2015年6月7日 (日) 掲載

◎舟こぎ競争白熱、南かやべひろめ舟祭り

 函館市南茅部地区の一大イベント「第30回南かやべひろめ舟祭り」(実行委主催)が6日、同地区臼尻漁港で開かれた。メーンイベントの舟こぎ競争では、市内外から訪れた多くの見物客が盛んな声援を送っていた。

 豊かな海の恵みに感謝し、豊漁を祈願する同地区の伝統行事。恒例の舟こぎ競争は昨年より4チーム多い47チーム、約280人が参加。木製の磯船に6人1組で乗り込み、かじ取りや拍子役、こぎ役を分担し、初心者対抗や同祭り杯など各部門に分かれ順位を争った。

 初心者対抗戦には8チームが出場。スタートの合図で勢いよく飛び出しながら、まっすぐに進まないチームも。観客席からは応援と笑いがあふれ、祭りを活気づけた。同部門に出場した北大修士1年目の加藤大棋さん(22)は「思い通りに舟をこげなかったが、良い思い出になった」と笑顔を見せた。

 会場では同地区特産品の昆布が無料配布されたほか、第30回を記念し、市消防音楽隊の演奏会や演歌歌手の鳥羽一郎さんらを招いた歌謡ショーなども行った。初めて訪れたという川汲町の主婦、戸波登志子さんは「舟こぎ競争やステージでとても楽しめました」と声を弾ませていた。(蝦名達也)



◎おいしい酒願い米作り始動、江差経済同友会が田植え

 【江差】江差と上ノ国の両町が計画を進める地酒づくりを後押ししようと、江差経済同友会(小笠原弘会長、会員14人)による酒米づくりの取り組みが町内で始まった。関係者によると、江差での酒米品種の田植えは初めてで、来年6月の商品化を目指し、生育調査などの関連データを両町に届ける。

 同会によると、江差では江戸時代中期から酒づくりが行われていたという言い伝えがあり、明治後期から大正にかけても「和久泉(わくいずみ)」という銘柄が存在したことが町史に記録され、酒瓶も文化財として残されている。当時は町内で稲作は行われておらず、本州からコメを取り寄せて醸造していたという。

 今年1月の新年交礼会で、両町長は「江差と上ノ国で連携して地酒づくりができるかこの一年で見極めたい」と表明。同会も「地域の盛り上げに協力したい」と、専門業者の「六花酒造」(青森県弘前市)に話を持ち掛けて独自の予算を組んだ。町内水堀町の農家、小笠原裕章さん(45)の協力を受け、5月下旬、3000平方㍍に酒米品種「吟風(ぎんぷう)」を植えた。

 同会は、収穫したコメで六花酒造に醸造を依頼、来年6月までに純米吟醸酒720㍉㍑を約1500本用意し、このうち1000本を「江差ブランド」として地元の酒類取り扱い店で販売したい考え。

 同会の打越東亜夫代表幹事は「両町の地酒づくりの参考にしてもらいたく、いち早く行動して関連データを集めることが大事だと思った。地域活性化の一助になれれば」と話している。

 同会では新酒の名前を公募している。問い合わせは同会事務局(西野会計、電話0139・52・1118)へ。(田中陽介)



◎観光客0.4%増484万人、昨年度函館市

 函館市は2014年度の観光客入り込み数(推計値)をまとめた。総数は前年度比0・4%増(2万1000人)の484万人で、3年連続で増加した。外国人宿泊客数は、同20%増(5万7739人)の34万5954人で、過去最高を記録。円安を追い風に台湾や中国などから大勢の旅行客が訪れ、函館観光をけん引した。

 入り込み数は、交通機関別の利用者数をもとに集計した。上期(4〜9月)は、前年同期比2・8%減の316万2000人。下期(10〜3月)は同7・1%増の167万8000人で、02年度の170万8000人に次いで、過去2番目となった。市観光企画課は「外国人観光客の増加に加え、北関東や東北でのプロモーション活動が奏功し、国内観光客が復調した」としている。

 交通機関別では、航空機が前年度比5・7%増の65万2600人。昨年、マレーシアや天津(中国)を結ぶチャーター便が相次いで就航したことから、数字を押し上げた。船舶はクルーズ船の寄港数が増加し、同25・2%増の26万1900人だった。

 市内の主要ホテルへの聞き取り調査でまとめた外国人宿泊客数は、上期が14万473人、下期が20万5481人。市が第4次観光基本計画(14〜23年度)で掲げた目標値の30万人を突破したことから、同課の本吉孝年課長は「数字の上方修正も検討したい」とする。国・地域別では台湾が最多で22万8774人。チャーター便の運航が始まった中国は、同3・7倍の5万772人と急伸した。

 今年3月にはエバー航空が台北線のデイリー運航を開始したほか、7月には函館と北京を結ぶ初の直行便が就航する予定で、明るい材料は多い。本吉課長は「今後も外国人観光客の増加を見込んでおり、期待を寄せている」としている。(山田大輔)


◎青函観光、大阪でセールス…全日空など

 関西から青函圏への誘客拡大を図ろうと、全日空函館支店と青森営業所、両地域の観光事業関係者らが4、5日、大阪市内で合同のセールス活動を繰り広げた。来年3月の北海道新幹線開業に合わせ、関西方面からは空路の大阪伊丹線を利用してもらい、青函に観光客を呼び込む狙いだ。一行は大手旅行会社を精力的に回り、青函の魅力をアピール。「津軽海峡をまたぐ周遊ツアーの造成を」と強く訴えた。

 新幹線開業に向けて函館市などは時間短縮効果が大きい首都圏や東北、北関東でのプロモーション活動に力を入れている。一方、大阪など西日本からは距離が長いため、すべて陸路という移動方法は現実的でないと関係者の見方は一致している。

 そこで関西方面に対して描く戦略はこうだ。函館、青森はともに伊丹線があることから、空路で函館に入ってもらい、青森から出る。もしくはその逆。その間に新幹線やフェリーを組み合わせた青函周遊観光を楽しんでもらう—。

 全日空は函館、青森ともに伊丹線を運航してることから、今回のセールスプロモーションを企画。両地域の観光事業者や行政に呼び掛け、約30人が参加した。函館側は函館山ロープウェイや五稜郭タワーなどの観光施設、ホテル、バス会社などが宣伝資料を片手に大手旅行会社を回った。

 訪問先は多くの顧客と販売力を持つJTBや近畿日本ツーリスト、日本旅行、読売旅行など。全日空大阪支社のセールスマンが同行し、2日間で10カ所以上を訪れ、商品造成や北海道・東北地域の担当者に売り込みをかけた。

 函館側が「新幹線開業に合わせ、函館アーリナやフットボールパークが完成する。季節ごとのイベントも豊富」とアピールすると、青森側は「津軽と下北2つの半島で趣きの違う観光を楽しめる」と紹介。旅行会社の担当者からは「大阪の人は新し物好きで、新幹線開業という話題には絶対に関心を持つ。青函のツアーは可能性がある」と上々の反応を引き出した。

 関西方面へのアプローチが課題だったため、参加者も手応えをつかんだ様子。観光バス事業を展開するHKBの田中富雄社長は「観光客が増加する新幹線に向けて弾みを付けることができた。担当者に青函の印象を残すことができたのではないか」と成果を語った。