2015年7月5日 (日) 掲載

◎海峡号13年ぶり復活運行

 1日から始まった「青森県・函館観光キャンペーン」の開幕記念として4日、2002年まで函館—青森間を走行していた快速「海峡号」が1日限りで復活、1往復限定で運行された。出発式が行われたJR函館駅には、13年ぶりの雄姿を一目見ようと大勢のファンが詰めかけた。

 同列車は、1988年の青函トンネル開業時に誕生。特急「スーパー白鳥」の運行開始に伴い、2002年11月30日で役目を終えた。

 出発式では、渡島総合振興局の三戸部正行局長が「北海道新幹線開業を迎える歴史的な節目に、海峡号が復活するのは大変意義深い」とあいさつ。テープカットに続き、鳴海正駅長の合図で「復活海峡号」が悠然と走り出すと、青函連絡船摩周丸が汽笛を鳴らし、出発に花を添えた。

 札幌市から駆け付けた逵琢博さん(27)は「中学校の修学旅行で利用した。感激と懐かしい気持ちでいっぱいになった」と興奮した様子。津軽海峡線の沿線にも全国から大勢の鉄道ファンが詰め掛け、1日限りの列車の姿を写真に収めようと、思い思いの場所で必死にシャッターを切っていた。

 この日、函館と木古内の両駅では、同列車の運行に合わせて観光客をもてなすイベントが行われた。木古内駅では、伝統芸能「みそぎ太鼓」の勇壮な音が響く中、町職員やPRキャラクター「キーコ」のほか、武者姿の松前町職員が駆け付け、列車から降り立った客に歓迎の意を伝えた。

 JR北海道によると、「復活海峡号」は往復で418人分の座席を販売し、発売開始の6月9日に完売したという。(山田大輔、金子真人)



◎江差の90歳杉野さん自転車イカ売り

 【江差】町内で唯一、自転車でスルメイカの行商に励む杉野悦男さん(90)=姥神町=の“操業”が4日、始まった。「イガ、イガ」と声を張り上げるスタイルは半世紀変わらず、江差の夏の風物詩。90歳を機に引退宣言していたが「お客さんは少ないけど、イカを待っている人がいるから頑張る。今朝は調子が良くて上り坂も自転車で大丈夫だった。これで自信がついたよ」と現役続行の構えだ。

 杉野さんは江差生まれで、行商は20代後半に両親の水産加工業の足しにと始めたのがきっかけだ。10年ほど前に73歳で亡くなった妻のサダさんと一緒に早朝のイカ売り、昼間もホッケやスケトウダラをリヤカーに積み、砂利道の中を厚沢部町まで売り歩いて家族の生計を立ててきた。

 現在はホッケのすり身づくりもしながら、自宅近くの港で新鮮なイカを見極め「本当に生きのいいものが手に入らなければその日は休む」と一切妥協しない。

イカ漁の時期になると船が漁港に帰ってくる度に足を運ぶという。今季は悪天候と不漁で、行商の開始が2~3週間ずれ込んだ。

 4日は午前3時半から漁港で品定めし「お客さんが待っているし、(自分の体も)動かしたいから」と杉野さん。氷詰めの発泡スチロール3箱にイカを並べて自転車の荷台に積み、同6時半に旧JR江差駅前を出発。前かごのマイクスピーカーに電源を入れたが「昨日、チェックしたときスイッチをつけたままだったから、今朝電池が切れていた。だから今日は地声でやった」と笑う。

 杉野さんの行商を毎年心待ちにする町民も多く、この日も玄関先で手を挙げて呼ぶ姿があった。「本当にイカを買う人が少なくなったけど、小遣い稼ぎに今年も頑張るべさ」ときっぱり。杉野さんの行商は11月ごろまで続く。(田中陽介)



◎食通じ交流深める…函短大付設調理製菓専門学校が「賞味会」

 函館短大付設調理製菓専門学校(野又淳司校長)で4日、学生が調理や接客で客をもてなす「函館賞味会」が開かれた。渡島・桧山管内の首長や行政関係者らが一堂に会し、食を通じて交流を深めるとともに、道南で食のネットワークを構築しようと機運を高めた。

 賞味会はこれまで、学生の研修の場として過去90回、同校の講師らを招いて開催してきた。今回は内容を一新するにあたり、野又校長自らが両管内の18市町で趣旨説明に奔走。1年間掛けて準備してきた。

 学校関係者のほか、知内、奥尻、鹿部、上ノ国、乙部の5町から15人が出席。賞味会に先立って行われた研究会では、この日の料理に使用される特産品について、各町の代表者が食材の特長を説明した。

 同校の吉田徹教頭を中心に学生7人が調理に腕を振るい、テーブルセッティングや接客も学生が担当した。出席者は、上ノ国のフルーツポークを使ったリエットや知内のマコガレイのソテーなど、フランス料理のフルコースを堪能。食材の良さを生かした味わいを絶賛していた。

 終了後、調理師科1年の大平晴路(じょうじ)君(19)は「おいしいと言ってもらえて、これからのやりがいにつながる」とほっとした様子。知内町の大野幸孝町長は「素晴らしいの一言。特産品を使った新たな料理を開発するなど、これからも連携を図りたい」と笑顔を浮かべた。

 野又校長は「出席者の幅を広げながら、需要のある海外に道南の食材をPRしていきたい」と話している。今後は年に1回のペースで実施していく考え。(稲船優香)


◎江差かもめ島で15年ぶりの花火大会

 【江差】江差かもめ島まつり(江差観光コンベンション協会主催)が4日、町内で開幕した。15年ぶりとなる大花火大会や瓶子岩(へいしいわ)の大しめ縄飾りなどで盛り上がった。

 花火大会は、古里の盛り上げにと若者グループ「江差地域活性化協力隊」の発案で同協会が全面的に協力。企業などの協賛で約2000発を打ち上げ、江差の夜空を照らした。

 今年は、かもめ島厳島神社の創建400周年記念も合わせて企画。地元漁師らが稲わらをより合わせて、長さ30メートル、重さ約500キロのしめ縄をつくり、高さ10メートルの瓶子岩に付け替えた。江差音頭1000人パレードや江差小鼓笛隊なども熱気にあふれた。

 函館市の元教員、瀬川喜彦さん(60)と明美さん(60)夫妻は「しめ縄飾りを見て神々しい気持ちになった。伝統を守り続ける力強さも感じた」。両親と花火大会に来場した町内の山本ひまりちゃん(5)も「オレンジとピンクの花火がきれいだった」と喜んでいた。最終日の5日は午前9時から江差港で小船レースなどが行われる。(田中陽介)