2015年7月6日 (月) 掲載

◎佐藤さんが縄文研究、自説本を出版

 函館在住の木版画家佐藤国男さん(63)が、自らの約半世紀に及ぶ縄文研究をまとめた「妄想か、大発見か…亀ケ岡土器には甲骨文字が刻まれていた」を、新函館ライブラリ(大西剛社長)から出版した。津軽海峡周辺で出土した縄文土器の文様が「自分たちの祖霊」を表す「蛇」を意味すると主張した力作だ。

 北桧山町(現・せたな町)生まれの佐藤さんは小学校時代から縄文土器の発掘に携わってきたが、土器に織り込まれた縄目の文様のなぞを解くことができず「いつか造形に込められた意味を解き明かしたい」と、独自の研究を続けてきた。「考古学の本を読み漁ったが、『縄目は装飾』と言うだけで、文様の意味を考えていない」(佐藤さん)と民俗学に答えを求め、古代文字研究家の白川静さんらの著作を手掛かりに、土器や土偶の図柄を読み解いた。

 書籍では、蛇を祖先の霊としてあがめ、古代エジプトやインドなど世界各地にその存在を残す「蛇崇拝」が、縄文人にも当てはまると指摘。道南や東北地方で出土する約3000年前の「亀ケ岡土器」に、古代中国の甲骨文字に由来する細長い文様が残っている—と主張している。

 佐藤さんは甲骨文字由来の文様が約3000年前の一時期しか残っていないとし、「3000年前は中国の殷(いん)王朝が滅ぼされた時期と重なる。出土品の特色などから、国を追われた殷の人々が津軽海峡を挟んだ地域に相当数来たのでは」とみている。

 B5判76㌻で3000部を印刷。出版元の大西さんは「足かけ3年の労作。あくまで仮説だが、佐藤さんの小学校時代からの取り組みを支援したい」と話している。  書籍は1400円(税込み)で今月から市内有名書店で販売している。電子版はネット販売のアマゾンとコンテン堂で700円(同)で既に発売中。問い合わせは同社(電話0138・84・1620)へ。(千葉卓陽)



◎留学生も乗船、20艇が熱戦…ペリー来航記念ヨットレース

 ペリー提督来航記念ヨットレースが5日、函館湾(入船漁港〜住吉沖、約15㌔)で開かれた。道南の愛好者が所有する20艇が参加。道国際交流センター(HIF)で開講中の第30回日本語日本文化講座夏期セミナーに参加している留学生6人も乗船し、熱戦を展開した。

 昨年はペリー提督箱館来航160周年記念として実行委が主催。今年は南北海道外洋帆走協会(河村隆平会長)主催、函館日米協会(中野晋会長)後援で開催。この日は、スタート時は風が弱かったが、津軽海峡に出ると良好な風を受け、各艇は順調に進んだ。ロープ操作などのクルーワークに携わった留学生もいた。レースは、SHORCクラスはアクアマリン、IRCクラスはSouth Windが優勝した。

 レース後は表彰式・懇親会を開き、函館日米協会の加藤清郎相談役が「ペリーが来航して開港した国際観光都市にふさわしいヨットレースを、これからも応援していきたい」と話した。(山崎純一)



◎新函館北斗駅前のホテル建設、詰めの協議

 【北斗】来年3月開業の北海道新幹線新函館北斗駅(北斗市市渡)前の市有地「第一街区」(約3000平方㍍)に地元経済界が進出を計画するホテル・物販施設の建設について、関係機関で詰めの協議を進めている。

 計画では、建物は6階建てで1、2階は物販や飲食、温浴施設などを開設し、3階以上を100室のホテルが入る。事業規模は約20億円。函館、北斗両市内の複数の地元企業が出資を決めており、金融機関の融資のほか、北斗市も最大で3億円を補助する企業立地補助制度を適用して支援する方針だ。

 金融機関からの資金調達について最終的な調整を進めており、まとまり次第、運営会社を設立して計画を進めていく。ただ、完成は開業に間に合わず、1年後の2017年以降となる見通し。

 駅前の開発をめぐっては、現時点で進出を決めたのはレンタカー会社7社、タクシー会社1社のほか、道営住宅の建設が決まっているのみ。市は第一街区のホテル誘致を最優先で進めてきた。ホテル建設が決まれば、関連施設の進出の呼び水になりそうだ。


◎函館商工会議所関係者が北陸視察、新幹線開業前に

 約8カ月後に迫った北海道新幹線開業を前に、函館商工会議所の関係者が6月25〜27日、北陸新幹線の沿線地域を視察した。現地の経済団体と意見交換し、観光客をもてなす秘策などを探った。

 北陸新幹線の沿線各地のこれまでの取り組みや開業効果を学ぼうと企画。同会議所の西村憲人副会頭を団長とし、会員ら13人が参加した。

 一行は、金沢、上越の両商工会議所のメンバーと観光客の受け入れ態勢などについて懇談した。金沢商工会議所の深山彬会頭からは、観光客をもてなすために会員が展開する草の根運動に関して説明を受けたという。笑顔で旅行客に接し、積極的に道案内などを行う活動で、実際にその姿を見たという西村副会頭は「金沢市のおもてなしは群を抜いていた」と驚きを交えて語った。

 このほか、新函館北斗駅と同様、市街地から離れた場所に駅がある上越市などを訪れ、北海道新幹線開業後のイメージを膨らませた。

 視察を終え、西村副会頭は「開業効果を最大限に引き出すためにも、市民一人一人が真心をこめておもてなしをする必要性を改めて感じた」と感想を述べた。(山田大輔)