2015年7月31日 (金) 掲載

大門アーケード 6日から撤去工事

 函館駅前通の歩道に設置されているアーケードの撤去工事が8月6日から始まる。残存するアーケードは11カ所で、夜間に作業を行い、1カ所当たり2〜3日で終了を予定。大門地区に残る昭和の風情のひとつが9月中には姿を消すが、撤去を皮切りに北海道新幹線開業後を見据えた駅前通全体の再整備が本格化する。

 大門地区のアーケードの歴史は古く、北洋漁業再開を記念した北洋博覧会が開かれた1954年に一部区域に整備。現在のアーケードは77〜78年に歩道のカラー舗装と同時に整備され、造船不況に陥っていた旧函館ドックが製造した。築38年が経過し、鉄製の上屋はさびが目立つほか、一部で雨漏りするなど老朽化している。

 撤去は市中心市街地活性化基本計画の事業で、函館都心商店街振興組合(渡辺良三理事長)が実施。市は総事業費の9割に当たる5560万円を同組合に補助する。

 道警との歩行者用信号機の移設の調整や深夜まで営業している飲食店などにも配慮しながら、6日以降に順次撤去を進め、9月中旬ごろに終了を予定。店舗とアーケードの接合部分の外壁補修も今後、進める考えだ。

 駅前通では今後、電柱類の地中化が予定され、各事業者による上下水道管やガス管移設のほか、函館開発建設部が本年度から電線共同溝の整備工事を始める。全体整備完了には数年を要する見通しだが、入り組んだ市電の架線類を減少させる吊架方式の変更や、集客拠点としてのグリーンプラザの整備も進められる。函館の玄関口の顔として、空が広がる新たなメーンストリートに生まれ変わる。

 渡辺理事長(68)は「市内でアーケードのある商店街はここだけで、ランドマークだった」と思い入れを語る一方、駅前・大門地区の復興に期待を寄せ、「組合員の意識も変わってきている。冬場も地域で協力しながら、今まで以上にきれいで歩きやすいようにしていく」と話す。市経済部中心市街地再生担当の平井尚子参事は「函館の顔として集客力や回遊性が高まるよう整備を進めていく」としている。  (今井正一)



花電車運行 さあ祭りだ!

 「開港156周年記念函館港まつり」(8月1〜5日)の開催を告げる花電車の運行が30日、始まった。法被姿の運転士が電飾を施した電車を走らせ、「函館音頭」などの曲を流しながら夏の一大イベントを盛り上げている。

 花電車は3両体制。1934年の函館大火後、車両補充のために函館船渠(現函館どつく)で製造した初の道産車両「300形」の台車を転用している。

 スポンサー企業は、函館新聞社と大正製薬、JR北海道函館支社の3社。JRは昨年に引き続き、北海道新幹線H5系車両の装飾を施し、夜間は電飾が華やかさを演出する。31日は午後から運行し、8月1〜5日は午前中とワッショイはこだてなど、港まつりのスケジュールに合わせて走行する。大門地区が歩行者天国となる5日はグリーンプラザ付近に車両を留め置く。

 花電車は雨天時は運行中止。一般の営業車両は1〜5日は200円均一で運行し、パレード時間帯は一部区間で運行休止。1日は花火大会に合わせて増便対応する。ダイヤの問い合わせは市企業局交通部事業課(電話0138・52・1273)へ。  (今井正一)



春採りコンブ輸出拡大 台湾へ400㌔ 過去最大規模

 函館地域産業振興財団(松本栄一理事長)は30日、函館産の春採りコンブ(春先に水揚げしボイル塩蔵したマコンブ)400㌔が台湾へ輸出されたことを明らかにした。昨年2回の輸出実績がリピート受注を生み、今回は数量が前回より倍増し過去最大。函館産コンブを利用した新しい市場が、海外にできつつある。

 ヤマキ石田水産(的場町)が製造した「御刺身(おさしみ)昆布」で、卸売会社「函館魚市場」を経由し横浜港から船便で台湾へ同日出発。8月上旬に到着予定で、現地の日本食フランチャイズ店が日本食の一部に使う。

 同財団によると、台湾はコンブ消費が堅調で、日本と同規模のコンブ消費市場があるという。しかし、輸入は生産量が多い中国や韓国産が大部分を占め、日本産のシェアは低い。

 御刺身昆布は昨春に150㌔、昨秋に200㌔、それぞれ台湾に輸出された実績を持つ。2回とも1個170㌘入り小袋で「様子見に使っていた」と同財団。今回は1㌔入り大袋で送っており、使用量が増えてきたことに手応えを感じている。

 同財団は、養殖過程で間引きされるコンブの付加価値を高めようと、〝春採り〟と視点を転換。利用技術やブランド形成に向けて研究を続けており、木下康宣研究主査は「3回目のリピートがあり、安定した市場形成が期待できる状況にある。函館産コンブの利用拡大が進めばうれしい」と話す。市内2社がボイル塩蔵品を製造しており、生鮮利用を新しい食文化につなげる考えだ。  (山崎大和)


華麗なパフォーマンス楽しんで 5日からはこだて国際民俗芸術祭

 世界12の国や地域のアーティストが伝統舞踊やパフォーマンスなどを披露する「第8回はこだて国際民俗芸術祭」(一般社団法人ワールズ・ミート・ジャパン主催)が、5日から函館市の元町公園などで開かれる。10日まで。

 元町公園周辺にある5つの野外ステージで、今年は約200人のアーティスト、民俗芸術団体がさまざまなパフォーマンスやイベントを展開する。期間中は、世界の料理や雑貨が集まる「もぐもぐフェスティバル」や、親子で遊べる「わくわくフェスティバル」も開催し、会場を盛り上げる。

 主催者によると、同祭は2008年のスタート以来、44の国と地域から延べ約1500人のアーティストらが参加。これまでに約23万人の観客が訪れており、民俗芸術分野では国内最大級の夏フェス。

 芸術祭事務局のふくだたくまさん(40)は「今年は20人規模のグループが多く参加している。例年より華やかな雰囲気が楽しめるのでは」と期待する。

 ワールズ・ミート・ジャパン代表理事の一人で、芸術監督として全体の演出に携わるソガ直人さん(44)は「見どころは多種多様。特色あるステージは、それぞれ日ごとに内容が変わる。ぜひ連日通って楽しんで」と呼び掛けている。

 来場には、期間中使える「市民スポンサーパス」(2000円)が必要。1日券のワンデーパスは1000円。小学生以下は無料。100円券を11枚つづりにした「もぐフェス金券」は1000円で販売する。

 問い合わせは芸術祭事務局(電話0138・52・3815)へ。  (半澤孝平)