2015年7月30日 (木) 掲載

箱館奉行所5周年祝う太鼓の音

 箱館奉行所(五稜郭町、田原良信館長)は29日、開館5周年の記念イベントを行った。来館者が和太鼓の演奏や和装の試着体験などを楽しんだ。

 館内で格式高い部屋といわれる「一ノ間」では、「奉行に変身」と称して裃(かみしも)の衣装や打ち掛けなどを着て記念撮影する体験コーナーを開設。先着100人にオリジナルグッズを贈呈した。

 午後からは屋外で函館巴太鼓ジュニアの演奏会が開かれ、通りかかった観光客らが足を止め、力強い演奏に拍手を送っていた。奉行所スタッフによる折り紙教室も開かれ、親子連れらが体験した。

 5周年に田原館長は「函館は和洋が融合した景観を楽しめるまち。その中で伝統的な日本文化を体感できる名所として、さらに発信していきたい」と話した。

 箱館奉行所は江戸時代末期、日本の北辺防備の拠点として設置された江戸幕府の役所。今の建物は当時の外観写真や絵図などをもとに復元し、2010年7月29日オープン。今年6月には入館者100万人を突破した。(鈴木 潤)



厚沢部で農業手伝い0円免許合宿

 【厚沢部】町内の有志が整備した宿で共同生活をし、農作業を手伝いながら、そのアルバイト代で車やバイクの教習費用を賄う「0円免許合宿」が今夏、町内で初めて行われる。アルバイトの日数など各種条件がそろえば“0円”で免許取得が可能。主催者は雄大な自然と自慢の食、町民との触れ合いをアピールしながら、繁忙期を迎える農作業の担い手として期待をかけている。

 農繁期の学生らのアルバイト受け入れなどを目的に、今春に町内当路地区の農家が中心に立ち上げた任意団体「厚沢部農楽会(のうらくかい)」(斉藤武雄会長)と「厚沢部ドライバーズスクール」(高田一弥社長)が共同で企画。普通二輪と大型特殊免許取得(各4人)を基本に特別プランをつくった。

 期間は8月22日~9月25日の約1カ月間。最短滞在は3週間(教習日、農業日を含む)で、アルバイト日数次第では免許取得費に達しない場合がある。トウモロコシやカボチャ、キャベツなどの収穫作業で、アルバイト代は一日6000円。24日間で14万4000円となり「二輪教習費用分を差し引くと黒字になる」という。アルバイト代は滞在最終日に現金で支払う。参加者は町内で共同生活を行い、利用料は教習費用に含まれているため、別途支払いは発生しない。

 厚沢部の8月の平均気温は26度で「避暑地の軽井沢に似ている」とPR。農楽会関係者は昨年、夏休み中の大学生を町内の農家に紹介し、独自のアルバイト事業を成功させた実績があり、住民や行政から高い評価を得ている。

 応募締め切りは8月9日で、多数の場合は抽選。農楽会事務局の荒木敬仁さん(23)は「(免許取得を希望する)皆さんによりよい経験ができるよう、一生懸命サポートしたい」と話している。

 詳細はインターネット「0円免許合宿」で検索。問い合わせは同ブログへ。(田中陽介)



恵山「噴火警戒レベル」素案示す

 活火山・恵山(618㍍)の防災対策を検討する函館市防災会議恵山火山防災対策部会幹事会(議長・三原克幸市総務部参事)が29日、函館地方気象台で開かれた。札幌管区気象台火山監視・情報センターの千田信篤火山防災官が、最大級の被害を想定した場合を事例に「噴火警戒レベル」の設定素案を公表。住民避難を伴うレベル5の対応を3区分に細分化するなど、火山活動の段階を踏まえた運用方法を協議した。

 恵山における最大級の噴火シナリオでは、マグマ噴火に伴う火砕流などが椴法華地区の全域、恵山地区の御崎町から柏野町にかけての広域に到達し、住民避難を必要とする災害となる。

 噴火警戒レベルは5段階あり、現状はレベル1(活火山であることに留意)。素案では、火山活動の高まりが予想されたり、火口周辺に影響を及ぼすごく小規模な噴火期に入った段階でレベル2(火口周辺規制)に引き上げる。

 この後、現在も噴気活動が活発なX、Y火口(通称・小地獄、大地獄)で小規模な噴火を繰り返したり、火山ガス放出量が増加するなど活動の高まりが予想される場合は、レベル3(入山規制)の段階を飛ばしてレベル4(避難準備)に2段階引き上げる。

 さらに複数の想定火口から半径1㌔㍍以内に噴石が飛散したり、火山泥流が発生するなど、マグマ噴火につながるような火山活動が活発化した場合はレベル5(避難)とする。レベル5の対応は▽小噴火期▽さらなる活動活発化期▽中〜大噴火期|の3区分に分け、状況に応じて範囲を拡大しながら住民避難などの対応を進める。一方で火山活動が終息に向かった際には、レベル3を含めて段階的に引き下げる考えを示した。

 また、気象庁は恵山周辺に設置している観測機器について、設置済みの5種7基に加えて、本年度中に新たに地震計、遠望カメラ、傾斜計を各1基ずつ追加する方針を明らかにした。地震計は恵山周辺で3基目となり、震源位置の計測が可能となる。(今井正一)


道南の物販施設、サービス強化へ…道新幹線開業に向け道が支援

 来年3月の北海道新幹線開業に向け、道は北斗市と木古内町の新駅に新設されるアンテナショップでの商品・サービスを充実強化するための支援を行う。店舗の成功には消費者志向に合った商品・サービスの提供が求められており、対応が急務と判断した。鹿部町や七飯町では道の駅開設も計画されており、道南の物販機能を担う施設のサービス強化につなげる考えだ。

 北斗では、新函館北斗駅に合築する市観光交流センター内にアンテナショップが開設される。木古内では、駅前に観光交流センター「みそぎの郷きこない」が渡島西部4町と桧山南部5町が広域連携する拠点としてオープンする。

 道が開設し、軌道に乗った道産品アンテナショップップ「どさんこプラザ」の強みを生かし、各店に運営ノウハウを伝授。今秋には函館でセミナーを開き、外部専門家からノウハウの習得に加え、商品のブランド化戦略を学ぶ。要請に応じてどさんこプラザの店長らを各店に派遣し、店舗運営成功のこつを伝える。

 このほか、アンテナショップ運営マニュアルを600部作成し、運営者側のレベルアップを図る。道南アンテナショップ共通ブックも1万部作り、消費者向けにアピールする。本年度の補正予算に事業費約800万円を盛り込んだ。

 道の駅は鹿部が2016年2月、七飯が17年春のオープンに向けて準備を進めている。既存の道の駅でも商品構成やディスプレイ、接客などさまざまな要素が絡まって成り立っていることから、一つ一つを検証し質を高める努力が必要となっている。

 渡島総合振興局は「新幹線開業を契機に、道南では物販施設が増える傾向にある。アンテナショップや道の駅での課題を解決しながら全体の底上げを図り、リピーター獲得につなげたい」(商工労働観光課)としている。(山崎大和)