2015年7月8日 (水) 掲載

◎七夕 元気な歌声響く

 七夕の7日、函館では子どもたちが菓子などをもらうために家々を訪問して歩く「ろうそくもらい」の伝統行事があり、まちなかに「ろうそく1本ちょうだいな」と元気な歌声が響き渡った。

 このうち、はこだて子どもセンター(市亀田青少年会館、菅原康徳館長)は、同センターで「七夕まつり」を開いた。お菓子350個を用意。掲載された6戸のうち1戸を訪問すると「ライトアップヨーヨー」がもらえるカードも一緒に配布した。

 午後5時半から、浴衣や甚平姿の子どもたちが手提げ袋を持ってセンターに集合。函館亀田小2年の山田彩葉さん(8)は「お菓子をもらえて楽しい。70個ぐらい集めたい」とほほ笑んだ。



◎大間原発 本案審理始まる

 【東京】函館市が国と電源開発を相手取った大間原発(青森県大間町)建設差し止め訴訟の第5回口頭弁論が7日、東京地裁(増田稔裁判長)で開かれた。今回から市の訴えに関する本案審理が始まり、市は国に対し、電源開発が行った新規制基準への適合申請を許可しないよう求めるとして、訴えの内容を一部変更した。併せて訴訟の争点を箇条書きでまとめた項目表を提出。フルMOXの危険性やテロ対策、シビアアクシデント(重大事故)対策、避難計画などを改めて争点に挙げた。

 市は昨年4月の提訴で、国に対して原子炉設置許可の無効確認とともに、電源開発に建設停止を命ずるよう求めていた。今回は昨年12月に同社が原子力規制委員会に原子炉設置許可の変更を申請したことを受け、申請を許可しないよう求める内容に改めた。

 市がまとめた争点項目では、国に対する原子炉設置許可の無効確認と建設差し止めについて、原告適格(=市が訴える資格)の判断の根拠となる法令とともに、設置許可処分に重大な瑕疵(かし)があるか否かを指摘。フルMOXの危険性、耐震設計などを挙げた。電源開発に対しては国と共通する争点のほか、原告の公用財産の所有権、地方公共団体の存立維持権を挙げた。

 法廷では市の訴訟代理人が争点に関しプレゼンテーションを行い、中野宏典弁護士は福島第一原発事故と大間原発の位置を照らし合わせ、「函館市は事故が起きれば全市で避難を余儀なくされる可能性がある」と指摘。同事故を踏まえ「行政庁の判断は、事故によって尊重に値するものではなくなった」と批判した。

 さらに同原発周辺での巨大な活断層の存在を指摘し「電源開発が想定外としている限り、新規制基準には適合しない」と主張。ほかにも基準地震動が平均値を基にしていると指摘、実効性のある避難計画の策定が困難なことなども挙げた。

 一方、国は準備書面を通じて、大半の項目で争う構えを示した。

 大間原発から半径30キロ圏内のUPZ(緊急防護準備区域)に入り、地域防災計画の策定が義務付けられるとの市の主張に対しては、「地域防災計画の策定対象となる自治体は、法令や原子力防災対策指針で明確に特定されているものではなく、UPZに含まれる地域は各自治体の判断に基づき防災計画が策定されている」などと否認した。また、同原発周辺海域の活断層の存在やテロ対策についても「否認ないし争う」とした。

 次回の口頭弁論は10月6日に開かれる。 (千葉卓陽)



◎新病院 月内にも着工…新青森駅隣接地

 【青森】函館市内の医療法人雄心会(伊藤丈雄理事長)は10日、青森市のJR新青森駅西側隣接地で新病院の地鎮祭を行う。今月中に着工し、2017年春の完成を目指す。

 同法人が2年前に事業を継承した青森市内の内科2病院(近藤病院、渡辺病院)を統合して新設する。

 同法人によると、建物の規模は地下1階地上7階建てで、延べ床面積は1万6800平方㍍。病床数は191床。内科や脳神経外科、リハビリテーション科などを備えた総合病院として運営する。

 建設地は、青森市が東北新幹線新青森駅開業に合わせて造成・販売をしていた商業用地。同法人は分譲地6800平方㍍を約7億円で取得した。

 新病院開業後、2病院の施設は解体もしくは売却、転用する方針。同法人は道南で函館市石川町の函館新都市病院をはじめ、森町や江差町で病院や診療所4施設を運営している。(鈴木 潤)


◎国内外から研究者ら160人…近接場光学の国際会議開幕

 近接場光学(きんせつばこうがく)に関するアジア太平洋会議(実行委主催)が7日、函館市国際水産・海洋総合研究センターで開幕した。近接場光学は非常に小さい光を扱う研究分野で、国際会議の開催は道内では初めて。国内外から最先端の研究者・技術者160人が参加している。

 会議は、近接場光学に関する最新の成果を発表・討論し、今後の研究の方向性を探るため1996年に韓国で始まった。隔年で開催しており、日本開催は2005年(5回目)以来10年ぶり2回目。会議を設立した東大の大津元一教授が函館のまちが大好きで、今回の函館開催が実現した。

 委員長を慶応義塾大理工学部の斎木敏治教授(49)=ナノ光学=が務める。参加者の半数が台湾や中国、オーストラリアなど10カ国の外国人が占めるという。斎木委員長は「プランクトンが光合成を行うメカニズムを解明するのが近接場光学の研究」と海洋学との接点を説明する。

 初日は五島軒本店でレセプションを開き、研究者らが交流を深めた。8日午後1時からは、衛星リモートセンシングを使った海洋学、水産学の研究をしている北大北極域研究センター(札幌)の齊藤誠一教授(衛星海洋学)が基調講演する。英語のみだが、一般の聴講可。入場無料。このほか、10日まで研究発表やポスター発表なども行われる。

 斎木委員長は「梅雨のない気持ちの良い気候の中、昼は頭をたくさん使い、夜は海鮮など函館の名物を楽しみたい」と話している。(山崎大和)