2015年7月17日 (金) 掲載

◎東出さんのあか牛日本一

 【木古内】日本一の食用赤毛和牛を決める「第4回あか毛和牛認定農場枝肉共励会」(全日本あか毛和牛協会主催)が9日に東京で開かれ、木古内町鶴岡の東出農場代表・東出雅史さん(49)の育てた牛が優勝となる特別奨励牛に選ばれた。道南からの優勝者は初めてで、東出さんは「驚きとうれしさで胸が高鳴った」と喜びをかみしめていた。

 共励会は、全国の赤毛和牛の品質改善と生産技術の向上などを目的に毎年開催。今回は北海道から熊本まで各地の肉用牛農家ら28人が出場した。

 肉の品質などを評価する日本食肉格付協会の基準を参考に、主催者側が赤身と脂身のバランス良く入った枝肉を審査。赤毛和牛が市場に出回る生後24〜27カ月前後を対象とした。

 東出さんが赤毛和牛の育成に着手したのは約8年前。以前は別の牛を十数年飼育していたが、地元特産のブランド牛「はこだて和牛」を仲間と一緒にさらに普及させようと方向転換した。現在は牛舎5棟に繁殖牛と肥育牛約250頭を飼育。長男の雄太さんと二人三脚で徹底した健康管理を続け、北海道大会では過去5回の優勝を果たすほどの腕前になった。

 初めての全国大会優勝に、東出さんは「日ごろの懸命な管理が評価されたようで感無量。これを機に、地元の人や観光客にたくさん食べていただき、赤毛和牛の良さを感じてもらいたい」と笑顔を見せた。(斎藤彩伽)



◎新幹線開業控え商談会の開催増加

 函館産の食料品などを取り扱う商談会の開催機会が増えている。函館市が出店支援を行うなどしてかかわる本年度の事業は、国内外合わせて前年度比5件増の12件。16日は流通大手のイトーヨーカドー関係者が来函し、秋に首都圏の店舗で開催する「函館・道南フェア(仮称)」に向けた商談会が開かれ、過去最大規模となる道南の食品関連企業約40社が参加した。市経済部は「北海道新幹線の開業を控えて注目が集まっている」としている。

 イトーヨーカドーでのフェア開催は今春、市に同社から打診があり、16日の商談会につながった。この日は市内をはじめ、北斗、七飯、木古内、厚沢部などから企業が集まり、目利きのバイヤー相手に菓子や水産加工品など商品の売り込みを図った。

 参加企業のうち、吉田食品(高盛町)営業部の山本治さんは「地場産の食材にこだわって商品づくりをしている。首都圏での催事では商品の動きもいい」と話す。同社は秋に新工場の稼働を控え、積極的に販路拡大に取り組む考えだ。

 市商業振興課によると、市がまちづくり協定を結ぶイオングループのダイエー店舗での催事に向けた商談会を5月に開催済み。イトーヨーカドーを含め、流通大手2社が函館地域に注目した形となり、「地元企業は小売側の声を新たな商品の開発にもつなげてほしい」とする。

 また、海外市場では、香港や台湾、タイでの食品展示商談会、物産展参加経費を市が予算化。6月の補正予算ではシンガポールの外食産業市場の開拓に向けた事業費200万円を計上した。11月には道内他都市とも連携し、札幌市内で海外のバイヤー約50人が参加する食品輸出商談会を予定している。

 同課は「新幹線の開業を控えて、全国の百貨店やスーパーなどから函館物産協会への引き合いも増えている。海外市場もアジアからの観光需要と合わせて成長していくチャンスがある。販路拡大の機会を提供していきたい」としている。(今井正一)



◎全国の旅行業者、道南観光の魅力体感

 来年7〜9月に展開する大型観光企画「青森県・函館デスティネーションキャンペーン(DC)」を前に、全国の旅行業者を対象としたエクスカーション(視察旅行)が16日、青森と道南の両地域で始まった。約260人が9つのコースに分かれて各自治体一押しの観光スポットを巡り、旅行商品造成に向けてイメージを膨らませた。

  コースは、自治体や観光事業者などでつくるDC推進委員会が、青森県と道南の各市町村が提案した観光素材を厳選。エクスカーションは、DC期間中に売り出す滞在型旅行商品づくりりへの重要なステップとなる。

 この日、「下北・道南の絶景を満喫」と題したコースには14社27人が参加した。ベイエリアなど函館の観光名所に続いて一行は、北斗市の谷観光農園を訪問。谷健一代表の説明を受けながら、サクランボなどの収穫体験を行った。

 日本旅行九州営業本部の西英利販売部長は「体験型観光の需要は確実に増えている。北海道の自然が体感できるのは有力なメニュー」と評価する一方で、「個人ツアー客がストレスなく観光名所を訪れられるよう、二次交通や案内表示などの環境整備は不可欠だ」と指摘した。

 「函館・道南旬感満喫コース」に参加した9社19人は、鹿部と森の両町で、タコやホタテを使った地元料理の調理に挑戦。近畿日本ツーリスト個人旅行(大阪)の松本洋典さんは「家族向けプランとして有力なツールの一つになる」と手応えをつかんだようだった。エクスカーションは17日まで行われる。(山田大輔)


◎野外劇あす開幕、本番へ準備万端

 18日開幕する市民創作函館野外劇の総合練習が16日夜、会場の五稜郭タワーアトリウムで行われた。幕開けからフィナーレまで通して行い、出演者らが公演に向け士気を高めた。

 舞台として活用している国の特別史跡・五稜郭跡が、崩落した堀の石垣修復工事中のため、今回初めて五稜郭タワーアトリウムなどに舞台を移して上演。75分間の内容を40分程度に短縮し、1日2回上演する。投げ銭方式の募金公演とし、劇には100〜150人が出演する。

 総合練習ではオープニングのコロポックルの登場やペリー提督の来函、箱館戦争の激しい戦闘などのシーンが展開され、衣装を着た出演者は本番さながらの演技を繰り広げた。

 NPO法人市民創作「函館野外劇」の会の里見泰彦事務局長は「昼間の公演で修学旅行生や観光客が観劇しやすくなった。40分と短縮したが、1日2回公演となったので多くの人に見てほしい」と話していた。17日も総合練習を行い、18日の開幕に備える。

 8月16日までの11回公演で、上演時間はいずれも午後2時からと同3時半から。問い合わせは同会(TEL0138・56・8601)へ。(鈴木 潤)