2015年7月9日 (木) 掲載

◎駅前施設の建設始動、新函館北斗

 【北斗】北斗市は8日、新函館北斗駅(市渡)前に、地元経済界を中心とした新規法人により、ホテルを中心とした複合施設を建設すると発表した。年内に着工し、北海道新幹線開業から約1年後の2017年2月のオープンを目指す。長年開発が進まなかった、駅に最も近い「第1街区」で、中核施設の建設がようやく始動する。

 同施設をめぐっては、JR北海道がビジネスホテルの建設を14年5月に断念して以降、地元経済界が中心となって建設計画を立て、資金調達を進めてきた。

 建物は地上6階建て、延べ床面積約6300平方㍍。1階は物販、飲食店などを開設。2階以上は、ホテル事業を展開するABアコモ(東京、阿部裕二社長)が運営するホテルとなり、100室の客室のほか、レストランやフィットネス、温浴施設を整備する。部屋は約30平方㍍のファミリータイプで、料金は1部屋8000円程度という。

 総事業費は20億円。地元の金融機関が支援するほか、北斗市は補助金を活用して最大3億円を投じる。また、1階部分の買い取りを検討している。

 施設の運営は、地元企業や個人らが出資した新会社「北斗開発」が担う。社長には、函館商工会議所の境勝則副会頭が就任。資本金は3000万円で、今後増資を図るため、道南の企業などに支援を呼び掛けていく考えだ。同会議所の松本栄一会頭は「函館、北斗、七飯の2市1町の経済団体が一体となって支えたい」としている。

 この日の記者会見には、高谷寿峰市長、境社長、阿部社長が出席し、事業計画を説明した。阿部社長は「新幹線開業で、道南は国内外の観光客の需要が見込める。旅行客が何度も訪れたいと思えるようなホテルを目指したい」と述べた。高谷市長は「ホテル誘致が決定したことに安心している。これを契機に新駅前の開発をさらに進めたい」と意欲を示した。

 地元の北斗市では、待ち焦がれた中核施設の建設計画発表に、喜びもひとしおだ。市観光協会の佐々木博史会長は「新幹線開業に間に合わないのは残念だが、駅前のにぎわいや地域の活性化につながれば」と期待を寄せる。市商工会の高井茂昭事務局長は「ようやくという感じだが、大変喜ばしい」と歓迎した。

 駅前の企業誘致をめぐっては、これまでにレンタカー会社7社、タクシー会社1社の進出が決定しているほか、道営住宅の建設が予定されている。(山田大輔、毛利祐一朗)



◎ワインベリーのスイーツ開発へ、末廣軒

 【北斗】洋菓子の製造・販売を手掛ける「末廣軒」(北斗市中央2、佐々木博史社長)は、道南の新品種果実「ワインベリー」を使った新商品スイーツの開発に乗りだす。国から農商工連携事業計画の認定を受けて取り組む。来年3月の北海道新幹線開業を見据え、新たな銘菓、観光土産の一つとして定着させたい考えだ。

 函館市東畑町の農業北井里佳さんが約80㌃で栽培したワインベリーの果実を、食品製造業「はこだてSinアグリファーム」(北井清一社長)が全量買い取りジャムソースに加工、末廣軒にスイーツ原料として供給する。道中小企業家同友会が両者をマッチングし、連携事業を展開することになった。

 末廣軒はロールケーキやシェイク、ムースなど6種類を開発し、食べ歩き商品や土産品両方の需要を見込む。百貨店での催事販売も予定しており、年内にも商品化を目指す。

 8日に市商業活性化支援センターエイド03でキックオフ会があり、佐々木社長らが認定書を受け取った。同社はワインベリーの商品展開を「重要な経営戦略の一つ」(佐々木社長)と位置付け、道南を代表する観光資源へ育て上げる考え。

 ワインベリーは東アジア原産で、加熱しても赤くきれいな発色を保つのが特徴。果実は直径2〜3㌢で、7月末から8月上旬にかけて収穫する。アントシアニンを多く含み「注目の次世代ベリー」と呼ばれる。北井さんのみが栽培しており、育種権を申請中。

 道経済産業局によると、農商工連携は2008年度から認定が始まり、道南での認定は今回で8件目。今回は5年間の計画で、5年で最大2500万円の補助金が受けられる。(山崎大和)



◎元五輪マラソン選手の谷口さん講演

 函館商工会議所青年部(齋藤利仁会長)は8日、新体制となって初めての例会をホテル函館ロイヤルで開いた。元五輪マラソン選手の谷口浩美さんを招いた講演を行い、同部のほか、函館法人会青年部会、道南陸上競技協会の関係者54人が谷口さんの話に耳を傾けた。

 同部は4年前から函館でフルマラソン大会の創設活動に取り組んでおり、来年6月26日に開催が決定した経緯がある。昨年9月の函館ハーフマラソン大会で招待選手をつとめた谷口さんから経験談や各地の大会での印象を語ってもらうことで、同部が目標に掲げる「フルマラソン大会の成功」へ導くヒントを得ようと企画。

 谷口さんは始めに、1991年9月1日に開かれた世界陸上東京大会男子マラソンでの体験談を語った。当日は気温30度を超え、給水所での駆け引きなど他の選手を翻弄(ほんろう)する走りを展開して38㌔すぎからスパート。先頭集団を抜け出し、日本人男子選手では当時前人未到の優勝を飾っている。競技者として「誘惑の多い現代の生活環境で強い体を作るのは、規則正しい生活」と話し、とくに睡眠の大切さを強調した。

 また大会を成功に導くための考えるヒントとして「市民参加が増えた時を想定して走れる道の確保」や「大会終了後、帰路につくランナーの交通手段」などを提案した。(半澤孝平)


◎市女性会議、12日に映画上映会

 設立30年を迎えた函館市女性会議(佐々木香会長)は12日午後0時半から、ドキュメンタリー映画「何を怖れる フェミニズムを生きた女たち」(松井久子監督、111分)をロワジールホテル函館(若松町14)で上映する。佐々木会長は「女性がより生きやすい社会のあり方を探るきっかけにしてほしい」と来場を呼び掛ける。

 同会議は1986年、女性の地位向上と男女共同参画社会の形成、市のまちづくりへの貢献を目指し設立。「函館家庭生活カウンセラークラブ」など市内の7団体で構成する。

 映画は、1970年ごろに始まった女性解放運動を背景に、世の女性を励ます先頭に立ってきた60〜80代のフェミニスト15人の証言を記録。現在もさまざまな形で続く活動を松井監督が追っている。

 上映会は今年1月、映画の製作費の支援を呼び掛けるチラシを手にした富樫絹子副会長が松井監督と連絡を取り合い実現。同会議が年に1回開く「はこだて・女性大会」は、これまで講演会がメーンだったが、節目の記念事業として初めて上映会を行うことに決めた。

 4月に札幌で開かれた上映会に参加した佐々木会長は「私たちが伝えたいことが全て詰まっていると感銘を受けた。次世代を担う若者にもぜひ見てほしい」と語る。

 上映後、松井監督のシネマトークや、松井監督の書籍を購入した人を対象にサイン会を行う。チケットは一般1000円、学生800円。市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で取り扱うほか、当日券も用意する。問い合わせは佐々木会長(電話0138・46・3762)へ。(稲船優香)