは「不安もあったが、最初から最後まで自分で考えて作ることができて満足」と笑顔を見せる。

 フェアでは、出荷が始まった北斗産大玉トマト「りんか409」を通常より安く販売。問い合わせは同店(電話0138・77・7779)へ。  (山崎大和)



◎一般会計 初の1400億円超 函館市補正予算案

 函館市の工藤寿樹市長は5日、2期目の政策予算を盛り込んだ本年度の一般会計補正予算案を発表した。一般会計は17億4447万円を追加し、既決予算額と合わせて総額1405億881万円とした。前年度当初比2・6%の増額で、1400億円を超えるのは初めて。低所得世帯や多子世帯への入学準備給付金制度の開始など少子化対策を進めるほか、交流人口の拡大、若者の雇用創出、高齢者の安全・安心を重点テーマに配分した。19日開会予定の定例市議会に提案する。 市長選前の2月に発表した骨格予算の一般会計は1386億7000万円。補正予算の財源は当初予算の留保分4億円に加えて、14年度一般会計の黒字分24億円を繰り入れるなどした。

 特別会計では、奨学金の貸与月額を増額するため、奨学資金特別会計に287万円を追加。介護保険事業特別会計は地域包括支援センター拡充の経費や国、道への補助金の返還金などを計上し、3億3159万円を追加した。企業会計の補正はなく、全会計総額は前年度当初比2・6%増の2823億1795万円となった。

 補正予算案について工藤市長は「1期目は経済再生と財政再建を大きなテーマとし、財政は持ち直した。(2期目は)少子化対策、人口減少対策に力を入れていく」と強調。さらに地元出身の人気ロックバンド「GLAY」とタイアップした4事業を展開するなど独自性を発揮し、「新幹線開業、将来に向けて函館が活力を維持し、元気になる補正予算を組むことができた」と述べた。

 少子化対策では、所得制限など条件はあるが、小、中学校入学時に1人あたり2〜3万円の入学準備金を支給する市独自の制度を導入。学童保育料の軽減や施設運営者への委託料加算、女性の抱える諸問題をワンストップで対応する「マザーズ・サポート・ステーション」の創設など、出産、育児、子育ての各段階で手厚い支援制度を構築した。

 雇用創出では情報系企業の誘致に力を注ぎ、IT技術者人材育成支援補助金では、立地企業に1社最大500万円を限度に研修経費を助成。併せて、既存の企業立地促進条例補助金制度で、対象業種の追加や補助要件の緩和、拡充を図り、誘致を図るセールスポイントとする。

 交流人口の拡充では、海外観光プロモーション実施経費に1100万円を追加。中国本土(北京、天津、上海)でのトップセールスと航空会社関係者を函館に招請。このほか、熱帯植物園のリニューアル、亀田地区の福祉センターや青少年会館など5施設を統合するための各調査費を計上した。 (今井正一)


◎市補正予算案に「GLAY4部作」 

 函館市は5日に発表した本年度の補正予算案に、函館出身ロックバンド「GLAY」と連携した4つの事業予算を盛り込んだ。7月に函館アリーナで行われるこけら落とし公演の開催経費をはじめ、メンバーをかたどった巨大レリーフの制作を発表。回遊型イベントの開催など、工藤寿樹市長は「GLAY4部作」と名付け、人気バンドの全面協力を得て地域の活力向上につなげたい考えだ。

 市経済部によると、GLAYのレリーフは、2017年3月に本町地区の複合ビル内に開設予定の市民交流プラザに設置し、若者の滞在拠点として整備する施設のシンボルアートとする。総事業費9510万円のうち、今回の補正予算案に2873万円を計上した。

 デザインはGLAY側と協議中だが、「(13年7月の)緑の島での野外ライブを想起させるもの」(同部)とし、等身大以上の大きさのメンバーが並ぶ巨大アート作品となる見通し。さらにからくり時計の機能として、時報代わりにGLAYの楽曲が1時間に1回流れる仕組みを持たせる。函館から日本を代表するバンドへと登り詰めたGLAYに思いを重ね、「市民交流プラザを若い人たちが自分たちの思いを実現する場所にしたい」とする。

 一方、7月25、26の両日に予定する函館アリーナのこけら落とし公演の開催経費として2500万円を計上。工藤市長は「GLAYのライブで、函館にイベント、コンベンションが開催できる施設ができたことを全国に発信できる」と強調する。ライブに合わせ、同18日から9月6日まで、市内一円でGLAYとタイアップした宝探しイベントの開催を企画、関連経費500万円を盛り込んだ。

 メンバー4人にかかわる謎解きの要素が含まれた地図を手に市内のスポットを巡って宝探しを行い、報告者には景品が当たる催し。市観光部は「GLAYファンに聖地・函館の魅力を体感してもらいたい。夏場の着地型観光のコンテンツとして誘客につなげたい」とする。

 このほか、道内の官民でつくる北海道新幹線開業戦略推進会議が主体となり、GLAYに開業PRソングの制作を依頼。市側の働きかけで実現したもので、市の負担金250万円を計上した。 (今井正一)