2015年7月21日 (火) 掲載

◎認知症への理解訴え患者ら72人たすきつなぐ

 認知症患者や家族、支援者らが一本のたすきをつないで全国を走る「RUN TOMO—RROW2015(RUN伴(とも))」が20日、長万部—函館間で行われた。患者や施設スタッフ、函館市役所職員ら72人のランナーが107㌔を走り、認知症への理解を訴えた。

 RUN伴は、NPO法人認知症フレンドシップクラブ(東京)が啓発活動の一環として、2011年に函館—札幌間約300㌔を120人で走ったのが始まり。今年は4日に北見市でスタートし、福岡県大牟田市までの約3000㌔を6000人でつなぐ。

 20日は午前6時に長万部駅をスタートし函館へと南下。道南エリアのラスト区間(函館市役所—弁天町)は、市の藤田秀樹保健福祉部長ら3人のほか、函館商工会議所青年部の「函館はやぶさPR隊」メンバーらも応援に駆け付け、「RUN伴!はやぶさ!」と掛け声を上げながら力走した。

 第1回から参加している有料老人ホームゆうの施設長、細田政裕さん(48)は「イベントをきっかけに、全国で同じ思いを持っている人たちの交流が広がった。認知症の人たちが安心して暮らせるようになるまでこれからも一緒に走り続けたい」と話していた。(金子真人)



◎デジタルペン高齢者見守り 秋にもスタート

 情報技術(IT)のシステム開発会社、グローバル・コミュニケーションズ(函館市富岡町2、笹谷隆社長)は、デジタルペンを生かした高齢者見守りサービスを今秋にも実施する。遠方の家族が送信されたデータを通じて高齢者の体調を確認でき、重症化する前に電話連絡や自宅訪問の対応ができるように応用した。モニターを募って1カ月ほど試行し、検証したうえで本格運用する。

 同社は2011年、書いた文字がインターネットを通じて相手のパソコンなどに送信されるデジタルペンを使ったネットワークシステムを開発。函館市内の一部医療機関や福祉施設が、高齢者の買い物支援や要介護予防の健康確認などに活用している。

 一人暮らし高齢者の孤独死や振り込め詐欺が近年増えている状況を踏まえ、同社はシステムを活用してそれらを防止できないか検討。離れた家族や民生委員らが高齢者のわずかな異変を察知できるよう、見守りサービスを考案した。遠隔地にいる家族や高齢者の見守り活動をするボランティア、民生委員、介護事業者などを利用対象に想定している。

 見守る高齢者にあらかじめ専用のチェックシートとデジタルペン、通信用小型サーバーを持たせ、毎日、シートに記入してもらう。シートには健康状態や不審な電話の有無を確認する項目が列記され、チェックした内容は同社が管理するクラウドに集約される。利用者は自分のパソコンからクラウドにアクセスし、内容を確認できる仕組みとなっている。

 利用者はシートにチェックされた内容から通院を勧めたり、何日も記入がなければ何か異変があったのではと推測もできる。

 「ペンでチェックするだけなので、機器の操作が苦手な高齢者に最適。家族も体調変化の予兆を捉え、何かが起こる前にいち早く対応できる」と笹谷社長。「これからの人口減少社会に向け、このサービスが選択肢の一つになれば」と話している。

 同社は今月24日までモニターを募集中。応募者の中から5人を選定し、8月から1カ月間試行する。期間中、モニターに対しデジタルペンなどの機器を無償で貸し出す。申し込みは同社ホームページの募集ページ(http://www.global-communications.jp/kizuna_ver2.html)へ。問い合わせは同社(電話0138・44・5610)へ。(鈴木 潤)



◎エゾシカ生息数調査へ 道本年度

 道は本年度、計画的なエゾシカの捕獲を進めるため、道南部(後志、渡島、桧山管内)での生息数を推定するための調査に乗りだす。南部では近年、生息数が増加している可能性があり、それを裏付けるように捕獲数、農林業被害額、交通事故件数が急増。調査結果に基づいて捕獲計画を初めて策定し、生息数の適正化を目指す。

 道は東部(オホーツク、十勝、釧路、根室管内)と西部(石狩、空知、上川、留萌、宗谷、日高、胆振管内)について推定生息数を算出し、捕獲による個体数調整を行っている。2013年のデータでは、生息数は東部が21万頭、西部が35万頭、全道合計は56万頭と推定される。しかし、南部は情報不足から実態が把握できておらず、捕獲目標が立てられない状況という。

 南部での捕獲数は04年に50頭だったのに対し、13年には40倍となる1976頭に増え、車両との接触事故件数も4件(04年)から88件(13年)へ、農林業被害額は500万円(04年)から3700万円(13年)へと膨らんだ。また、エゾシカの線路内への侵入に伴う列車の運行支障も多発している。さまざまなデータの増加傾向に対応し、本格的な駆除が必要と判断した。

 道が民間事業者に委託し、上空から目視で確認する「ヘリセンサス」、自動的に写真撮影できる赤外線センサーを搭載したカメラを生息数が多い地区に設置する「自動撮影」、エゾシカを捕獲してGPS(衛星測位システム)装置を付けて移動経路を調べる「GPS追跡」に着手する。本年度の補正予算に事業費1億9981万円を盛り込んだ。推定生息数は16年度に算出する予定。

 渡島総合振興局は「管内での捕獲数(13年)は函館市、知内町、森町の順に多い。生息数を知り、計画的な捕獲を進めたい」(環境生活課)としている。(山崎大和)


◎昨年度「ワンクリック詐欺」相談 前年比43件増184件

 函館市市民部くらし安心課と市消費生活センター(若松町)に昨年度寄せられた「ワンクリック詐欺」に関する相談件数が、前年度比43件、約3割増の184件となった。同課は「身に覚えのない請求が届いてもむやみに連絡を取らず、無視してほしい」と注意を呼び掛けている。

 ワンクリック詐欺は、インターネットを利用する人を対象に、一見して有料サイトと無関係なリンクをクリックしただけで、一方的にアダルトサイトなどの登録完了や契約成立を宣言し、多額の利用料金を請求する架空請求の手口の一つ。

 同課によると、相談者の7割近くが男性。年代別では20〜39歳が65件(35%)と最多だったが、全年齢層に目立った偏りなどはなかった。

 相談内容の多くがアダルトサイトの利用だったが、女性の場合は芸能情報や占いサイトを利用しようとした際にページが移り変わり、利用料金の請求画面が出現した—などの相談が多かった。同課は「スマートフォンの普及でインターネットを容易に使いやすくなった分、詐欺の対処法を知らない市民がだまされやすくなっている」とみている。

 全国では、アダルトサイトを見ていたら請求画面の表示と同時にカメラのシャッター音が鳴る—という事例があるほか、ワンクリック詐欺の被害解決を名乗る悪質業者による二次被害も発生している。同課は「ワンクリックで個人情報が全て相手に知られることはない。自分で問題に踏みこんでしまったという負い目を感じるかもしれないが、支払いに応じる必要はない」としている。

 架空請求などの問い合わせは市消費生活センター(電話0138・26・4646)へ。(蝦名達也)