2015年8月16日 (日) 掲載

◎新幹線の花山車登場 木古内町咸臨丸まつり

 【木古内】「きこない咸臨丸まつり2015」(木古内商工会、木古内町観光協会主催)が15日、町内みそぎ公園などで始まった。この日は山車6基が町内を練り歩くパレードなどが行われ、訪れた約1000人の観客は、初登場の新幹線の形をした長さ10メートルの花山車など迫力満点の祭りを堪能していた。

 オランダで建造され、幕末期に幕府の軍艦として活躍し、同町で眠る「咸臨丸」にちなんだ祭りとして毎年開催。今回は北海道新幹線木古内駅開業記念として、新幹線型の花山車も登場した。

 咸臨丸やオランダ花山車、幕末期の服装を着た関係者ら約300人がパレートのムードを一層引き立たせ、沿道には声援を送る多くの人でにぎわっていた。また、同公園では「はこだて和牛」を使った数々の名物料理なども振る舞われた。函館観光大使の歌手谷ちえ子さんの歌謡ショーも人気を集めた。

 町内在住の佐々木富士子さん(69)は「パレードはにぎやかで見ていて楽しい。新幹線の花山車はかわいかった」と笑顔を見せた。

 16日は同公園でビアホール天国(同1時)、木古内仮装盆おどり大会(同6時半)などが行われる。(斎藤彩伽)



◎道南ドクターヘリ順調、運航半年

 国内44番目、道内で4番目となる「道南ドクターヘリ」が2月に運航を始め、16日で半年を迎えた。医師と看護師が重篤患者の発生現場に駆け付け、素早い初期治療を目指して空を駆け巡っており、7月末までの出動は120件。当初想定を3割ほど下回るが、函館市内から約140㌔離れた奥尻町など遠隔地からの搬送時間短縮を可能にするなど、消防との連携を深め順調な運航を続けている。関係機関は今後半年間の結果を検証し、冬場の広域救急医療体制の充実を目指す。

 同ヘリは渡島・桧山管内の18市町や医療機関でつくる運航調整委員会(浅井康文委員長)が導入。市立函館病院を基地病院とし、函館空港の格納庫を借りて運航している。鹿児島国際航空(鹿児島)が運航を受託し、他機種よりもスペースが広い7人乗りの機材を導入。故障や年1回の定期点検に備えて、本機とスピードの変わらない代替機を配備した。

 就航から7月末までの要請件数は151件で、実際の出動は120件。年間の出動想定件数は366件(1日1件以上)だが「消防側が要請の基準を把握しきれていないことから、初年度は全国的に出動が少ない」(同社)とする。同ヘリは空港から向かう「基地発進方式」を採用し、格納庫に常駐する医師と看護師、操縦士、整備士らが要請を受け次第、すぐに出動できるのが強みだ。

 出動した市町を地域別に見ると、松前町と北斗市が17件と最多。続いて森町14件、木古内町と函館市が各10件となった。せたな町と奥尻町はそれぞれ4件だった。

 初出動は2月18日で、森町に向かった。悪天候のため恵山地区を迂回(うかい)したが、救急車で片道40〜45分かかるところを45分ほどで同病院への搬送を完了した。また、6月4日に木古内町で発生した橋からの転落事故の際も迅速に治療につなぎ、ドクターヘリの機動性を実証した。同社の榎田和也専務は「就航前に積み重ねてきたさまざまな訓練が生き、大きなトラブルもなく運航できている」と語る。

 同ヘリには年間3分の2が同病院、3分の1は道南圏の13病院と札幌医大から派遣された医師、看護師が交代で搭乗する。現在搭乗登録をしているのは38人で、このうち6人が同病院の救急専門医。札幌医大は月6日医師を派遣しているが、10月からは月4日に減少する。地元病院の負担増が見込まれるが、同委事務局は「地元の医師は非常に協力的で、搭乗したいとの声が多く上がっている」といい、道南圏の一層の医療体制強化に期待がかかる。

 ただ、これから本格的な冬期間の運航を迎えるに当たり、救急車と落ち合う着陸地点「ランデブーポイント」の除雪作業などが必要となる。道南圏のランデブーポイントは現在、公園広場や学校のグラウンドなどを中心に291カ所あるが、学校グラウンドなどは冬期間除雪されていないため、状況に応じて着陸地点を変更する可能性がある。道南ドクターヘリ事務局は「消防をはじめ、関係部局と協力してポイントを増やしたり搬送方法を考えたりしていかなければ」と気を引き締める。

 同委は今後、就航1年の結果を検証する部会を立ち上げ、効果的な活用方法などを固める予定。同委事務局は「要請基準の共有に生かしたい」としており、出動件数の増加を見据えた体制づくりに努める。(蝦名達也)



◎終戦の日 各地で祈り

 70回目の「終戦の日」を迎えた15日、函館市や七飯町で恒久平和を祈る催しが開かれ、参列者が戦没者の御霊に向け、静かに祈りをささげた。

 このうち、函館市連合遺族会(浜野幸子会長)は、函館護国神社(大橋東城宮司)で戦没者追悼平和祈願祭を開いた。約50人が参列し、戦没者の霊を慰めた。

 終戦記念日に合わせて毎年行っており、大橋宮司が祝詞を奉上し、参列者が戦没者の冥福を祈った。

 浜野会長は「戦火に倒れた皆さまの無念を思うと、今もなお痛惜の念を禁じ得ない。平和で希望に満ちた社会の増進に一層努力することを誓います」と追悼の辞を述べた。改行 参列者は玉串をささげ、静かに手を合わせた。1944(昭和19)年に父親を千島で亡くした荒木千鶴子さん(74)は「父は31歳で亡くなった。これからという時だったので、この頃になってとても悲しく思う」と話した。(千葉卓陽)


◎Uターンラッシュ始まる

 お盆休みをふるさとや行楽地で過ごした人のUターンラッシュが15日に始まり、駅や空港ではスーツケースや土産物を手にした帰省客や見送りに来た家族らで混雑した。

 JRは、同日午後から札幌や新青森に向かう多くの特急が満席となった。札幌市に住む孫を見送りに函館駅に来た函館市の近藤有美さん(59)は「次に会うのは正月。寂しいけど成長を見るのが楽しみ」とほほ笑みながら手を振っていた。

 函館市内の実家に、夫の輝さん(29)、娘のなつみちゃん(2)と帰省していた岩手県花巻市の山本かなさん(26)は「娘の誕生日を両親と共に祝ったり、ベイエリアを散策したりと、夏休みを満喫できた。来年は北海道新幹線で行きたい」と話していた。

 交通機関の混雑は16日も続く見通しで、函館から東京や名古屋、関西に向かう空の便は軒並み満席。JRも多くの特急が満席となっており、各社とも混雑が落ち着くのは17日以降としている。札幌に向かう高速バスは、16日に空席がある便もある。(稲船優香)